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  • 2015/01/07 掲載

モノのインターネット(IoT)は企業に最大75%のコスト削減と25%の売上増をもたらす

ガートナー ハン・ルホン氏が提言

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これまで実現できなかったサービスを提供可能にするIoT(Internet of Things:モノのインターネット)への注目が日増しに高まっている。既にさまざまな活用事例も見られるようになってきているが、長期的な視点に立ち、IoTを積極的に推進していくためには、どのような視点と取り組みが必要となるのか。ガートナーでは、1.9兆ドルのビジネス価値をもたらすとされるIoTの使用モデルを4つに分類。その価値を最大化するために用いる5つのアーキテクチャ、そして使いこなすための3つのスキルについて解説する。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

IoTが生み出すビジネス価値の4分類

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 ガートナーによれば、IoTのビジネスとしての価値には、「最適化」「課金」「オペレーション」「拡張」の大きく4つの要素があるという。IoTは今後、1.9兆ドルの経済価値を生み出すと言われているが、ほとんどの事例はこのうちの1つ、あるいは複数の組み合わせで構成されている。

 まず「最適化」は、各種資産をインターネットに接続し、データを収集/監視して、その機能を最適化していくものだ。たとえば自治体がゴミ箱をネットにつないで、内部の空き状況をモニタリングすることで、ゴミ収集車はどの場所に収集に向かえばいいのかが、すぐに分かるようになる。

 次の「課金」は、いわゆる従量制課金を行うためのもの。たとえば、コーヒーメーカーがオフィスに設置するコーヒーマシンを買ってもらうのではなく、コーヒーマシンをネットにつなぎ、どれだけコーヒーが飲まれたのかをモニタリングして、飲んだ量に応じて課金することができれば、コーヒーをサービスという形で提供することが可能となる。

 また「オペレーション」は、モノをインターネットに接続することで遠隔操作できるという機能を提供するもの。たとえば子供が鍵を忘れて家に入れないという時、ドアがネットにつながっていれば、連絡を受けた親がスマートフォンからの操作でドアを開けるといった対応が可能になる。

 そして「拡張」は、データサービスやモニタリングの対象を拡張することを示しており、ソフトウェアを搭載した自動車や自動販売機などが新しいファームウェアを必要とする時、インターネット経由でそのアップグレードを行うといった場面が挙げられる。

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1.9兆ドルの経済価値を生み出すIoTの4つの使用モデル

 「Gartner Symposium/ITxpo 2014」で登壇したガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント兼ガートナーフェローのハン・ルホン氏は「IoTは自社の中でどんな価値を生むのか、この4つを意識しながら、社内でブレーンストーミングをしていただければと思う」と説明する。

ビジネス価値を検証した後はIoT実現のアーキテクチャを考える

 IoTによって自社が獲得できるビジネス価値を見出せたら、次のステップとしてそれを実験し、検証していくことが必要になる。

 たとえば日立メディコ社のMRI検査機器には、インターネットに接続された「Twine」という名前のキットが装着されている。MRI検査機器の中に導電していない部分があると内部のマグネットが破損して熱が発生し、患者が危険な状態に陥るだけでなく、その状態を復旧するために再冷却するコストが7万5000ドルもかかってしまう。一方このキットは約100ドルだ。そこで同社はTwineによってマグネットの状態を遠隔監視し、毎回復旧のたびにかかっていた再冷却のコストを無くすことができるようになった。

 実験が終わり、やりたいことを見極めた次のステップとして取り組むべき課題は、IoTを実現するためのアーキテクチャ作りという作業だ。IoTを構成するアーキテクチャは4つある。起点となるのが“モノ”で、次に“ゲートウェイ”、そして“クラウド/インタネット”、最後が“企業/オンプレミス”だ。「考えてほしいことは、このうちのどこに、アプリケーション/データ/アナリティクスという演算のための3つのリソースを置くのかということ」(ルホン氏)だ。

画像
モノのインターネットに関する5つのアーキテクチャ

 たとえばデータをどこに保存するのか、それがクラウドならその必要性があるのか。アプリケーションについても同様で、モノに組み込むのか、クラウドに置くのか。またデータの分析はモノの内部で行うのか、クラウド上で行うのか、この場合はデータをどこに格納するかによっても変わってくる。そのアーキテクチャが次の5つだ。

【次ページ】IoTは最大75%のコスト削減と25%の売上増をもたらす

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