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- 2023/11/09 掲載
先行セールスフォースをHubSpotやSAPが追随、CRMでも進む生成AI統合のゆくえ
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
セールスフォースが生成AIを統合
企業における生成AIの利用において、拡大が見込まれているのが、すでに多くの企業で導入されているCRMを介したものだ。CRM大手において、生成AIを統合する動きが加速しており、同プラットフォームを利用する顧客企業の社員が生成AIに触れるシーンが増えると予想されるからだ。
中でもトップを走るセールスフォースは、生成AI領域でこの数カ月間、積極的な投資を行っており、CRM大手の中では、かなり先行した動きを見せている。
同社は2023年3月時点で、他社に先駆けCRM向けとして世界初となる生成AI「Einstein GPT」を発表。これは、2016年から運用してきたAIツール「Einstein」を生成AIテクノロジーで強化したバージョン。
Einsteinは、購入する可能性が高い顧客や離反する可能性が高い顧客を検知する能力を持つAIツールだが、Einstein GPTは、テキスト、画像、コードを生成するなど、よりコンテンツ志向のAIツールだ。顧客へのメール回答ドラフトの生成やSlackでの長いスレッドの要約の生成などでの利用が想定される。
またセールスフォースは、2023年9月にサンフランシスコで開催したDreamforceカスタマーイベントで、Einstein GPTの次のステップとなるEinstein Copilot、そしてそれらをカスタマイズするためのEinstein Copilot Studioを発表した。
Einstein GPTとは? 従来の同社AIと何が違うのか
Einstein GPTは、上記で想定されるように、営業担当者のメールドラフト生成など一般的なタスクの自動化支援を担う生成AIツール。一方Einstein Copilotは、さらに踏み込んだ情報にアクセスし、通常では数クリック、または特別な知識を必要とする情報を会話形式で簡単に引き出す能力を持つAIツールだ。セールス担当者が新しいアカウントを分析したり、新人のカスタマーサービス担当者が30日を超えた返品の取り扱い方法を調べたり、プロダクトマネジャーが新製品のローンチ用ストアフロントの生成などを支援できるという。
さらに、セールスフォースは生成AI機能の拡張に伴い、リスク対応にも注力しており、セキュリティ、ガバナンス、データプライバシーなどを管理するための「Einstein Trust Layer」と呼ばれるシステムの構築も進めているという。
現在、Einstein Copilotは現在ベータ版として顧客に提供されている。Einstein Copilot Studioは2023年秋にベータテストが実施される予定だが、いずれも米国での公式なリリース日についても明らかにしていない。 【次ページ】Einstein Copilot Studioを構成する3つの要素
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