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2016年02月29日

パナソニックやハウス食品も実践

「留職」とは何か? NPO法人 クロスフィールズ 小沼 大地氏が語る社会課題解決への道

「留職」とは、職場を一定期間離れ、異なる環境で自らのスキルを活かして働く取り組みだ。国際協力と社会貢献をつなげて新たな価値を創出しようとしており、その一環として留職プログラムをスタートさせているのが、NPO法人クロスフィールズである。共同創業者・代表理事の小沼 大地氏は、大学卒業後、青年海外協力隊で中東のシリアに赴き、その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。そして2011年に、現在のNPO法人クロスフィールズを立ち上げた。留職を行うことで、企業やビジネスパーソンはどう変わるのだろうか? 実際に留職を体験した大手メーカー社員を招き、その取り組みについて紹介する。

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NPO法人クロスフィールズ 共同創業者・代表理事
国際協力NGOセンター(JANIC)常任理事
小沼 大地氏 

「留職」は、組織の壁を飛び越えるリーダー創出の仕組みである

 多量のノミを瓶に詰めておくと、ノミは外に飛び出ようとしてガラスの内壁にぶち当たる。3日間ほど、その状態で放置しておくと、ノミはそこに見えない壁があることを認識する。そこで、おもむろに瓶をとると、ノミはまだそこに瓶があるように振る舞い、内壁に沿って瓶の形で飛びまわり、それ以上は外に飛ぼうとしなくなる。

 たとえ瓶からノミを出したとしても、瓶以上の高さには飛べなくなっているという面白い実験がある。小沼氏は、この現象が現代社会や企業の状況と酷似していると説明する。

 「このような見えない組織の壁を飛び越えるには、一体どうすればよいのだろうか。それは難しいことではない。1匹だけ「そこに壁がないと思って飛び越えられるリーダー」を入れることだ。そのリーダーが外に飛び出すと、他のリーダーも一緒に外に飛び出せるようになる。クロスフィールズの目的は、このようなリーダーをつくることにある」と述べた。

 そして、リーダーづくりのキッカケになるのが、同法人が提供しているユニークな留職の取り組みなのだ。これは、社会課題に取り組む新興国のNPOや企業に対して、日本企業の社員を数か月間にわたって派遣し、課題解決に挑むプログラムだ。

「留職は、企業版の青年海外協力隊と考えると理解しやすい。留職は相手国だけでなく、派遣する日本企業にとっても良い人材育成になり、双方がWin-Winの関係になる」(小沼氏)

 すでに、パナソニックやハウス食品などの企業が、留職プログラムを活用している。パナソニックは、インドネシアで小規模水力発電による農村開発に取り組んだ。またハウス食品グループ本社のエンジニアも、農業支援の一環として、現地のグァバを使ったドレッシングやお茶などを開発し、商品価値を高めようとした。

 「我々は、これまで20社ほど合計約100人を海外に送り出した。このように原体験を通じて社会の未来と組織の未来を切り拓く1匹目のリーダーを育成すべく、日々活動している」とし、留職体験をしたリーダーのひとり、日本電気(以下、NEC)の安川 展之氏を紹介した。

留職プログラム経験者が語る! 社会課題解決のプロセスとは

 安川氏は、NECで研究職として顔認識アルゴリズムを開発していたが、社会課題を解決するソーシャル・イノベーションなどの団体で活動しており、その関わりの中で、留職の社内公募に応募しようと思ったという。

 同氏が留職したのはインドの「Drishtee」という団体で、2013年7月から半年間ほど活動した。Drishteeは、「Rural communnitiesをサステナブルにする」という理念を持つ社会企業だ。

 インドは貧富の差が激しく、地方に投資しても一過性のもので終わってしまうことが多い。しかし、それでは意味がない。コミュニティの中で、持続的な事業をつくることが大事だ。そこでDrishteeではサプライチェーンを構築したり、マイクロファイナンスを興したり、服飾産業の創出などを支援している。

「Drishteeで、農村部向け日用品のサプライチェーンをつくるプロジェクトに参加した。村にはコンビニのような商店が1店舗しかない。もし、その店で何か商品が売り切れると、次の仕入れまでの1か月間は、誰もその商品を手にすることができない状況だ。そこで村々に点在する商店を結び、サプライ・ビークルで巡回しながら、物資を販売する事業を行っていた」(安川氏)

 安川氏に与えられた最初のテーマは「1日にもっと多くの店に回れるように、業務を効率化すること」。とはいえ効率化といっても、非常に多くの要素がある。安川氏は「本当の意味での効率化とは一体何なのか? それがよくわからなかった」と語る。

 そこで同氏は、「まず現地の人々が本当にやって欲しいことをみつけようとした。1日中、サプライ・トラックを追いかけて、ニーズを調べた。また現地の人々だけでなく、このプロジェクトをどのように展開していきたいのかということも含めて、マネージャー層や実働メンバーからもリサーチを行った。とても泥臭い仕事だったが、これにより2つのゴールを発見した」と振り返る。

【次ページ】留職の経験で得られたデザイン思考の発想法

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