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  • 2024/05/08 掲載

日産とホンダ「禁断」のEV提携、裏にあるBYDとの「耐えがたき格差」とは

連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか

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日産自動車(以下、日産)と本田技研工業(以下、ホンダ)が先月、電気自動車(EV)分野における提携を検討することを発表し、話題を呼んだ。いわば「ライバル」同士である両社が今回の発表に至った背景には、EV市場において両社が厳しい戦いを強いられていることが関係している。提携における両社の意図を読み解く。
執筆:モータージャーナリスト 御堀 直嗣

執筆:モータージャーナリスト 御堀 直嗣

1955年(昭和30年)生まれ。玉川大学工学部機械工学科流体工学研究室卒業。1978~81年フォーミュラレースに参戦、81年にFJ1600で優勝。84年からフリーランスライター。著書29冊。一般社団法人日本EVクラブ理事。NPOトリウム熔融塩国際フォーラム会員。日本モータースポーツ記者会会員。公益社団法人自動車技術会会員。自動車を含め環境やエネルギー問題に取り組む。

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日産とホンダ提携検討の狙いはどこにあるのか
(出典元: Gui Siebert / Shutterstock.com、Anastasiia Moiseieva / Shutterstock.com、Roman Zaiets / Shutterstock.com)

日産とホンダ「突然」の提携

 日産とホンダは、先月3月15日に戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結。これまで、日産はフランスのルノーと、ホンダは米国ゼネラルモーターズとの提携で知られてきたが、日本の自動車メーカー同士の立場で日産とホンダが手を結ぶ関係性は、驚きを呼んだ。

 この話が前進すれば、トヨタ自動車(以下、トヨタ)を軸としたダイハツ、スバル、マツダ、スズキという一群と、日産と三菱のアライアンスにホンダを加えたグループに二分される可能性もある。

 先月15日に行われた日産とホンダによる共同記者会見は、当日に実施が発表される唐突な開催だった。記者会見の中では、日産の内田誠社長とホンダの三部敏弘社長(ホンダ)の間で今年に入ってから数度の会話が持たれ、今回の会見に至ったことが明らかにされた。

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会見に臨む日産の内田誠社長(左)とホンダの三部敏宏社長
(写真:つのだよしお/アフロ)

 そのため、具体的な提携内容はまだ詰められておらず、両社が発表したプレスリリースを読んでも「環境対応技術、電動化技術、ソフトウェア開発などの領域に関する強化が不可欠で、両社の強みを持ち合い、将来的な協業を見据えた検討が必要と考え、今回の合意に至った」と記されているのみである。

 両社がこのように慌ただしく提携に向かったのは、それほどまでに強い危機感があったからと推察されるが、一体それはなぜだろうか。

EV業界の「新王者」はあのメーカー

 両社を提携に向かわせたのは、EVをめぐる自動車業界の現在の勢力図が関係していると言えるだろう。

 2023年の電動車市場で1位の販売台数を獲得したのは、中国のBYDであった。これは、EV販売で先行してきた米国のテスラを抜いての成績である。

 今年3月の記者会見で、BYDジャパンの劉学亮社長は、2023年のBYDの世界販売台数は302万台(ただしPHEVを含み、EVのみでは157万台)であると述べた。同社が世界6大陸、70以上の国や地域で販売した新車の総計である。

 一方、2023年に自動車販売台数で世界一となったのはトヨタだ。

 同社は単体で1030万台強を記録しており、BYDの302万台はその3分の1以下でしかない。ちなみにテスラはEVのみで、その販売台数は180万台強である。

 トヨタの莫大(ばくだい)な新車販売台数から見れば、その5分の1程度の数とはいえ、EVに絞れば、BYDとテスラが世界を牽引し、1~2位を争っている。この2社に、日本はもちろん、欧米の既存の自動車メーカーは遠く及ばないのが現状だ。 【次ページ】日産・ホンダが焦る「格差」とは

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