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  • 2023/09/29 掲載

【本社潜入】40年の黒字経営「サウスウエスト航空」の独自ビジネス戦略を解剖

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

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LCCの元祖といわれる米国「サウスウエスト航空」。全米御三家3位のユナイテッド航空の輸送力の93%にまで迫っている同社が、世界の頂点といえるトップ3のエアラインになる日も近い。そんな同社の強み、独自の戦略は何か。本社に潜入し、それらを探った。

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。

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サウスウエスト航空本社ロビー
(写真:筆者撮影)

LCCの先駆者、サウスウエスト航空とは

 1971年に就航開始したサウスウエスト航空は、世界初の格安航空会社だ。低価格のチケットとシンプルなサービスにより、広範な顧客層を獲得している。

 同社が乗り入れた都市はどこも活気づいたことから、同社のビジネスモデルは、米国運輸省(DOT)に「サウスウエスト効果」といわしめたほど。

 現在、独自のビジネス戦略とコスト削減策(後述)により、競合他社に対して競争力を維持している。輸送力で全米4位に昇りつめ、創業以来コロナ禍での2020年決算を除き、黒字を確保している。

 諸説あるものの、その後同社を学んだエアラインがLCCとして成長する中で、サウスウエスト航空がLCCの元祖といわれることが多い。

 機材数は833ですべてボーイング737シリーズに統一している。就航空港は121に達し、就航国数は11カ国になる。

 平均ロードファクターは83%を超え、従業員数7万1000人の大会社に成長した。米国の上位50大都市圏のうち49地域にサービスを提供し、23都市でマーケットリーダーとなるシェア22%を誇る。2022年の搭乗者数は、1億2600万人を記録した。

 同社の社是は、「フレンドリーで信頼性が高く、低コストの航空旅行を通じて、人々を生活の中で重要なものと結び付ける」。そして、将来に向けたビジョンを「世界で最も愛され、最も効率的で、最も収益性の高い航空会社になること」と定めている。

サウスウエスト航空の独自のビジネス戦略

 サウスウエスト航空の強みは、運賃、路線、機材が挙げられる。

 創業時より格安な航空運賃を提供し、他社のハブシステムに対し、高頻度運航でポイント・トゥ・ポイントの路線開拓をしてきた。これにより、乗り継ぎが少なくし、手荷物のトラブルを抑えることができている。旅客者にとっても、所要時間が短くなるメリットがある。

 また、上述の通り、保有する全機体をボーイング737シリーズで統一し、運航、整備、訓練にかかる費用を削減している。

 提供されるサービスも独特なものがある。それは、座席指定を無くし、優先搭乗権を購入できるようにしていること。この結果、飛行機の遅延を減らせている。また、手荷物預け入れを無料にすることで、機内持ち込み手荷物が減り、保安検査時間と機内混雑が減ったという。

 また、同社のフレンドリーな顧客対応もしばしば話題になる。末端の地上係員にまで、顧客対応の裁量権が与えられているのだ。

 創業者の経営手法については、1997年に出版された『破天荒 サウスウエスト航空驚愕の経営』に詳しく述べられている。創業者のハーバート・ケレハーが2019年に亡くなり、現在6代目のCEOボブ・ジョーダンになっても創業時のスピリッツは失われていないようだ。

画像
ハーバート・D・ケレハー本社ビル外観
(写真:筆者撮影)
【次ページ】サウスウエスト航空の本社へ潜入

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