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  • 2015/12/18 掲載
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比較7:通信機能&インターフェイス ~周辺機器を問題なく使えるか~

 ビジネスで利用するには、プロジェクターやUSBメモリといった周辺機器との接続性に関わるインターフェイス、外出時の使い勝手を左右する通信機能も重要となる。ここではその2項目を調査し、表にまとめた。評価機には実際に搭載されていない機能もBTOで追加可能であれば「搭載可能」と記載している。有線LANやディスプレイ出力など利用時に、ケーブルを差したままになるような端子が手前側にあると煩わしいので、そうした「ポートの位置」についても調査した。

 最も充実していると言えるのは、Let'snote CF-MX4とLIFEBOOK S935/Kの2台だ。複数のUSB3.0ポート、SDメモリーカードといった必須装備に加えて、有線LANやD-Sub15ピン(アナログRGB)といったビジネス向けで需要のある端子もひととおり備え、光学ドライブも標準で内蔵している(LIFEBOOK S935/Kはオプションで搭載可能)。ただ、後者はディスプレイ出力端子が手前側にある点は少し気になる。ThinkPad X250も光学ドライブ以外は似たような内容で、やはりディスプレイ出力が手前に近いところにある。

 LATITUDE E7250はディスプレイ出力を含めて多くの端子を背面にまとめている。わずらわしさはないのだが、側面からアクセスできるUSBポートが1基しかない点は少し不便かもしれない。また、ディスプレイ出力もMini DisplayPortとHDMIという構成で、D-Sub15ピンを装備しない。新旧規格どちらを重視するか、ターゲットの違いなどもあるかもしれないが、現実にビジネス用途ではプロジェクター接続用などでD-Sub15ピンの需要は根強く、多少マイナスせざるを得ないだろう。

 6台の中でもボディの薄さでリードするEliteBook Folio 1020 G1 SEとVersa Pro J VG-Lは、グッと割切った内容で、D-Sub15ピンや有線LANは装備しない。このレベルの薄さになると仕方がないとはいえるが、こちらの項目の評価では薄さは考慮しない。ただし、EliteBook Folio 1020 G1 SEは単に割切るだけでなく、ドッキングステーションを用意している。会社のデスクではそちらを用いて拡張性を担保しつつ、本体はできるだけ薄く軽くする、という設計思想は理解できる。

比較7:通信機能、インターフェイス
通信機能、インターフェイス Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
通信機能
有線LAN 有線LAN(1000BASE-T) 有線LAN(1000BASE-T) 搭載可能 有線LAN(1000BASE-T)
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac IEEE802.11a/b/g/n/ac IEEE802.11a/b/g/n/ac IEEE802.11a/b/g/n/ac 搭載可能(IEEE802.11a/b/g/n/ac) IEEE802.11a/b/g/n/ac
Bluetooth Bluetooth 4.0 Bluetooth 4.0 Bluetooth 4.0 Bluetooth 4.0 搭載可能(Bluetooth 4.0) Bluetooth 4.0
インターフェイス
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ 搭載可能
ディスプレイ出力 HDMI MiniDisplayPort、HDMI HDMI HDMI、D-Sub15ピン HDMI、D-Sub15ピン MiniDisplayPort、D-Sub15ピン
メモリーカード SDメモリーカード SDメモリーカード microSDメモリーカード SDメモリーカード SDメモリーカード SDメモリーカード(4in1)
USBポート USB3.0×2(電源オフチャージ×1) USB3.0×2(電源オフチャージ×1) USB3.0×2(電源オフチャージ×2) USB3.0×2(電源オフチャージ×1) USB3.0×3(電源オフチャージ×1) USB3.0×2(電源オフチャージ×1)
Webカメラ 搭載可能(720p) 搭載可能(1080pまたは720p) 720p 1080p 720p 搭載可能(720p)
その他 ドッキングステーション ドッキングステーション ドッキングステーション ドッキングステーション
レイアウト
本体前面(左から) なし なし なし DVDスーパーマルチドライブ、ボリューム調整ボタン、画面ロックボタン、SDメモリーカード SDメモリーカード なし
本体背面(左から) なし 有線LAN、HDMI、USB3.0、USB3.0(電源オフチャージ)、DC入力 なし なし なし なし
本体左側面(手前側から) DC入力、セキュリティロックポート スマートカードリーダー microSDメモリーカード、USB3.0(電源オフチャージ)、HDMI、セキュリティロックポート ペンホルダー、セキュリティロックポート USB3.0、HDMI、D-Sub15ピン、有線LAN、DCコネクタ MiniDisplayPort、USB 3.0、D-Sub15ピン、DC入力
本体右側面(手前側から) ヘッドフォン/マイク兼用、SDメモリーカード、USB3.0(電源オフチャージ)、USB3.0、HDMI ヘッドフォン/マイク兼用、USB3.0、MiniDisplayPort、セキュリティロックポート ヘッドフォン/マイク兼用、USB3.0(電源オフチャージ)、拡張コネクタ 無線スイッチ、ヘッドフォン、マイク、USB3.0(電源オフチャージ)、USB3.0、HDMI、有線LAN、D-Sub15ピン、DCコネクタ ヘッドフォン/マイク兼用、USB3.0(電源オフチャージ)、モバイルベイ、USB3.0、セキュリティロックポート ヘッドフォン/マイク兼用、USB3.0(電源オフチャージ)、SDメモリーカード、有線LAN、セキュリティロックポート
点数 8 8.5 8 10 9.5 9

