中小企業で「働き方改革」が進まない原因
「働き方改革」は、今やすべての日本企業が取り組んでいるといっていいだろう。ただし、抱えている具体的な取り組み方は、中小企業と大企業では大きく異なる。
たとえば、大企業であれば、従業員の働き方改革のためにサテライトオフィスや在宅勤務の仕組み、AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)を活用した生産性向上にも積極的に投資できるだろう。
しかし、「ヒト」「モノ」「カネ」が不足しがちな中小企業では、そうはいかない。限られた予算は利益を生み出す領域に集中しがちだ。
その結果、中小企業は「バックオフィスのIT化」に大きく後れをとっている。実際、勤怠管理や給与明細の管理、年末調整などの業務のIT化を推進しても、その費用対効果は見えづらい。そのため、いまだにタイムレコーダーのデータ集計や給与計算を手で行っていたり、年末には従業員に年末調整の用紙を配付したりといった作業が繰り返されることになる。
長時間労働を是正することは、働き方改革の基本だといえる。そこがIT化されないため、総務や会計の担当者には月末の締日前後に過大な負担がかかっている。
とはいえ「改善のための予算がない」と嘆く担当者も多いことだろう。しかし、今こそ絶好のチャンスだ。その理由は2つある。1つは、日本政府が中小企業向けにIT導入の支援事業を行っていること。そしてもう1つが、低コストで手軽に導入できる「クラウドサービス」が充実してきたことだ。
経済産業省は、中小企業がITを導入する経費を補助する「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(IT導入補助金)を公募している。補助金額は上限額50万円、下限額15万円だ。
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