【2008年02月14日 00時00分 更新】

ITとの融合が進み、次世代広告媒体として導入の進むデジタルサイネージとは

都内に住む方であれば、JR山手線をはじめ、液晶モニターにニュースや天気、クイズ、広告が流れていることはご存じのことだろう。これらはデジタルサイネージ(電子看板)やアウトオブホームメディアなどと呼ばれ、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマスメディア4媒体に加えられることもあるほどに成長しつつある。

デジタルサイネージとは何か

山手線トレインチャンネル

photo by neepster
 都内に住む方であれば、JR山手線をはじめ、液晶モニターにニュースや天気、クイズ、広告が流れていることはご存じのことだろう。これらはデジタルサイネージ(電子看板)やアウトオブホームメディアなどと呼ばれ、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマスメディア4媒体に加えられることもあるほどに成長しつつある。鉄道(交通)メディアなどとリンクすることで、特定の場所の移動者へ確実に一定の露出ができる媒体として注目を集めている。

 デジタルサイネージは、従来看板が持っていた、「極めて限られた地域のターゲットへ」「何度も閲覧させる」メリットを活かしつつ、「柔軟な変更が難しい」デメリットを払拭したものである。こうした媒体は、設置が容易な薄型の液晶モニターの価格低下に伴い、街頭の大型ビジョンやショッピングモール、果てはエレベータや自動販売機、街の地図にまで及んでいる。

進むネットワーク対応

資生堂が展開しているCOMELのデジタルサイネージ

 とはいえ、従来型のデジタルサイネージは、ネットワークとの連携などはなく、同じ広告をローテションしたり、単純に特定の動画を流しているだけ、などの独立型が基本だった。

 しかし、ブロードバンド化や光ファイバ網の整備、「NGN(次世代ネットワーク)」に代表されるような通信環境の向上、無線通信技術の整備などにより、ネットワークとの連携が容易になった。ネットワークというとインターネット広告も大きな市場になっていくことが見込まれているものの、デジタルサイネージは "リアルに存在する" ため、リーチできるユーザー層のセグメントをインターネットとは分けて考えることができる。

 最近では資生堂が、COMEL(コメル)の運営するデジタルサイネージ福岡「街メディア」を利用し、地域密着型のプロモーションを展開している。これは、単なる無機的なローテションメディアではなく、配信内容を設置機器ごとに調整したり、キャンペーン情報をタイムリーに提供することができる仕組みを備えている。そのため、同プロモーションでは、天気や市政情報など地域に限定した情報を配信して目を引きつつ、その中で資生堂の売れ筋情報や各店舗ごとのキャンペーンも掲載しているという。

 ネットワークへの対応により、こうした形での情報の配信はもちろん、たとえばゴールデンタイムのTVで取り上げられた商品を、その次の日にテレビで紹介された商品として簡単に書き替えることが可能になる。またはインターネットでの各種口コミ情報を掲載することも理論的には可能になる。そういう意味でデジタルサイネージのネットワーク対応は、マスメディアの補完的な役割を担うポジションをまずは目指しているものと思われる。

 とはいえ、電通によれば、屋外広告と交通広告を合わせた市場で約5千億円以上、展示・映像ほかは3500億円程度の規模と試算されており、これがすべてネットワーク対応のデジタルサイネージに変わることがあれば、「渋谷ジャック(渋谷の交差点の広告をすべて同じ商品などで統一すること)」どころか「日本ジャック」がTV程度の広告費で可能になることも予想される。

 昨今製品のライフサイクルは短命化の一途をたどっており、その中でより早い情報のインターネット広告が注目されている。しかし、リアルに存在する広告媒体が同様のスピード感で情報を発信できれば、TVCM以上に多くの人々の目に触れつつ、Googleの検索連動型広告以上にニッチな広告活動を展開できる。デジタルサイネージはその可能性を秘めているのである。

課題は効果測定をどう取るのか

 ただし、ネットワーク化されたデジタルサイネージの普及には大きな課題がある。それは効果測定だ。たとえば先の資生堂の試みでは、「月間客数が以前より1割程度増えた」そうだが、客数が増えたのか、その結果売上が増えたのか、明確に追跡するには調査が必要になる。この点、インターネットが「PV(ページビュー)」という数字で即座に取得できる点と違う。もちろん前述の通りセグメントが違うので、同じ土俵で比較すること自体が間違いだが、テレビなどと違った新しい形の媒体には「結果」が求められる。

 とはいえ、この"ITCシステム"の設備投資効果は加速度的に増えていくので、確実にユーザーの"リアル"を捉えるコンテンツを拡充すれば、コストを抑止しながら徐々にその強さが認められて、既存のアナログ看板をリプレースする市場へ成長していくことだろう。

 もし街中で見かけることがあれば、そのデジタルサイネージがネットワークに対応しているのかどうかを少し疑ってみてもらいたい。

(編集部)

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