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  • 2023/10/05 掲載

インドのサイバー犯罪を調査、急激な経済発展に隠されたセキュリティ対策の「穴」とは

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米中貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻など、地政学的なリスクが高まる中、生産拠点としても消費国としても、インドの存在感が増している。日本でもホンダ、スズキ、ダイキンなどの成功例から拠点展開を考える企業も増えていると思うが、安全な経済活動に欠かせないサイバーセキュリティの現状はどうなっているのだろうか。9月に発表された、とあるホワイトペーパーを読み解いていこう。

執筆:フリーランスライター 中尾真二

執筆:フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

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サイバー犯罪が発生しやすい地域の特徴とは(後ほど詳しく解説します)

統計データから見るインドのサイバー犯罪の現状

 9月にインド工科大学のインキュベーション事業で設立されたNGO、FCRF(Future Crime Research Foundation)が2022年から23年にかけてのサイバー犯罪統計と概要についてホワイトペーパーを公開した。

 この文書は、インドのデジタル化に伴うサイバー犯罪の全容を俯瞰することで、サイバーセキュリティ対策の拡大と堅牢なデジタルインフラの構築を目的としている。具体的には、サイバー犯罪のホットスポットとどのような傾向があるかの調査内容と統計データを示している。

 調査範囲は、オンライン金融詐欺、システムへのハッキング、オンラインギャンブル、ランサムウェアのような典型的なサイバー犯罪から、ディープフェイク、セクストーション、暗号通貨犯罪、サイバーテロなど多岐にわたる。

 統計データによる現状の分析と注意喚起は、先が読めない国際情勢の中、イノベーションによる経済活動を安全に行っていくために欠かせない。これは対インドに限ったことではないが、経済安全保障の観点から特定国への依存度を下げる動きの中で、日本とインドの関係は新しい局面を迎えている。

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英国のITニュースサイトでも話題のインドサイバー犯罪の現状とは

インドのサイバー犯罪の6割を占めるもの

 サイバー犯罪のトレンド分析では、「オンライン・ソーシャルメディア関連犯罪」「オンライン金融詐欺」「ハッキング・不正アクセス」の3つの大カテゴリについて、それぞれ5ないし12のサブカテゴリに分類し、どのような犯罪が多かったかを調べている。

 これによると全体の77%以上がオンライン金融犯罪で圧倒的多数を示す。次にソーシャルメディア関連の犯罪が12%。ハッキングやシステム侵入は1.5%と低い。

 金融犯罪で最も多かったのがUPI(Unified Payments Interface)詐欺(47.25%)であり、全体のおよそ半数を占めている。UPIはインドで各種送金・決済に使われる個別IDによる決済システムだ。これにより、サービスや事業者を超えて送金や決済を一意に管理できる。

 次に多かったのはデビットカードやクレジットカード詐欺・SIMスワップ詐欺(11.27%)である。どちらも決済など金銭被害に直結するものだが、あわせて58%を超え、ほぼ6割がオンライン金融詐欺ということになる。

 ソーシャルメディア関連のサイバー犯罪はいじめやストーキング(3.87%)とフェイク情報・なりすまし(2.38%)が目立つ。一方で、ハッカーによるクラッキングやシステム侵害はサブカテゴリの合計でも1.57%と非常に少ないという結果となった。 【次ページ】この1年でサイバー犯罪が〇〇倍に増加

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