東芝は6日、府中事業所内に水素エネルギー開発センターを開所したことを発表。同センターでは、グループ内の水素関連技術を融合した水素ソリューションの開発および実証実験を進めていく。
今回開所が発表された水素エネルギー研究開発センターでは、高効率に水と電気から水素を生成する新開発の固体酸化物形電解装置注を設置。今後太陽光発電システムや燃料電池など他の機器と組み合わせ、実用化に向けた検証を行うとともに、顧客ニーズを把握するための当社水素関連技術の展示スペースとして利用される。
東芝では水素関連事業の取り組みとして、本年度以降、離島・遠隔地など発電コストが高い地域向けに、再生可能エネルギーから水素を生成して再び電力として利用する「地産地消型」エネルギー供給システムを実用化。また、2025年をめどに、海外での大規模風力発電などで生成した水素を国内に輸送し、水素ガスタービン発電所で発電を行う水素サプライチェーンの構築を計画している。これにより、大電力網を整備することなくCO2を排出しないクリーンな大量の電力を安定的に貯蔵、供給することが可能になるという。
燃料電池を含めた水素関連の機器・インフラ産業の市場規模は2030年には40兆円と予測されているという。水素は、太陽光や風力などの不安定な自然エネルギーを水素に変換することで大容量、長期間貯蔵できると共に輸送できるため、通常時のほか災害時にも活用が見込まれている。
東芝は、グループ内の水素関連事業で2020年度の売上高1000億円を目指す。