 採点はLet'snote CF-MX4を満点とし、LIFEBOOK S935/Kが9.5ポイントとした。有線LANとD-Sub15ピンを持たない2台では、フルサイズのSDメモリーカードが使える点で若干Versa Pro J VG-Lに優位があるが、こちらはEliteBook Folio 1020 G1 SEと違い、ドッキングステーションが用意されていないため同点とした。

photo


■Versa Pro J VG-L
薄型軽量化を優先しているため、有線LANやD-Sub15ピンは持たない。2基のUSB 3.0ポート、SDメモリーカードスロットを備えるなど、スリムモバイルとしての実用的な水準は満たす。

■LATITUDE E7250
端子数は多いが、ディスプレイ出力にD-Sub15ピンを持たない。背面に多くの端子を並べており、側面からアクセスできるUSBポートが1基のみという点はややマイナスだ。

■EliteBook Folio 1020 G1 SE
本体をできるだけ薄く軽くし、デスクでの使い勝手はドッキングステーションで補う設計思想のため、かなり割切った内容。メモリーカードがmicroSDである点が惜しい。

■Let'snote CF-MX4
有線LAN、D-Sub15ピン含め、ビジネスで需要のあるひととおりの端子を備える。光学ドライブも内蔵する。

■LIFEBOOK S935/K
内容はLet'snote CF-MX4と同等で、USBポートは1基多いが、ディスプレイ出力が手前よりに配置されている。

ThinkPad X250
ビジネスでの需要が多い有線LAN、D-Sub15ピンを含め、必要十分な端子を備えている。ディスプレイ出力の配置はやや難がある。

比較8:入力環境 ~キーボードとポインティングデバイスは使いやすいか~

 仕事ではメールや文書、資料の作成といった入力を伴う業務を頻繁に行う。ビジネスの効率、生産性を考えるうえでキーボードは非常に重要な要素だ。特に、薄型軽量タイプのノートPCは、軽量でありながらキーボードやパームレストのスペースをできるだけ大きく確保したいという発想から生まれたものだけに、より重要といえるだろう。ここではキーピッチやストローク、パームレストの奥行き、バックライト搭載の有無など、キーボードの仕様を調査してまとめた。

 ポインティングデバイスは好みの部分も大きく、マウスで代用も可能なためキーボードほど重要とは言い切れないが、屋外などで使用する際はポインティングデバイスの使い勝手も重要になるため、合わせて評価に組み入れている。

 キーボードの完成度が最も良いのは、EliteBook Folio 1020 G1 SEだろう。キーピッチ、キーストロークともにしっかり確保してあり、配列にもクセがない。パームレストも長く確保しており、バックライトも搭載しており、航空機の機内など暗い場所でも利用することができる。タッチの感触も良好だ。欲をいえば、キートップに指を置きやすいくぼみがついているとなおよかった。

