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2015年12月01日

東日本大震災「復興・創生期間」が来春開始、過疎自治体にのしかかる「重すぎる」負担

東日本大震災から4年8カ月が過ぎ、「集中復興期間」が残り4カ月となった。岩手、宮城両県ではようやくハード面の整備が進んできたが、被災者の生活支援はこれからの課題。原発事故があった福島県では、ハード面の整備さえ十分といえない。来年度からは「復興創生期間」という復興事業の新たな枠組みに移行する。5年で一区切りというのは、阪神大震災を参考にしたためだろうが、人口減少や原発事故の影響を受ける東日本大震災の被災自治体には通用しない。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

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宮城県気仙沼の港。
ようやく朝日が差してきたかに見えるが依然として課題は山積している

被災3県で地元負担220億円

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 政府は震災発生後、来年3月までを復興集中期間と位置づけ、25兆5,000億円を投じて被災地の復興に当たってきた。この間、復興にかかる費用は全額、国が負担したが、2016年度からの復興創生期間は、一部事業に地元自治体から1〜3%の負担を求める。

 期間は2020年度までの5年間。総事業費は6兆5,000億円で、住宅再建に3兆4,000億円、原発事故からの復旧に5,000億円を充てる。被災3県の自治体には、岩手県90億円、宮城県80億円、福島県50億円の合計220億円程度の地元負担を求める計画だ。

 復興集中期間より予算が大幅に減るのは、高台造成など多額の費用が必要な事業が既に盛り込まれているためで、これにより原発事故関連事業が続く福島県を除き、岩手と宮城両県の復興をほぼ終えるとしている。

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2016年以降5年間(復興・創生期間)の事業規模(見込)について

(出典:復興庁「平成28年度以降5年間(復興・創生期間)の復興事業について(案)」)


ハード面の整備は順調

 震災で1,000人を超す人的被害が出た宮城県気仙沼市の気仙沼港。場所によっては高さ10メートルに達する巨大な防潮堤の建設工事が続いている。同市唐桑町の滝浜地区では、延長80メートルにわたり、11メートルの防潮堤が築かれる。

 岩手県陸前高田市の長部漁港は、高さ4メートルの防潮堤が10メートルに生まれ変わろうとしている。全長700メートルにわたって建設され、まるで港を取り囲むコンクリートの壁のようだ。

 国土交通省は、岩手、宮城、福島の被災3県で総延長約400キロ、594カ所に津波に備えた防潮堤を建設している。防潮堤は、過去に発生した津波の高さを参考にそれぞれの地域に必要な高さを予測した。このほか、道路や鉄道、住宅地移転のための高台整備があちこちで続き、傍目には復興が順調に進んでいるようにも見える。

課題が残る住宅整備

 復興庁によると、被災3県の復興状況は9月末現在で、鉄道91%、国の直轄国道99%、港湾施設98%(漁港除く)、水道96%、病院95%、学校98%。これら基幹インフラの整備は概ね終わりつつある。

 これに対し、遅れているのは住宅の整備だ。復興住宅の建設は43%、集団移転する高台の用地造成は53%にとどまっている。被災による避難者は8月末現在で19万9,000人に上り、うち6万8,000人がプレハブの仮設住宅で生活している。

 阪神大震災では5年で仮設住宅を解消できたが、東北3県では、高台の造成、移転を伴うほか、福島では除染作業がまだ終わっていないこともあり、どうしても時間がかかる。次の復興創生期間に課題を持ち越すことになった。

【次ページ】阪神大震災とは比較にならない「大きな差」

参考資料:公共インフラ復旧、復興の進捗状況(9月末現在)
項目進捗率状況
海岸対策73%着工、17%完了計画677件、着工492件、完了115件
海岸防災林の再生81%着工、27%完了被災延長140キロ、着工延長114キロ、完了延長38キロ
河川対策(国直轄区間)100%完了完了2,115カ所
河川対策(自治体管理区間)88%完了被災1,076カ所、完了952カ所
水道施設96%完了災害査定数184事業、完了数177事業
災害廃棄物処理99%完了推計量1,780万トン、処理量1,755万トン
道路(国直轄区間)99%完了総延長1,161キロ、完了延長1,159キロ
道路(自治体管理区間)89%完了被災道路6,298路線、完了5,581路線
道路(復興道路、復興支援道路)96%着工、39%完了計画延長570キロ、着工区間延長545キロ、開通区間223キロ
鉄道91%完了被災路線延長2,330キロ、運行再開路線延長2,128キロ
港湾施設100%着工、98%完了被災、着工131カ所、完了128カ所
高台移転用地造成99%着工、53%完了計画9534戸、着工9510戸、完了5047戸
津波復興拠点96%認可、88%着工計画24地区、認可23地区、着工21地区
病院95%完了受け入れ制限182カ所、受け入れ回復172カ所
学校98%完了災害復旧事業申請2,308校、完了2,258校
復興住宅96%用地確保済み、43%完了計画29,997戸、用地確保済み28,570戸、完了12,883戸
(出典:復興庁)

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