• 2006/04/27 掲載

会議とは知的作業のルール、対面コミュニケーションの重要性を提案

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ビジネスにおけるコミュニケーションの重要性は普遍的なテーマである。とりわけ、対面により議論を深めていく「会議」は最も重要なコミュニケーション手段といえよう。生産性向上に結びつく会議のノウハウをまとめた「会議の教科書」(ソフトバンク クリエイティブ社)の著者である株式会社 知識工房 社長の山崎 将志氏に、執筆の狙いや会議を進めていく上での重要なポイントなどを聞いた。

東京大学経済学部卒。1994年にアクセンチュア入社。
チェンジマネジメント、組織・業務革新、ナレッジマネジメント、
e-ラーニングによる人材革新など、人材、組織に関するコンサルティング、
および研究活動を一貫して行う。
「eLearning - 実践的スキルの習得技法」(ダイヤモンド社)、
「人を変え、組織を動かす25の鉄則」(共著、ダイヤモンド社)、
「会議の教科書」(ソフトバンク クリエイティブ社)など著書多数。



会議を見れば、会社がわかる

――「会議の教科書」はどのような狙いで執筆されたのでしょうか?

【山崎】弊社では企業の生産性向上などを目的としたビジネスコンサルティングを提供しています。仕事を通じて多くの企業の会議の実態を目にしてきましたが、仕事できちんと成果を出している企業は、効率的な会議を行っているケースが多いですね。そういう会社は時間に関する考え方が非常にシビアで、短い時間で効率よくコミュニケーションを図ろうという姿勢で臨んでいます。"時間というコスト"に対する意識が高いのです。

 しかし、実際はいまだに非効率的な会議を行っている企業が多く、基本的なことが徹底されていません。そのことを指導してほしいというニーズが高いことを知り、このたび会議のノウハウをまとめた「会議の教科書」を執筆しました。


――コミュニケーション・ツールとしてメールが普及したことで、会議の必要性は減っているのでないでしょうか?

【山崎】仕事上の依頼や議論を進めていくには、対象に対する緊急度や重要度などお互いが同じ問題認識を共有していることが重要です。そういう大前提が成り立っている上でのコミュニケーションならメールは有効です。しかし、そうでない場合は、やはり対面で話し合う会議という場をもったほうがよいでしょう。

 あるテーマに対して自分の考えを述べ、それに対する相手の答えを聞いたうえで、さらにまた自分なりの答えを考えていくといったやりとりは、会議だからこそ可能な方法です。それをメールで行っていたのでは、時間もかかるし、話題が意図しない方向にそれてしまう恐れがあります。スピーディに議論を深めていくには、やはり会議が有効なのです。コミュニケーションのすべてをメールに置き換えようとすると、いろいろ弊害も出てきます。用途に応じて、メールと会議をうまく使い分けることが大切です。


アジェンダ、ホワイトボード、課題管理表を活用せよ

――実のある会議にしていくためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか?

【山崎】詳しくは「会議の教科書」で紹介していますが、その中から特に大切な3つのポイントを紹介しましょう。1つ目はアジェンダを用意すること。アジェンダには会議に要する時間、参加者、どんな成果を出すかといったゴールなどを記載しておき、それに対して話し合うテーマを明確に打ち出していきます。あらかじめ作成して配布しておくのがベストですが、時間の関係で難しい場合は、会議を始める前に時間をとって、これらの内容を紙に書き出しておくといいでしょう。いわば会議の設計図のようなものです。

 2つ目はホワイトボードを活用すること。進行が見えない形で話し合いを進めても、議論がかみ合わなかったり、話題が逸れてしまいがちです。それを防止するには、ホワイトボードに議論の内容を書き出しておくことです。アジェンダもホワイトボードに記載しておくと、議論の脱線防止に有効です。2、3人程度の会議なら、紙に書きとめておくだけでも構いません。いずれにしても、内容と経過を可視化しておけば議論の整理に役立ちます。

 3つ目は課題管理をしっかり行うこと。会議の終わりに少し時間をとって、決まったことと決まらなかったを確認し、課題管理表にまとめましょう。次回はその課題管理表をもとに前回の課題やアウトプットなどを確認しながら会議を進めていくのです。アクションを決め、その成果をモニタリングしていくことが重要です。


――3つのポイントを実践することで、どんな成果が期待できますか?

【山崎】アジェンダを作り課題管理表を使うことで、毎回同じ議論を繰り返すムダを省けるとともに、課題が棚上げされることがなくなり、意思決定のスピードアップにつながるでしょう。

 また同じテーマについて話し合っているつもりが、実は別々の視点からアプローチしていたため、議論がかみあわなかったという経験はないでしょうか。ホワイトボードを使うことで、議論を可視化できるため、互いの認識のズレを修正できます。これにより、会議の質は確実に向上するはずです。


個人及び会社にとっても重要な会議のノウハウ

――最後に、会議の重要性についてご意見をお聞かせください。

【山崎】会議とは知的作業のルールだと私は考えています。知的作業のルールを身に付けていないと、仕事はうまく進められません。人材の流動化が進んでいるだけに、個人のスキルアップのためにも効率的で実のある会議の進め方を習得すべきです。

 また昨今は企業間のコラボレーションが進み、複数の企業がプロジェクトを組んでビジネスを展開するケースも増えています。知的作業のルールが根付いていないと企業間の話し合いもうまくいかず、結果的に事業機会の損失につながりかねません。個人のスキルアップのためにも、企業文化を成熟させるためにも、会議の重要性に目を向け、その効率化と質の向上を図るべきなのです。


山崎氏著「会議の教科書」は amazon でお求めいただけます。
 

今回のインタビューの模様は、ストリーミングでご覧いただけます。



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