 ThinkPad X250、LATITUDE E7250もレベルの高いキーボードだ。キーストロークは非公開だが、どちらも2mm前後はある印象で、タッチ感は良好だ。キーピッチが若干狭い点やカーソルキーの両側にキーがある点などがマイナス要素といえる。LIFEBOOK S935/Kはキーピッチは広いが、キーストロークが少し浅い点やパームレストの短さがマイナス要素だ。Versa Pro J VG-Lも悪くはないのだが、キーストロークが浅めで、強く押すとやや沈む感触があるなど、他のレベルが高いだけに少し見劣る。Let'snote CF-MX4は縦のキーピッチが極端に狭く、カーソルキー周りの処理にも難があり、かなり利用者を選ぶキーボードといえる。

 ポインティングデバイスは、パッド型とスティック型の両方を搭載するThinkPad X250に優位がある。物理ボタン型のタッチパッドでは、LATITUDE E7250、LIFEBOOK S935/Kが使いやすい。EliteBook Folio 1020 G1 SEは物理的なボタンを装備しない感圧式のクリックパッドを搭載するが、感触は良好だった。

比較8:キーボードとポインティングデバイス
キーボードとポインティングデバイス Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
キーボード
配列 6列アイソレーション 6列アイソレーション 6列アイソレーション 6列アイソレーション 6列アイソレーション 6列アイソレーション
キーピッチ(実測) 18×約18mm 約18×約18mm 18.7×18.7mm 19×15.2mm 約19×約19mm 約18×約18mm
キーストローク 1.2mm 非公開 1.5~1.7mm 2mm 約1.2mm 非公開
Enterキーの幅 上段23mm/下段18mm 上段14.5mm/下段11.5mm 上段21mm/下段16mm 上段20mm/下段15mm 上段30mm/下段25mm 上段約22mm/下段約17mm
カーソルキーの処理 同列で↑の左右にキーがある 一段下げているが、↑キー両側にキーがある サイズを小さくして↑キーの両側を空けている 一段下げているが、→の右にFnがある 一段下げて↑キーの両側を空けている 一段下げているが、↑キー両側にキーがある
パームレスト奥行き 72mm 75mm 74mm 94mm 65mm(カーソル部51mm) 80mm
キートップ形状 ほぼ平ら 適度な凹み ほぼ平ら ほぼ平ら ほぼ平ら 適度な凹み
ボディのたわみ 強く押すとわずかに沈む まったくない まったくない まったくない まったくない まったくない
バックライト 非搭載 搭載可能 搭載 非搭載 非搭載 搭載可能
ポインティング
デバイス

種類 クリックパッド タッチパッド 感圧式クリックパッド タッチパッド タッチパッド トラックポイント&クリックパッド
パッドサイズ 91×61mm 99×52mm 94×54mm 93×53mm 97×42mm 82×53mm
ボタン パッド一体型 2ボタン独立型 2ボタン感圧式 2ボタン独立型 2ボタン独立型 "3ボタン独立型(トラックポイント) パッド一体型(クリックパッド)"
点数 7.5 9 9.5 6 8.5 9.5

 採点はキーボードを重視して行ない、トップがEliteBook Folio 1020 G1 SEとThinkPad X250で9.5ポイントとした。キーボードにかなりクセがあり、タッチパッドも使い勝手が良いとはいえないLet'snote CF-MX4は大きく割り引いた。

photo


■Versa Pro J VG-L
キーストロークが浅めで、強くタイプするとボディが沈む感触もある。カーソルキー周りの処理にも難がある。タッチパッドは常用するのは辛い操作感だ。

■LATITUDE E7250
キーピッチはやや狭めもキーボード、ポインティングデバイスともしっかりした作りで操作感は良好。カーソルキー両側にキーがある点はマイナス。

■EliteBook Folio 1020 G1 SE
キーピッチにゆとりがあり、配列などにも致命的な欠点がなく使いやすい。感圧式クリックパッドの操作感も良好だ。

■Let'snote CF-MX4
横のキーピッチは広く確保するが、縦のキーピッチが極端に狭い。カーソルキー右にFnキーがある配置はかなり戸惑う。タッチパッドの操作感も良いとは言いがたい。

