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- 2024/02/02 掲載
NVIDIA一強は終わるか? AMDやインテルら猛追のAI半導体競争のゆくえ
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
生成AIで需要爆増のAI半導体
2023年はChatGPTに端を発する生成AIトレンドにより、データセンターグレードのGPU需要が爆発的に伸び、同市場で独占的なシェアを有するNVIDIAの売上高は史上最高を記録した。生成AIの中でも大規模言語モデルの開発(トレーニング)と運用(推論)では、膨大な情報を素早く処理する必要があり、NVIDIAが提供するデータセンター向けのGPU「A100」や「H100」が飛ぶように売れたためだ。
マイクロソフトは2023年3月、OpenAIへの支援の一環で2万のA100によって構成されたスーパーコンピューターを構築し、さらには新しい半導体の開発を発表。競合他社もOpenAIを踏襲し、大規模言語モデルの開発・運用に向け1万~2万のA100、また最新のH100の購入、中にはさらに多くのGPU購入を計画している企業があるともいわれている。
NVIDIAが2023年11月21日に発表した最新の四半期報告によると、第3四半期(2023年8~10月)の売上高は、181億2,000万ドルと前期比34%増と好調を維持、また前年同期比では206%増という驚異的な伸びとなった。
この内訳を見ると生成AI需要が同社の売上増加の大きな要因になっていることが分かる。
NVIDIAの事業は大きく、データセンター向けのGPUとゲーミングPC向けのGPUの2つに分けられるが、直近四半期のデータセンター向けGPUの売上高は145億1,000万ドルと全体の80%以上を占める結果となった。また、売上成長率もデータセンター向けGPUは、前期比41%増、前年同期比279%増を記録した。
NVIDIAのデータセンター向けGPUの売上高は数年前まで、ゲーミングPC向けGPUを下回るものだったが、2020年に「A100」をリリースしたこと、また機械学習分野への関心度の高まりも相まって、少しずつ売上を伸ばしてきた。
2022年第1四半期に初めて、データセンター向けGPUの売上高がゲーミングPC向けGPUを超えたとして話題となったが、このときのデータセンター向けGPUの売上高は36億ドルにとどまるものだった。直近の売上高はこの4倍以上。2023年の生成AIトレンドがNVIDIAにとって分水嶺になったことは間違いないといえる。
こうした状況を背景にNVIDIAの存在感はさらに大きなものとなっているが、競合企業も取り組みを加速しており、2024年は生成AI領域におけるAI半導体競争が激化し、NVIDIA一強から波乱の状況が生まれる可能性も高まっている。
AMDの新GPU「MI300X」は“安くて高パフォーマンス”
注目すべきは、AI半導体をめぐる競争は、「クラウド/データセンター」と「PC/モバイル」の2つ局面で激化するであろうという点だ。クラウド/データセンター領域では、AMDがNVIDIAを猛追。2023年12月、AMDは最新のデータセンター向けGPU「MI300」シリーズを発表、すでにOpenAI、マイクロソフト、メタ主要なAI企業各社が同GPUを使用する計画を明らかにしている。
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