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2010年07月29日

【CIOインタビュー】協調と競争、300年企業を支えるIT戦略──国分 板東直人氏(前編)

「K&K」の商標で知られる国分は1712年、現在の東京・日本橋に創業し、2012年には300年を迎える、わが国でも屈指の歴史を持つ食品卸の最大手だ。同社は、1960年代後半からコンピュータを積極的に導入。また業界内のEDIの標準化などにも大きく貢献してきた。今回は、これらのプロジェクト責任者を歴任してきた元・情報システム部長(現・経理財務部長)の板東直人氏に、食品流通業界のIT化の取り組みや、企業の情報システム部門の担う役割などを語っていただいた。

業界に先がけてコンピュータを業務に導入

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国分
経理財務部長(元・情報システム部長)
板東直人 氏

──まず、国分という企業の歴史や特色についてお教えください。

 国分は、再来年の2012年で創業300年を迎えます。1712年に現在の茨城県の土浦に醤油醸造工場を開業、同時に江戸・日本橋本町に店舗を設けたのが始まりです。その後、明治になってから食品販売を業とする問屋業に転じ、加工食品、酒類、菓子、日配チルドに加え、水産品や農産品など、より幅広い食品分野への進出を図っています。全国ネットワークを展開し、2009年度売上は1兆4,273億円余にのぼっています。

──これまでのITに関する取り組みをお教えください。

 1960年代後半に事務の効率化の一環として、IBMのマシンを経理事務処理に導入したのが最初です。1994年には、汎用機中心からオープン化へと方向転換を実施。さらに1998年には、情報システム基盤の整備に関する5か年計画として「情報システム高度化5カ年計画」を発表しました。この取り組みは現在も、第3次高度化計画に受け継がれて進行中です。

 この計画の集大成ともいえるのが、2006年に完成した「国分グループシステム体系」で、「KIS(情報系システム)」、「KLS(物流系システム)」、「KMS(業務・会計系システム)」の3つの業務システムから構成されています(図1)。もっとも大きな特長は、これらの中心にある「統合マスター」です。これは各業務システムが共用する各種データをOracleデータベースに切り出したもので、こうした統合データベースは業界でも珍しく、エポックメイキングなシステムにできたと自負しています。

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(クリックで拡大)

図1 国分のシステムの全体像


最大手として業界標準のDBマスターを提供

──現在の流通業界のシステム化の状況をお聞かせいただけますか。

 流通全体の標準化における重要テーマは「卸と小売業」、「卸とメーカー」という2つの方向の標準化です。「卸とメーカー」に関しては、すでにかなりの取り組みが進んできています。その代表的なものが、社団法人日本加工食品卸協会による「日食協フォーマット」で、20年以上にわたって使われています。卸とメーカー間の標準化は、これでほぼできているといってよいでしょう。

 一方、「卸と小売業」はまだまだ発展途上ですが、最近は経済産業省傘下の流通システム開発センターが主導して、流通業界の新しいEDIのガイドラインである流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)の導入を推進しつつあり、この方向での進捗が期待できます。

──その中で国分が貢献していることはありますか?

 2000年、統合マスター管理システムを作った際に、商品マスターに業界標準を取りこみました。それを完成後、ジャパン・インフォレックスという、国分を含む大手食品卸6社が商品情報流通基盤のために設立した会社に、業界標準マスターとして提供したのです。この結果、どの企業であってもジャパン・インフォレックスに参加すれば、業界標準マスターを利用できるようになりました。この背景には、商売では互いによきライバルとして商品や売り方を競っていく一方、情報システムはお互いのビジネスの基盤として共通化することが最終的に業界全体の発展やお客さまの利便につながるという当社社長(編注:国分 取締役会長兼社長 國分勘兵衛氏のこと)の考えがあったのです。

【次ページ】「何のためのコスト削減か?」を考える

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