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  • 2014/09/19 掲載

JOGA 川口氏に聞く、急拡大するオンラインゲーム市場で日本はどう世界と戦うべきか?

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オンラインゲーム市場はここ数年間で急拡大した。PC、コンシューマー(家庭用ゲーム機)、スマートフォン、すべてのデバイスでサービスされるオンラインゲームの国内市場規模は、2012年の時点で5771億円だった。それが2013年には8423億円まで大幅に伸びている(出典:デジタルコンテンツ白書2014)。その背景には、モバイルデバイスの普及に伴うゲーム市場の形成があった。日本ではいわゆる「ガラケー」という独自展開もあったが、スマートフォンの登場により、流通面でも構造的な変化がみられる。果たして今後も、このオンラインゲーム市場は成長し続けていくのだろうか? そして業界で成功を収めるためにはどうすればよいのか? オンラインゲームの黎明期から現在まで市場を見つめ、市場創出に尽力してきた一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(JOGA)の事務局長 川口 洋司氏に、オンラインゲームの過去・現在・未来について話をうかがった。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

画期的だった「アイテム課金」というビジネスモデル

──そもそも、オンラインゲームはどのように始まったのでしょうか。

 川口 洋司氏(以下、川口氏)■オンラインゲームの歴史をたどると、米国で1997年パッケージ商品として『ディアブロ』(Blizzard Entertainment)や『ウルティマオンライン』(Electronic Arts)が発売され、一部の熱狂的なファンに支持されていました。現在のようなビジネスモデルのオンラインゲームの原型は韓国から来たものです。韓国のモデルは、パッケージ販売をせず、インターネットからゲームを無償でダウンロードし、サービス利用料を月額などで徴収するもので、その代表的なタイトルには『風の王国』(ネクソン)や『リネージュ』(NCソフト)がありました。このようなゲームが日本で2001年以降に展開され、2002年頃にオンラインゲーム市場が確立されました。

──ダウンロード型のオンラインゲームは、韓国のモデルだったのですね。

photo
一般社団法人
日本オンラインゲーム協会(JOGA)
事務局長 川口 洋司氏


ソフトバンクにて、日本初のコンピューターゲーム誌「Beep」の編集長をはじめ、「BEEP!メガドライブ」「セガサターンマガジン」「ザ・プレイステーション」「ザ・スーパーファミコン」等の企画、編集長を務める。2007年、日本オンラインゲーム協会設立に携わる。
 川口氏■そうですね。日本国内では、ハンゲームやガンホーがオンラインゲームをスタートしました。まだ当時は定額課金のオンラインゲームが中心の時代で、多人数同時プレイ型RPG(MMORPG)のゲームが主流でした。コミュニティを大事にしていたため、ユーザーも囲い込まれていました。そのような状況で、次に韓国から登場したのが「アイテム課金」という新しいビジネスモデルでした。

 これは、ゲームも基本サービスもすべて無償で、ゲームを楽しむ際に利用する武器や特殊スキルなどを有償で提供することで収益を得るモデルでした。国内では2003年末の『メイプルストーリー』(ネクソン)で初めて採用されました。当時業界では「このモデルが本当に商売になるのか?」と皆さん不安に思っていたことを記憶しています。

──「アイテム課金」は、その後爆発的に普及していったように感じます。

 川口氏■2004年には、「アイテム課金」のオンラインゲームが暗中模索の中、12タイトルほどサービスインしました。「アイテム課金」モデルが普及するには1年ぐらいかかったと思います。

 この頃にゲームオンの『天上碑』で、「アイテム課金」の1つである「ガチャ」のシステム(欲しいアイテムを直接購入するのではなく、1回課金するごとにランダムでアイテムを入手するシステム)が誕生しました。「ガチャ」を含む「アイテム課金」は、トライアル感覚でユーザーに受け入れられ、2005年にはPCのオンラインゲームが急増し、「アイテム課金」のゲームが主流になりました。

 その後、2007年にFacebookで提供を始めた「アイテム課金」ゲームを皮切りにソーシャルゲームが登場し、2008年頃に北米でヒットしました。2005~6年頃、「アジアで面白いビジネスが流行りつつある」ということで、米国のIT企業が韓国や日本に調査に来たことを覚えています。その成果物がSNSに取り入れられるとは思いもよりませんでしたが(笑)。

日本独自のガラケーでソーシャルゲームが発展

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──ソーシャルゲームで言えば、日本ではフィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)でソーシャルゲームを楽しむ、というブームが発生しました。

 川口氏■日本国内では、PCのソーシャルゲームはmixiによって始められましたが、むしろPCよりガラケーでゲームが楽しまれ、北米とは異なる独自市場が形成されましたね。ソーシャルゲームは爆発的なブームになり、2009年市場は急拡大しました。

 ソーシャルゲーム市場は2009年に231億円でしたが、それが2010年に1028億円、2011年に2669億円、2012年に4351億円というように倍々で拡大しています。急成長の背景には、通信環境やデバイスの進化も密接に関わっていると思います。特に日本の場合は、iモード時代からネットデバイスとしてガラケーが一般に受け入れられてきた経緯があり、オンラインゲームでもPCからモバイルへのパラダイムシフトが起きました。

【次ページ】 スマートフォンゲーム急拡大の要因と、日本企業が成功するために必要なこと

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