■ThinkPad X250
ピッチが若干狭めでカーソルキー周りの処理に難があるが、感触は良好。スティック型とパッド型両方を搭載し、どちらかのみ、あるいは両方同時に使うことができる。

比較9:液晶ディスプレイの見やすさ ~長時間の利用でも目が疲れないか~

 仕事では長時間画面と向き合うことになるため、液晶ディスプレイの見やすさもビジネスの生産性を大きく左右する。サイズ、表示解像度、ヒンジ角度の調整幅など、見やすさに影響するスペックを調査するとともに、エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」を使って実測した結果もまとめた。液晶の配向方式は非公開のものも多いが、見た目の印象から推定した。

 サイズも解像度もバラバラなので厳密な比較は困難だが、まずは見やすいということを最優先している。その点で、EliteBook Folio 1020 G1 SE、ThinkPad X250、LIFEBOOK S935/Kの3台が浮上する。視野角の広さ、明るさ、ノングレア仕上げの質の良さなどが影響していると思われるが、純粋に見た目の印象が良い。

比較9:液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイ Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
サイズ 13.3型 12.5型 12.5型 12.5型 13.3型 12.5型
表示画素数(アスペクト比) 2560×1440ドット 1366×768ドット 2560×1440ドット 1920×1080ドット 2560×1440ドット 1920×1080ドット
画素密度 約221ppi 125ppi 約235ppi 約176ppi 約221ppi 176ppi
表面仕上げ ノングレア ノングレア ノングレア グレア(アンチグレアシート装着) ノングレア ノングレア
液晶配向方式 非公開(VA) 非公開(TN) IPS IPS 非公開(IPS) IPS
ヒンジの角度 約180度 約180度 約125度 約360度 約105度(最大約140度) 約180度
測定輝度 262cd/m2 216cd/m2 315cd/m2 284cd/m2 338cd/m2 408cd/m2
測定色温度 7472K 7226K 7448K 7015K 7542K 7224K
測定色域:sRGBカバー率(面積比) 98.7%(104.9%) 62.3%(62.5%) 97.6%(101.6%) 99.6%(103.9%) 98.7%(101.6%) 72.4%(73.0%)
8.5 4 9.5 7 9 9

 中でも高解像度で画素密度が高く、基準であるsRGBにほぼ準拠した色域をもつEliteBook Folio 1020 G1 SEとLIFEBOOK S935/Kがリードするが、後者はヒンジの角度調整幅に致命的な難がある。EliteBook Folio 1020 G1 SEも致命的ではないにせよ、もう一歩というところなので、0.5ポイント割り引いた9.5ポイントとした。LIFEBOOK S935/Kと、精細さで若干劣るThinkPad X250は同点で9ポイントとした。Versa Pro J VG-Lは上位3台に比べると若干見劣る印象だが、大きな差はなく、色域などの計測結果も悪くない。ヒンジも角度の自由もきくことから同じく8.5ポイントとした。

 Let'snote CF-MX4は、アンチグレアシートの品質があまり良くない印象。照明などの映り込みが抑え切れていないうえ、ディスプレイの画素密度に対してアンチグレアシートの密度が十分でない場合に生じるギラつきも少しある。輝度もそう低くはないし、色域などの計測結果は良いのだが、見やすさという点で不満が大きいため、満点から3ポイントマイナスとした。

 LATITUDE E7250は1台のみ1366×768ドットと表示解像度が低く、画素密度125ppiという数字をみるまでもなく表示が粗い。数万円クラスの低価格なノートPC、あるいは数年前のビジネスPCによくある品質で、大きくマイナスせざるを得ない。なお、BTOでは公称輝度360nit(=360cd/m2)と明るく、1920×1080ドット表示に対応する高解像度パネルも選べることを付け加えておく。

photo


■Versa Pro J VG-L
角度を変えると少し色あせて見えることからVAパネルを採用していると思われる。高解像度で精細感は高く、ヒンジの角度は約180度まで開く。

■LATITUDE E7250
明らかに表示が粗く、青っぽい色味でコンテンツをきちんとした色で表示できない。安価なノートPCによくあるクラスの表示品質といえる。BTOではより明るい1920×1080ドットのパネルも選択可能だ。

