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2015年12月10日

木星が存在し得るのはなぜか? 巨大ガス惑星の謎を解明したイノベーティブな研究

太陽側から数えて5番目に位置する太陽系最大の惑星「木星」。主成分はガスできており、密度は小さく、質量は非常に大きいことなど、いくつかのことは解明されている。しかし、木星というガス惑星が存在し得る理由に関しては、実はつい最近まで説明することができない状態だったという。この謎を解明した研究チームのブレークスルーをNVIDIAブログが紹介した。

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(出典:NVIDIAブログ)

「木星」が形成された理論と矛盾していた現実とは

 ガス惑星というのは、原始惑星と呼ばれる固体をコアとして、そこに氷やちりが集まって形成されたと考えられている。この固体コアが地球の10倍程度の大きさまで急速に成長すると、膨大な量のガスを集積しはじめ、巨大ガス惑星になる。

 しかし、この考え方には問題があった。物理学的に計算すると、惑星形成のもととなった円盤状のガス(原始惑星系円盤)が生みだす重力の作用により、生まれた惑星は中心の恒星に向かって螺旋軌道で落ちていく。つまり理論上は、宇宙には地球のように岩石主体の巨大な惑星が満ちあふれ、木星のようなガス惑星は少なくなるはずだ。

 にも関わらず、NASAのKeplerというミッションで太陽系外の惑星探索が行われた結果、理論的に説明がつかないほど多くのガス惑星が見つかった。この理論と現実は矛盾があったのだ。

 この理論と観測結果の食い違いを解消する共同研究をしようと、原始惑星系円盤と惑星の相互作用を専門とする以下の研究者4名が集まった。原始惑星系円盤と原始惑星が物理的にどういう影響を与えあっているのか、モデル化を試みることになった。

莫大なコンピューティングがガス惑星の謎を解決

 理論と観測結果の食い違いを解消する共同研究をしようと、原始惑星系円盤と惑星の相互作用を専門とする以下の研究者4名が集まった。原始惑星系円盤と原始惑星が物理的にどういう影響を与えあっているのか、モデル化を試みることになった。

 モデルのシミュレーションには相当な計算量が求められる。成長しながら移動していく天体をガス状の星雲が取り囲んでいるわけで、その星雲の流体力学的挙動をモデリングしたり、星雲内における放射エネルギーの移動を計算したりしなければならないためだ。

 これをCPUで実行した場合、何百万時間ものCPU時間が必要になることから、研究チームはサーバー用のGPUアクセラレータ「NVIDIA Tesla K20」のクラスタを採用した。このコードは流体力学的挙動と放射によるエネルギーの移動についての計算を一手に引き受ける。1CPUコアと1GPUの比較で40倍のスピードアップに相当するといい、NVIDIA Tesla K20クラスタによるコードの実行時間は、各研究者のモデルごとに時間単位で数えられる範囲まで高速化させた。なお同チームでは、NVIDIAが提供するGPU向けのC言語の統合開発環境でFARGO3Dというコードを開発して公開している。

 この研究によって、生まれたばかりの木星や他の惑星は、周囲の物質をどんどん集積し、熱を放散していたことが明らかとなった。原始惑星系円盤内にはガスの流れがあるため、惑星周囲における熱の分布が不均一となり、その温度差、つまり密度の差が惑星を中心の恒星から遠ざける力を生みだしていたのだ。NASAが観測してきた多数の巨大ガス惑星について説明することが可能となり、ガス惑星の形成を取り巻く謎の解明に向けて大きく一歩、前進できたといえるだろう。

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