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銀行を取り巻く環境が大きく変化する中、みずほフィナンシャルグループが2023年策定した中期経営計画では「顧客利便性の徹底追求」が注力テーマの1つに掲げられた。そこで重要な取り組みとなったのが、顧客の問い合わせ窓口となる「コンタクトセンターの変革」だ。掲げられた目標は、顧客に寄り添える“世界水準”のコンタクトセンターの実現だ。2024年8月に稼働を開始したばかりのそのコンタクトセンターの狙いと構築経緯について、プロジェクトを牽引した同行のキーパーソンに聞いた。

みずほ銀行のコンタクトセンターが抱えていた課題

 ここ20年で銀行を取り巻く環境は大きく変わった。かつては、各都市の主要駅に多数の銀行の店舗があり、何かあれば店舗の窓口まで出向くのが一般的だった。また、提供サービスの種類も預金や住宅ローンなど、比較的シンプルな商品が中心であった。

 しかし、テクノロジーの進歩によって状況は大きく変わった。インターネットバンキングや専用アプリを通じた銀行サービスの利用が一般的となり、店舗やATMの利用は減少傾向にある一方、提供商品・サービスの種類は増え、預金や住宅ローンにとどまらず、投資信託や外貨預金など多様化・複雑化していった。

 こうした変化に伴い、求められる役割が大きく変わっていったのが「コンタクトセンター」だ。みずほ銀行 カスタマーリレーション推進部 部長の千田 知洋氏は、次のように説明する。「かつてのコンタクトセンターは、店舗の役割を補完するための位置付けにありました。しかし、お客さまの来店機会は減り、従来のように窓口の銀行員のアドバイスに頼らず、電話やチャット、専用アプリを使って自ら銀行サービスを選択・利用するようになりました。そうなると、コンタクトセンターは銀行窓口と同じくらい重要な“顧客接点”としての位置付けになってきたのです」(千田氏)。

 ところが、みずほ銀行のコンタクトセンターは、顧客接点として必ずしも十分な機能を備えているとは言えない状況にあった。あくまで電話中心に問い合わせサービスが構成されていたほか、一問一答が前提で顧客情報との紐付けは十分にされていない状態だったという。みずほ銀行 カスタマーリレーション推進部の佐藤 健氏は、次のように述べる。

「電話に加え、チャットやLINEも導入していますが、後から個別に追加したため、他のチャネルと顧客情報を一元管理できていませんでした。また、やり取りの後方事務への連携は紙ベースで実施されており業務効率の観点でも問題がありました。記録した顧客の問い合わせ内容を他部門と共有する仕組みもありませんでした」(佐藤氏)

 こうした状況のままでは、みずほ銀行が目指す「顧客利便性の徹底追求」は、とても実現できない。同行にとって、コンタクトセンターの抜本的な変革は、まさに“待ったなし”の状況だったのである。

この記事の続き >>

  • ・みずほ銀行が「コンタクトセンター」に持たせた“人の温かみ”とは
    ・何にこだわった?「コンタクトセンター改革」3つのポイント
    ・AI・生成AIに「期待大」と語る理由とは?

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