オンライン商談の増加によって生まれた「顧客データ」の危機
新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで常識とされてきた多くのことが様変わりしました。さまざまなビジネスシーンにも影響を与え、多くの企業や組織において抜本的なビジネスモデルの転換が求められつつあります。
ビジネスのオンライン化が加速する中、特に「人と人との出会い方」が多様化しています。従来、企業の営業活動は直接やり取りする「対面営業」が中心でしたが、デジタル技術を活用した「オンライン」にシフトしています。緊急事態宣言前後では、対面での商談が減った一方で、オンライン商談の割合が急増しました。
オンライン商談では顧客とのやり取りがオンライン上で完結するため、訪問営業よりも移動にかかる時間やコストを削減したり、リードタイムを短縮できるというメリットがあります。しかし、実際の営業現場では克服しなければ課題が浮き彫りとなっています。
その1つが、ビジネスにおける顧客接点情報の蓄積、いわゆる「顧客データ」の適切な管理や活用に関する課題です。たとえば、顧客データの重要な情報源である「名刺」交換の減少によって活用できるデータ自体が減少傾向にあります。この傾向は、企業経営に重大な影響を及ぼしかねない状況になってきていると言えるでしょう。
そこで実際に、ビジネスパーソンによる顧客データ管理の実態に関する調査結果を基に、経済損失の規模を推計しました。それによると、オンラインシフトによる1企業当たりの平均経済損失額は「約21.5億円」との試算です。こうした顧客データ危機を回避するために必要なこととは何でしょうか? 経営学の専門家の考察などを踏まえ、デジタル化時代における顧客データ管理の最適解を探ります。
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・76.7%がオンライン商談におけるビジネス機会の損失を実感
・顧客データの蓄積・管理・活用ができなくなったビジネスパーソンは約4人に1人
・年間経済損失額は約21.5億と推定、「顧客データ危機」は経営リスクに