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- 2023/07/17 掲載
私は強制された……マイナカードで問題続出、それでも政府が強行する「おかしな現状」
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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マイナ保健証でトラブル多発
マイナンバーカードを用いる健康保険証(マイナ保険証)で、さまざまなトラブルが生じている。医療機関の窓口で本人確認ができない、このため10割負担を求められる、他人の保険証の内容が見えてしまう、などなどだ。公金受領の登録でも問題が生じ、コンビニエンスストアでの証明書発行でも他人のものが出てくるなどの問題が生じた。このような技術的な問題は完全に解決しなければならない。これは当然のことだ。
導入を急ぎすぎたからさまざまな不具合が生じているとの批判が上がっている。そのとおりかもしれない。
ただし、重要なのは、仮にこうした技術的問題が完全に解決されたとしても、基本的な問題が残っていることだ。だから、トラブルが解決されれば、健康保険証をマイナ保険証に切り替えて良いということにはならない。
以下で述べるように、政府が進めようとしている基本的な方向には重大な問題があり、制度の根幹を考え直す必要があるのだ。
問題(1):カード取得は“任意”ではなく“強制”に
マイナンバーカードの取得は任意とされている。しかし、健康保険証は誰にとっても必要なものだ。したがって、健康保険証をマイナ保険証に切り替えるということは、マイナンバーカードの取得を事実上強制することになる。これが、基本的な大問題であり、マイナンバーカード制度の基本にかかわることだ。現在の健康保険証の仕組みはスムーズに機能している。これをマイナ保険証に切り替えたからといって、格別の利点はない。
利点を感じる人がいるかもしれないが、それはすべての人ではない。だから、利点を感じる人がマイナ保険証に替えれば良いだけであって、現在の健康保険証を廃止しなければならないという理屈は成り立たない。 【次ページ】問題(2):切り替えが難しい人々の存在
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