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  • 2016/08/29 掲載

「IoT」のおかげでスポーツが楽しくなったランナーの話

#MakerFaireTokyo2016 レポート

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IoTはあらゆる分野に活用され、これまで無縁と思われていた分野にもIoT機器が導入されている。例えばスポーツ分野では、バイタルデータを収集・分析し、身体能力の向上に役立てたり、トレーニング時の活動量を測り、SNSで公開することで、モチベーションを高めたりしている。こうした中で、IoTデバイスを自作し、楽しみながらトライアスロンに参加している「IoTランナー」がいる。IoTランナーの吉田顕一 氏が、そのコンセプトとチャレンジについて語った。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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Ktrips
吉田顕一 氏

過酷なトライアスロンが「IoT」で楽しくなった

 スポーツが上手くなりたい、純粋に足が速くなりたい、あるいはトレーニングを長く続けたい。最近売り出されているスポーツ関連のIoTデバイスは、これらの動機を満たすことを目的として開発されているものが多い。

 例えば、Graminのスマートウォッチや、ソニーのSmartBand、ミズノのスイングトレーサー、JawboneのUP、ナイキのNike+などがその例だ。

 その一方で、プロやアマを問わず、スポーツそのものを楽しむためにIoTデバイスを活用しようという動きもある。Ktripsの吉田氏は、世界初の「IoTランナー」として注目されている人物だ。

 吉田氏の趣味はトライアスロンだ。ご存知のとおり、トライアスロンは水泳・自転車ロードレース・長距離走を順番に行っていくという非常に過酷な耐久競技として知られている。

ソニーのIoTデバイス開発キットで実現した4つの仕掛け

 この厳しい競技を楽しむために、同氏はレースに自ら製作したIoTデバイスを身に着けて「撮る」「測る」「膨らむ」「元気をもらう」という4つのことを実践しているそうだ

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スポーツとIoTのよい関係をつくるために、自身でIoTデバイスを製作し、競技大会にも参加。「撮る」「測る」「膨らむ」「元気をもらう」という仕掛けを作った

 まず「撮る」という点では、トライアスロンなどで走っているときだけでなく、泳いでいる水中の映像をゴーグル型カメラを利用して撮影し、youtubeにアップしているという。同氏は「大会に参加しようとしている多くの人々が、水泳のコースや波の状態などを知るために動画にアクセスしてくれた」と語る。

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 2つ目の「測る」という点は、市販のIoTデバイスの機能と似ている。例えば、自転車競技であれば、自転車の速度・回転数などを計測したり、運動している自身の心拍数・水分量などを測り、それらのデータを統合ソフトで管理しながら、走行コースの位置情報と関連づけたデータをシェアしているそうだ。

 3つ目の「膨らむ」というギミックと、4つ目の「元気をもらう」いう試みは大変ユニークなものだ。同氏は、アニメのドラゴンボールのような「マラソンの元気玉」をリアルで開発している。「実は、この元気玉を背負いながら、今春に開催された宮城県登米市の東北風土マラソン2016で、ランナーとして走った」(吉田氏)。

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同氏が開発した「マラソンの元気玉」。元気玉には空気を送んで膨らますインフレータが接続され、走っている同氏を応援するたびに、元気玉が膨らんでいく仕組みだ

 元気玉には、空気を送るインフレータが接続されている。同氏の走りをインターネットで見た人が、それをフェイスブックやインスタグラム、ツイッターでシェア(#GenkiTohokuというハッシュタグが付いている)して応援してくれるごとに、「1秒間の元気」がもらえて、風船が膨らむという仕組みだ。

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ネットでマラソンを見た人がSNSでシェアしてくれたり、沿道でのハイタッチしてくれると、元気玉に空気が入る

 それだけでなく、競技中のリアルの場で同氏とハイタッチした場合も、インフレータから空気が送られる。同時にリコーの360度カメラ「theta」も体の前に固定し、沿道を走りながら撮影を実施した。ランナーとそれを応援する人々を、物理的かつネットワーク的につなげる新たなIoTの取り組みといえる。

 このようにネットやリアルの応援に応じて、「元気(応援)の大きさ」を示す風船が膨らみ、自分と東北に元気を届けようというアイデアだった。同氏は「実際に走ってみると、背中のインフレーターが少しずつ動いていくことが分かった。風船が膨らむたびに、誰かがどこかで応援してくれているはず。頑張らなくてはいけない! と奮起できた」とレースを振り返る。

【次ページ】IoT自転車「iBike」で、ロードレースにも参戦

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