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2015年11月19日

JR北海道、赤字を出す不採算路線を廃止できない深刻な裏事情

JR北海道の2015年第2四半期決算が発表された。営業利益は105億円の赤字となったが、加えて浮き彫りとなったのが、不採算路線の驚くべき収益構造だ。2016年3月26日に開業する北海道新幹線についても不安材料がある中で、JR北海道は不採算路線についていかなる改善策が求められているのか。この問題は根深く、安易に「廃止しろ」とはいえない事情も存在するという。

執筆:渡邉 幸子

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JR北海道の不採算路線は100円稼ぐのに4161円かかっている?

 JR北海道の2015年第二四半期決算は、営業収入は前年408億から415億円に微増。しかし営業利益ベースで見ると、前年比142億円の赤字額は150億にまで増加している。

 この原因は、もともと利用者が少ない車社会の北海道で、隅々まで電車を走らせてしまっていることにある。決算とともに公開された「お客様のご利用が少ない線区の収支状況について」を見てみよう。

路線営業係数
(100円の営業収入を得るのに要する営業費用)
留萌線(留萌‐増毛)4161円
札沼線(医療大学‐新十津川)1909円
石勝線(新夕張‐夕張)1247円
根室線(富良野‐新得)1430円
留萌線(深川‐留萌)1316円
根室線(滝川‐富良野)827円
宗谷線(名寄‐稚内)543円
釧網線(東釧路‐網走)520円
根室線(釧路‐根室)441円

 営業係数とは、100円の乗車賃料を取るのにかかる費用だ。根室線は、411円と大きな赤字を生み出している。JR留萌線にいたっては、なんと100円の営業収入を得るのに4161円もの費用がかかっている状況だ。

 根室線は根室ローカルの「ルパン三世ラッピングトレイン」などを走らせ、地元にも観光客にも大きな評判を呼んでいる。ルパン三世の作者であるモンキー・パンチ氏は、根室地区の出身だ。地道な努力を続けていることは間違いないが、とてつもなく少ない利用者の前には太刀打ちできない状況だ。

 JR北海道の目下の対策は、ダイヤ改正時の運行本数削減である。現時点でも1日1本の路線も見受けられるが、今後もいくつかの路線の運行本数が削減されることは間違いないだろう。

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(クリックで拡大)

JR北海道 路線別の費用と売上

(『平成26年度 お客様のご利用が少ない線区の収支状況について』から作成)


これだけの赤字が続いて、なぜ倒産しないのか?

 これだけの赤字を繰り出し、今後もまったく向上する見込みがないJR北海道。2013年には320億円、2014年には142億円、2015年には150億円と巨額の赤字を出し続けて、なぜ破綻しないのだろうか? 通常の株式会社であれば、かなり危機的状況だ。

 倒産しない理由は容易に想像がつく通り、税金である。JR北海道の貸借対照表を見てみると、経営安定基金という項目がある。今期のこの項目は7703億円となっている。前期末の8017億円から減少しており、この資産を取り崩しているのである。

 経営安定基金は、国鉄を分割した際に、利益が見込めないJR九州・四国・北海道の経営を補助するために作られた資金だ。これを運用して利益を得ているのだ。

 機構が発行する債券で運用し、利益を出しているように見えるが、それはどうみても全部が全部、市場原理に任せず国からの支援におんぶにだっこな状況と言ってもいい。

【次ページ】北海道新幹線が、北陸新幹線から学ぶべきもの

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