■EliteBook Folio 1020 G1 SE
IPSパネルを採用しており、目視の印象、計測結果ともきわめて良好だ。高解像度で明るく、色味も素直だ。ただ、ヒンジの角度があまり開かない点が惜しい。

■Let'snote CF-MX4
IPSパネルを採用しているが、見た目の印象はあまりよくない。アンチグレアシートを貼っているが、映り込みが抑え切れていないし、特有のギラつきも感じる。

■LIFEBOOK S935/K
ヒンジは最大140程度まで開くが、重量バランスが悪いために本体が浮いてしまう。しっかり安定するのは約105度までとシビアで、明らかにマイナス。表示品質自体は目視の印象、計測結果ともきわめて良好。高解像度で明るく、色味もsRGBに忠実だ。

■ThinkPad X250
こちらもIPSパネルを採用している。精細感はさほどでもなく、色域も広くはないが、色味も素直で、見やすさという点では上位にくる。最大輝度は6台中で最も高かった。

比較10:堅牢性 ~タフに使えるか~

 ビジネス向けのモバイルPCにとって堅牢性は必須の要素だ。外に持ち出せば振動や衝撃がかかることは避けられないし、一刻を争うような場面で道具であるPCのことまで気にしている余裕はない。少々手荒に扱っただけで破損してしまっては、生産効率が大きく損なわれる。

 表には、それぞれのメーカーの堅牢性に関して言及されている主張をまとめた。また、水がかかった場合に外に出せる排水口があるかどうかも調査した。結果的に壊れなければ良いというものではなく、心理的に安心できる裏付けというのも重要だ。公開している情報が少ない製品は少し割り引いた。

比較10:堅牢性
堅牢性 Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
Webページに明記されているアピールポイント マグネシウムリチウム合金採用。150kgf面加圧、76cm落下テストクリア マグネシウム合金含むTri-Metalシャシーを採用。MIL-STD-810G適合(詳細不明) マグネシウムリチウム合金、カーボンファイバーを採用。MIL-STD-810G(落下、振動、衝撃、粉塵、湿度、高度、高温、低温、温度変化)クリア ボンネット構造、ボディケースはカーボン強化マグネシウムダイカスト採用。76cm落下、天面底面100kgf面加圧振動試験クリア。ヒンジ耐久テスト動画公開、強化ガラス、高耐久USBポート、レーザー印刷キーボード採用 デュアルグリッド構造、金属筐体採用。天面面加圧200kgテストをクリア MILスペックの10項目(湿度、低温、高温、粉塵、振動、メカニカル衝撃、高度、極端な温度変化、日射、細菌)テストをクリア
排水口の有無 搭載
短評 薄さ、軽さの割には健闘しているが、他の頑強さに比べると一歩譲るのは否めない。 剛性感が非常に高く、どこを持っても不安を感じない 剛性感が非常に高く、どこを持っても不安を感じない 剛性感が非常に高く、どこを持っても不安を感じない 空洞感はあるが剛性は非常に高い。バッテリーカバーやマルチベイあたりの樹脂部品に微妙に不安を残す。 剛性感が非常に高く、どこを持っても不安を感じない
点数 8 9 10 9.5 8.5 9.5

 実際に持ってみた印象からは、EliteBook Folio 1020 G1 SE、ThinkPad X250、LATITUDE E7250、Let'snote CF-MX4、この4台はどれも甲乙付けがたい。この中で排水口まで搭載しているのはEliteBook Folio 1020 G1 SEのみであり、さらにMIL-STD-810Gに含まれるテスト項目まで言及しており、情報量という点も問題ない。これは満点評価でよいだろう。逆に、LATITUDE E7250は情報量の面で物足りず、割引が妥当で9ポイント。その他の2台は9.5ポイントとした。

 LIFEBOOK S935/Kも上記4台に比べてそう見劣りはないが、着脱式のベイを搭載しているためか部分的に不安な部分があるため、LATITUDE E7250からさらに0.5ポイント差し引いた。Versa Pro J VG-Lも堅牢性への配慮は見られるが、この中に入ると剛性が見劣るのは否めず、さらに0.5ポイントマイナスした。

