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2015年12月25日

現代人が陥りがちな「孫子の兵法」の落とし穴(後編)

ビジネスパーソンは「孫子の兵法」を読んで「分かった気分」になってはいけない

ビジネス書で孫子ばかりが取り上げられているが、孫子の言葉をより深く理解するために参考となるのが、呉子の言葉である。「孫呉の略」として、孫子に並び称された軍略家、呉子の内容は春秋戦国時代の軍事的状況に基づくより具体的なものであり、孫子だけでは読み取ることのできない当時の特色が残っている。その呉子が全編に渡って繰り返し説いているのが、兵の統制=マネジメント問題なのである。

執筆:人材・組織コラムニスト 後藤洋平

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孫子最大のライバル、呉子が語る「兵のマネジメント」

 孫子を生きた知恵として理解するためには、例えば「戦争に行くのは、嫌だ」という感覚に対してどのようなリアリティを持つかということが要点となる。

 孫子の言葉をより深く理解するために参考となるのが、呉子の言葉である。呉子は、「孫呉の略」として、孫子に並び称された軍略家だ。こちらは孫子兵法と違って「論将」の名で一篇を割いて、指導者の在り方に関する詳しい考えが述べられている。

 将の慎むところのもの五つあり。一に曰く理、二に曰く備、三に曰く果、四に曰く戒、五に曰く約。理とは衆を治むること寡を治むるがごとし。備とは門を出ずれば敵を見るがごとし。果とは敵に臨めば生を懐わず。戒とは克つといえども始めて戦うがごとし。約とは法令省きて煩らわしからず。命を受けて家に辞せず、敵破れて後に返るを言うは、将の礼なり。故に師出ずるの日、死の栄ありて生の辱じょくなし。

(『呉子 論将』より)

・理=多くの兵を自由自在にマネジメントできること
・備=いつなにが起きても対応できるための心の準備
・果=敵と相対した時に、我が生命惜しさに負けない決死の覚悟
・戒=勝っても奢らずに気を引き締めること
・約=形式に縛られず、最短で指示命令を発することができること

 これが、呉子の言う「将」の五つの条件である。そしてこのフレーズが続く。

 呉子曰く、それ鼙鼓金鐸は耳を威すゆえん、旌旗麾幟は目を威すゆえん、禁令刑罰は心を威すゆえんなり。耳は声に威ず、清ならざるべからず。目は色に威ず、明ならざるべからず。心は刑に威ず、厳ならざるべからず。三者立たざれば、その国を有つといえども、必ず敵に敗らる。故に曰く、将の麾しまねくところ、従い移らざるなく、将の指すところ、前み死せざるなし、と。

(『呉子 論将』より)

 指示を伝えるための太鼓や銅鐸の音、戦場でポジションを示す旗、統制をとるための罰則、この三つが判然としなければ、必ず敗れるということが書かれている。

【次ページ】なぜ孫子ばかりが注目されるのか? 当時の時代背景から読み解く

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