ITを導入したからといって、即ワークスタイル変革にはつながらない
少子高齢化が日本にとって大きな課題であることは論をまたない。すでに日本は、4人に1人が65歳以上の超高齢化社会だ。企業にとってみれば、国内の労働力人口が減り続けることを意味している。結婚や子育て、介護といったライフステージの変化にあっても柔軟に働けるようにしなければ、日本企業は立ち行かなくなる。加えて、社員一人一人の生産性も高めていく必要がある。しかし、日本の労働生産性は海外と比較しても低い。シリコンバレーでコンサルティング会社を起業し、今や内閣府が設置した「選択する未来」委員会に名を連ね、政府の少子化対策にも提言を行うネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEOの石黒 不二代氏は、その危機感を次のように語る。
「2014年のデータでは、日本はOECD加盟国34か国中で21位、先進7か国中では最下位です。しかも、このデータには世界でも有数の高い生産性を誇る『工場』における生産性も含まれています。にもかかわらず、この結果だということは、ホワイトカラーの生産性が大きく足を引っ張っているのです」(石黒氏)
つまり、旧態依然とした働き方のままでは、グローバルで戦うことを余儀なくされている今の時代、勝ち残ることは難しい。女性や高齢者がもっと活躍できる柔軟さと、従業員個人の生産性を最大化できるワークスタイルへの変革が求められているのだ。
ただ、こうした課題は昔からよく言われてきたもので、実際に「ワークスタイル変革」を謳うソリューションは多い。特にクラウドが登場して以後、電話、メール、予定表、会議などをクラウド化して、場所を選ばない働き方を実現できるツールはたくさんある。石黒氏は次のように指摘する。
「在宅勤務やフリーアドレスを導入し、失敗した日本企業は少なくありません。ITツールはあくまで手段ですので、ITを導入したから即ワークスタイル変革が実現できるわけではないのです。日本のホワイトカラーの生産性が低い理由は、評価制度の問題が一番大きいと思います。アウトプットで評価せず、長時間働くことが良いという、古くから根付いた文化が阻害しているのです。ワークスタイル変革を考えるとき、評価制度などのシステムや制度も合わせて考えないと、結局うまくいきません」(石黒氏)
しかし、スマートフォン(スマホ)などの登場により、既に現場から変革は始まっている。中でも音声コミュニケーション領域は、古い体制のままの企業も多い。こうした音声をはじめとするコミュニケーション手段の新潮流を、自社に上手く落とし込み、本当のワークスタイル変革へとどうやってつなげていけばよいのか。石黒氏は自身の経験を交えながら語ってくれた。
海外企業と比べると周回遅れの日本企業
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