比較11:セキュリティ機能 ~ビジネスで安心して使えるか~

 最後に、セキュリティ関連機能を調査した。ビジネスPCは企業にとって何よりも重要な情報を扱うだけに、セキュリティ対策は欠かせない。暗号化やデータの完全消去機能など情報漏えい対策、不正使用を防ぐ認証デバイスは搭載できるかなどを調査した。

比較11:セキュリティ機能
セキュリティ Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
情報漏洩対策
セキュリティチップ(TPM) 搭載(TCG V1.2) 搭載(TCG V1.2) 搭載(TCG V1.2) 搭載(TCG V1.2) 搭載(TCG V1.2) 搭載(TCG V1.2)
HDD(ドライブ全体)暗号化 BitLocker BitLocker HP Client Security BitLocker BitLocker BitLocker
ファイルフォルダの暗号化など Dell Data Protection(オプション) HP Client Security Infenion Security Platform Infenion Security Platform
デバイスのアクセス制限 Device Lock Lite BIOSで対応 HP Client Security BIOSで対応 Port Shutter Premium BIOSで対応
HDDデータ消去(全体消去) HDD/SSD/フラッシュメモリデータ消去 データ破壊サービス(無料だが送付が必要) Secure Erase ハードディスクデータ消去ユーティリティ ハードディスクデータ消去ツール
不正使用対策
パスワード入力代行 NEC Authentication Agent Dell Data Protection HP Client Security DDS EVE FA Standalone for Panasonic SMARTACCESS Basic パスワードマネージャー
シングルサインオン NEC Authentication Agent Dell Data Protection HP Client Security DDS EVE FA Standalone for Panasonic SMARTACCESS Basic 不明(認証デバイス非搭載)
指紋センサー搭載 搭載可能 搭載 搭載可能(他の認証デバイスと排他) 搭載可能 搭載可能
スマートカード搭載 搭載可能 搭載可能(他の認証デバイスと排他) 搭載可能 搭載可能
NFCリーダー搭載 搭載可能 搭載 搭載可能(他の認証デバイスと排他) 搭載可能
その他本体に搭載可能な認証デバイス 手のひら静脈センサー(指紋と排他)、人感センサーWebカメラ
盗難対策
セキュリティロックポート 搭載 搭載 搭載 搭載 搭載 搭載
リモート監視/ロックなど 遠隔データ消去サービス(3ヶ月無料) Computrace対応(要有料契約) Absolute Data Protect(4年間無償) TRUST DELETE Biz(要有料契約) CLEARSURE(要有料契約) Computrace対応(要有料契約)
BIOS/UEFI
セットアップ画面のUI キー操作のみ マウス操作可能 マウス操作可能 マウス、タッチ操作可能 キー操作のみ キー操作のみ
メニュー言語 英語 英語 日本語、英語含む14言語対応 日本語、英語、仏語 日本語、英語 英語
セットアップ/管理者パスワード(設定変更を許可するパスワード) 対応 対応 対応 対応 対応 対応
システムパスワード(起動パスワード) 対応 対応 対応 対応 対応 対応
HDDパスワード 対応 対応 対応 対応 対応 対応
デバイスアクセス制限 カードスロット、USB、カメラ、マイク、無線など カードスロット、USB、カメラ、マイク、無線など カードスロット、指紋、USB、カメラ、マイク、無線など タッチ、光学ドライブ、ストレージ、カードスロット、指紋、USB、カメラ、無線など カードスロット、指紋、USB、カメラ、マイク、無線など カードスロット、USB、カメラ、マイク、無線など
短評 機能としてはひととおりあるが、本体には認証デバイスの搭載ができない。PINまたは外部USBメモリなどでの認証のみ。大きくマイナス。 有料オプションは充実しているが、標準で使える機能は他社に比べると少なめ。 ADPは、Computraceの簡易版ながら4年間無償で使えるのはアドバンテージ。多くの機能はHP Client Securityにまとめられ、ウィザードで設定できるのも良い。 認証デバイスは案件別対応モデルでどれか1つのみ搭載可能。必要な機能はひととおりある。 数多くの認証デバイスを搭載できる。標準で必要な機能はひととおり揃っている。 セキュリティを確保するためのハードウェアはひととおり揃えているが、ソフトウェアは最小限で、運用する企業担当者に任せるというスタンスと思われる。
点数 6 8.5 10 8.5 9 7

