山口は、岩崎がクライアントの前でしゃべりはじめると、クライアントが前向きに議論を始める理由がわかった気がした。山口が感心している間に、岩崎は山口に向き合ってまっすぐに目を見た。岩崎に限らず、ABCコンサルティングのシニア・コンサルタントは、部下の理解度を確認するために、まずまっすぐに目を見る。思わず目をそらした山口に、岩崎は質問をした。
「このノウハウを、どう使う?」
「ええと、議論を発散させず、効率よくディスカッションするため。また、コンサルタントが、顧客の話を聞かないで唯我独尊になることを防ぐため。顧客の言っていることが単なる思い付きかどうかを吟味し、思い付きなら受け流し、思いつきでない場合は指摘された問題を解決するようにします…。」
山口は、しどろもどろで答えた。
「0点。」
岩崎は、あっさりと切って捨てた。
「いいかい。重要なのは、会議参加者の価値ある視点をえぐり出して、革新策を作り上げることだ。革新には問題解決という連続的な思考ではなく『思考のジャンプ』、つまり創造が必要なんだ。そして創造には、触発材料である『視点』がいる。だから、会議やインタビューで、すべての発言に注意を払い、革新の視点を見つけたらすぐに革新策を作り確認するんだ。」
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