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  • 2023/11/22 掲載

「製造現場×生成AI」、世界に遅れる“日本の製造業”は変われるか? 識者7人が激論

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生成AIを製造現場でどのように使えば良いのか──。いま巷ではChatGPTによる驚異的なビジネスへの影響が話題になり、すでにさまざまな分野で応用への検討が始まっている。それは製造現場でも同様だ。とは言え、製造現場でどのように生成AIを適用していけば良いのか、まだ見えないところも多い。今回、IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)の理事長、西岡 靖之氏による司会の下、製造業のAIやデータ活用に詳しい識者6人が一堂に会し、生成AIの課題やビジネス展開、将来性などについて熱い議論を交わした。

聞き手・構成:編集部 井内亨、執筆:井上猛雄、写真:大参久人

聞き手・構成:編集部 井内亨、執筆:井上猛雄、写真:大参久人

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製造現場での生成AI活用に向けて、有識者7人がアツい議論を交わす

AI導入で留意すべき「2つのハードル」

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東京情報デザイン専門職大学
教授
平田 敏明氏
 日本の場合、特に少子高齢化の問題がある。製造現場で重要課題とされる人材不足やスキルレス化に対応するための手段として、AI活用が1つに挙げられるだろう。過度な人依存からの脱却は急務であり、こうした課題を解決するため、多くの企業が積極的な生成AI活用のトライアルを行っている。

 一般的には文章校正や翻訳、要約などで多く使われ、画像生成もコンテンツ制作やマーケティングなどで活用され始めた。しかし、東京情報デザイン専門職大学で教鞭を執る平田 俊明教授は「生成AIの可能性は広いですが、情報の信ぴょう性や誤情報、価値観や偏見、本人認証の難しさといった課題もあります」と指摘する。

 そのほか、AI導入時にはマネジメントと作業現場の2つの視点でハードルがある、と指摘するのはAIエンジニア教育を進めるMorning Project Samurai 代表取締役の金子 純也氏だ。

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Morning Project Samurai
代表取締役
金子 純也氏

 金子氏は「マネジメントの視点ではトップダウンの体制確立と、費用対効果の算出が重要です。一方、作業現場の視点では継続的なモデルのチューニングと、実施の仕組みが求められます」と2つのハードルを指摘する。これに加え、現場に残る漠然としたAIへの不安感を払しょくする必要もあるが、「自然言語でインタラクションが取れる生成AIは、問題解決の糸口の1つになるでしょう」という。

製造現場が考えるべき「生成AIのリスク」

 同時にデータや知財へのリスクも同時に考慮しなければならない。こういったリスクは各社、企業間、社会全体という観点で考える必要がある。

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日立ソリューションズ
松本 俊子氏
 知財関係に強い日立ソリューションズの松本 俊子氏は「まず自社の知財を守りつつ、意図しない知財混入を防ぐ仕組みが重要です。また企業間の協調領域で授受されるデータをAIに活用し、ノウハウを共有すれば効果が大きいので、リスクを恐れずに取り組むことも大切です。社会全体で見ると、インターネット上の学習データの枯渇から企業内のデータの価値が高まるとも言われています」と説明。

 続けて、「日本では生成AIについて企業も法律専門家も素早く反応して生成AIのリスクに対応しようとしています。製造現場でも、積極的に試し、問題があれば声を上げていくべきでしょう」と提言した。

 実際に自社データを生成AIに投入する際のリスクでは何が考えられるだろうか。この点について、金子氏は「学習時にはサービサーのサーバにアップしなければならないため、まず利用規約を精査して下さい。よくある注意点は、自社データをサービサー側に使われる可能性があるということです。自分が使おうとしているサービスが、どのタイミングでデータを取っていくのか、気を付けたほうが良いでしょう」とアドバイスした。

 こうした中でもすでに生成AIを応用した事例が報告され始めている。 【次ページ】製造現場むけ生成AIの「2つの事例」

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