 最も充実しているのはEliteBook Folio 1020 G1 SEだ。情報漏えい対策、不正使用対策の認証機能、盗難対策、そしてBIOS(UEFI)のパスワード機能など、いずれも不足なく用意している。特に盗難対策のリモートロック機能が標準で4年間無償で使える点は強調できる。

 さらに、各機能はHP Client Securityからウィザード形式で設定できる。セキュリティに関して高度な知識がなくとも、一定のセキュリティを確保できる点は他にはないアドバンテージといえ、満点評価でよいだろう。

 LATITUDE E7250はこれに近いツールを用意しているが、多くの機能が有料オプションとなっており、標準で使える機能が他社に比べて少ない。2ポイントマイナスした。

 Let'snote CF-MX4とLIFEBOOK S935/Kは、機能面ではひととおりの内容を揃えているが、リモートロック機能は有料のみであり、他の機能もセキュリティに対する知識がある担当者が導入する必要があり、ハードルは高い。さまざまな認証デバイスが搭載できる利点があるLIFEBOOK S935/Kは満点からマイナス1の9ポイント。認証デバイスが1つに限られるLet'snote CF-MX4はマイナス1.5の8.5ポイントとした。

 ThinkPad X250は、セキュリティを確保するためのハードウェア的な要素は揃えているものの、ソフトウェア的なケアがほとんどない。企業側の担当者が独自に導入するものだというスタンスなのだろう。理解はできるが、評価としては大きくマイナスせざるを得ない。Versa Pro J VG-Lは逆に、ソフトウェアは揃っている(使いやすいとはいえないが)が、本体に認証デバイスを搭載できないという大きな欠点があり、さらにマイナスした。

総合評価 ~総合力に優れるEliteBook Folio 1020 G1 SE

 それぞれのチェックポイントで見てきた各項目を表にまとめ、点数を平均して算出した。結果は、EliteBook Folio 1020 G1 SEが8.95ポイントでトップで、2位のLet'snote CF-MX4には0.64ポイント差をつけた。他の5台は0.5ポイント以内の差に収まっていることを考えると、1歩、いや2歩ほど抜け出していると言ってもよいだろう。

総合評価
総合点 Versa Pro J VG-L LATITUDE E7250 EliteBook Folio 1020 G1 SE Let'snote
CF-MX4
LIFEBOOK S935/K ThinkPad
X250
本体の携帯性 9.5 6 9 6.5 5.5 4
ACアダプタ 9.5 7.5 9.5 10 8 9.5
パフォーマンス 8 9.5 7 9 9 8.5
消費電力 7 8 9 8 7 6.5
放熱性能 8.5 8.5 9 7 7 8.5
バッテリー(実用基準) 6 10 8 10 4 10
インターフェイス 8 8.5 8 10 9.5 9
キーボードとポインティングデバイス 7.5 9 9.5 6 8.5 9.5
ディスプレイ 8.5 4 9.5 7 9 9
堅牢性 8 9 10 9.5 8.5 9.5
セキュリティ 6 8.5 10 8.5 9 7
合計(平均) 7.86 8.05 8.95 8.32 7.73 8.27

 このような結果になったのは、目立つ欠点がなかったことが大きい。11項目中で8ポイント以下は3項目と、バランスよく高得点を挙げた。ボディの薄さ軽さとバッテリーやインターフェイス、パフォーマンスと放熱性能など、それぞれトレードオフの関係にある要素が多いのはモバイルPCの宿命だが、薄さ、軽さを追求しながらも妥協を最小限に抑えた企画力と技術力は光る。

photo

 ビジネスにおいて特に欠かせない要素であるセキュリティ機能が充実している点は実に心強いし、省電力であることからランニングコスト削減が期待できる。何より、わずか15.7mm、約1kgで携帯性に優れ、堅牢性にも不安がないボディは大きな魅力だ。生産性向上、TCO削減、両面において大きな成果を挙げることに貢献できる薄型軽量ノートPCとして、強くおすすめできる製品といえる。

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