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  • 2022/04/06 掲載

最新キャッシュレス決済「利用率ランキング」、楽天カード・PayPayが人気な理由とは?

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近年、キャッシュレス化が急速に進行している。特に利用率の上昇が顕著なのがQRコード決済だ。一方、単なる決済サービスだけでなく、エンベデッドファイナンス(埋込型金融)をベースとしたサービスも台頭してきているなど、キャッシュレス決済市場は盛り上がりを見せている。日本のキャッシュレス決済市場の現状と今後の見通しについて、インフキュリオン コンサルティングのマネジャーである森岡剛氏に話を聞いた。

インフキュリオン コンサルティング マネジャー 森岡剛氏

インフキュリオン コンサルティング マネジャー 森岡剛氏

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キャッシュレス決済サービスの利用率ランキング
(後ほど詳しく解説します)

キャッシュレス決済普及が急速に進んだ理由

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インフキュリオン コンサルティング
マネジャー
森岡剛氏
 キャッシュレス化は飛躍的に進行しています。大きな転機となったのが2019年10月の消費増税と、その際の経済産業省のキャッシュレスポイント還元の施策です。このキャッシュレスポイント還元が、店舗側キャッシュレス化の広がりに大きく貢献しました。

 キャッシュレス化を推し進めたもう1つの要因は、QRコード決済の登場です。QR決済サービスのほとんどは、決済そのもので儲けるのではなく、巨大な顧客基盤を獲得し、それをさまざまなサービスにつなげるという戦略の下、多大なプロモーションを展開し、QRコード決済の利用率も上昇しました。

 2019年4月の時点でバーコード決済も含めたQRコード決済アプリの利用率は12%でしたが、2021年4月の時点で54%と半数を超えています。このサービスは数年前には存在していなかったものであるため、短期間で急激に伸びたと言えるでしょう。

PayPayが躍進、キャッシュレス決済の利用率ランキング

 QRコード決済アプリの代表的なものは、PayPay・楽天ペイ・d払い・auPAY・LINE Pay・メルペイなどです。2021年4月の弊社の調査によると、キャッシュレス決済の利用率ではクレジットカードがトップですが、QRコード決済アプリはFeliCa型電子マネーに匹敵する規模になっています。

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図表1:キャッシュレス決済の個別サービス利用率ランキング
(出典:インフキュリオン コンサルティング)

 キャッシュレス決済サービスの個別ランキングを見ると、楽天カードが1位でPayPayが2位です。8位に楽天ペイ、10位にd払い、11位にau PAY、15位にLINE Payと、コード決済が多数上位にランクインしている点が大きな特徴と言えるでしょう。特にPayPayの急速な伸びが目立っています。長い間2位をキープしていた交通系ICカードを抜き、2位になったことは象徴的です。

 新興勢力のQRコード決済が急速に伸びている中、老舗クレジットカードや電子マネーは横ばい、もしくはコロナの影響で微減しているところもあります。伸びているのは、QRコード決済とクレジットカードの中でも新興勢力と呼ばれる楽天カード、Yahoo!JAPANカード(2022年4月よりPayPayカード)、ドコモのdカードなどです。

 キャッシュレス化の進展とともに、キャッシュレス決済市場の構造転換が進行中であると考えます。

最もキャッシュレス決済が普及している業種とは?

 新興勢力のクレジットカードが伸びているのは、ポイント還元だけでなくQRコード決済との連携などさまざまな利用が可能である点が大きいと考えます。楽天経済圏で見ても、楽天カードを利用して獲得した楽天ポイントの出口として楽天ペイが使えますし、メルカリでは販売からの売上がそのままメルペイで使えるなど、お金をチャージしなくても使えることになり、従来とは違った利用導線が出現しています。

 QRコード決済アプリ利用者に対して、2020年3月に実施した調査で「残高をチャージする手段として何を使っていますか」という質問をしたことがあります。クレジットカードがトップになると想像していたのですが、回答データでは「銀行口座チャージ」が僅差でトップという結果に驚きました。カード決済のインフラに依存しない利用方法が成立しています。

 実際にQRコード決済がどのような使い方をされているか、弊社で業種ごとに調査したのが下の表です。オレンジ色がORコード決済アプリです。ほとんどの業種で現金が最も高い割合になりますが、コンビニでは、現金と並んで最も多く使われているのがコンビニでした。ファストフードでの利用率も現金に次いで2位です。

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図表2:主要業種でよく使われている決済手段の比率
(出典:インフキュリオン コンサルティング)

 コンビニとファストフードで利用頻度が高いのは、手軽さが支持されているからだと考えられます。この2つの業種は利用頻度が高く顧客接点も多いのですが、決済サービスとして見ると、実は問題があります。単価が低い業種であるため、利用金額に一定の料率をかけた金額を加盟店から手数料として徴収したとしても、収益がそれほど大きくならないのです。決済事業単体ではビジネスとして成り立っていないという根本課題があります。

 一方、決済サービスを単体事業として見るのではなく、決済利用で顧客をつなぎとめて、ほかのサービスへの入口にしたいとの狙いもあります。ORコード決済が起点となったサービスが登場する可能性は、少なくありません。

2021年最も利用された「スマホアプリ」は?調査結果とは

 コロナによるデジタルシフトの影響は、我々の想定以上に大きいものでした。たとえば、コロナ禍における自粛期間中に、モバイルバンキングが一気に浸透しました。また、さまざまな生活サービスでのアプリ利用も拡大しました。

 当社が実施した「過去1年間であなたがアプリで利用したことのあるものをすべてお答えください」というアンケートにおいて、アプリ部門の回答トップとなったのが「銀行口座の確認」でした。

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図表3:「利用したアプリは?」という問いへのユーザーの回答
(出典:インフキュリオン コンサルティング)

 2位以下は「音楽や動画の視聴」「ネットショッピング」「ポイント画面表示」「クーポン表示」となっています。金融サービス以外でも、アプリを利用するユーザーが増えたことを示しています。金融に関係ないアプリであっても、金融機能を組み込むことで、金融サービスのすそ野がさらに広がる土台が整ってきたと考えることができるでしょう。

 エンベデッドファイナンス(埋込型金融)が注目を集めているのは、こうした土壌が整ってきたことも関係しています。エンベデッドファイナンスは異業種のサービスに対して金融の機能を埋め込み、アプリを経由してさまざまな金融機能を利用してもらう新しい金融サービスです。まだ始まったばかりですが、キャッシュレス決済の浸透とアプリ利用の広がりによって、今後拡大することが予測されます。

【次ページ】埋込型金融サービスの「勝ちパターン」とは

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