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  • 2024/09/30 掲載
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IBM×マイクロソフトが考える、製造業の生成AI「PoC止まり」の終わらせ方

日本の製造業は、デジタル化の遅れと深刻な人材不足という二重の課題に直面している。生成AIはこれらの課題を解決する1つの鍵となるが、現状では試験運用にとどまる企業が多い。そうした中、IBMとマイクロソフトでは、協業を通じて製造業の“全工程”をデジタルツールの活用により変革し、インダストリー4.0の実現を目指している。今回は、両社のキーパーソンの対談を通じて、日本の製造業が直面する課題を乗り越え、次のステージに進むための戦略を探る。

日本の製造業を襲う、デジタル化と人材不足の“二重課題”

──現在、日本の製造業やものづくりの世界が直面している課題について、どのようにお考えですか。

日本マイクロソフト 榎並 利晃氏(以下、榎並氏):日本の製造業には、依然として多くのアナログ業務が残っており、デジタル化が十分に進んでいないという現状があります。これに加えて、他業界と比べても人材不足が深刻で、特に熟練工と若手の間のスキルギャップをどう埋めるかが大きな課題です。これらの問題が生産性の向上を阻害しているのは明らかであり、デジタル化と人材育成の両面からアプローチする必要があるのではないでしょうか。

日本アイ・ビー・エム 田中 啓朗氏(以下、田中氏):榎並さんの指摘に同意するとともに、私は製造業が直面する課題を3つの視点から捉えています。1つ目は「グローバル環境の変化」です。かつてグローバル化といえば、市場や調達全体がグローバルに広がることであり、実質的には価格競争の側面も強かったのですが、現在では地政学的リスクや為替・物価変動を背景に、圧倒的なスピードでの変化対応力がグローバルでの競争力において特に重視されるようになっています。

 次に、「デジタル化の進展に伴う変化」です。AIをはじめとするデジタル化が進んだことで、これまでビジネスの前に立ちはだかっていたさまざまな“壁”が破壊されました。代表的な壁の1つが“言語の壁”であり、海外で誕生したサービスであっても時差なく日本語で使えるようになってきています。そして“業界や企業規模の壁”も崩れたため、規模の大小──つまり資金力の壁を越えて、多くの企業が同じ土俵で競争できるようになっています。これらの壁は、大規模な製造業にとっては自らを守ってくれる壁であったはずです。

 そして3つ目の課題となるのが、特に世界の中でも日本が先んじて直面している課題、人材の問題です。労働人口が減り続ける中で、ベテランの技術をいかに次世代の人材へ継承していくのか。また事業継承をどうしていくのか。これらの課題にどう対応するかが、企業の競争力を左右するでしょう。

──こうした製造業の課題を解決するために、テクノロジーの活用は必須かと思います。中でも近年、注目を集めているテクノロジーが生成AIですが、製造業ではどのように活用すればよいのでしょうか。IBMとマイクロソフトからは、現在の活用状況はどのように見えていますか?

この記事の続き >>

  • ・日本の製造業の未来を切り拓く鍵を握る“生成AI”
    ・生成AIは「新人を育てる」のと同じ──成功する企業としていない企業の違いとは?
    ・マイクロソフトとIBM、それぞれのAI戦略とソリューション展開
    ・IBMとマイクロソフトの協業が日本の製造業にもたらす価値、グローバルな視点も強み
    ・人材不足は日本の製造業にとって生成AIは「飛躍のチャンス」にも?

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