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2017年05月23日

ガスの全面自由化、近畿以外はまるで盛り上がらないワケ

都市ガス小売りの全面自由化が4月1日にスタートし、一般家庭が購入先を選べるようになって2カ月近くが過ぎた。近畿では関西電力が大阪ガスに価格競争を挑み、競争が激化しているが、他地域では購入先切り替えの動きが鈍く、盛り上がりに欠けている。一般家庭向けの新規参入も電力大手とLP(液化石油)ガス企業にとどまり、大都市圏以外では新規参入企業が1社もない無風状態だ。新たな市場を切り開くはずの都市ガス自由化は、課題を積み残したままのスタートとなった。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

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関西電力が岩谷産業と協力して大阪市中央区に設置した関電ガスサポートショップ

(写真:筆者撮影)


関西電力と大阪ガスが激突、近畿だけが大激戦区に

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ガス自由化新規参入企業(一般家庭向け、3月末現在)

 「ガスはもちろん、電気もいっしょに大阪ガス」「関電ガスで暮らしの力になりたい」。年明けから近畿のテレビでは、大阪ガスと関西電力のCMが連日登場し、ガス自由化に向けた激しいPR合戦が繰り広げられた。

 関西電力は1年前の電力自由化から1年余りで大阪ガスに32万件の顧客を奪われた。ガス自由化は奪われた顧客を取り返す絶好の機会。大阪ガスより安い料金を打ち出し、一気にスパートをかけている。

 販売促進と保安面でLPガス大手の岩谷産業と提携、「関電ガスサポートショップ」を旗艦店となる大阪市中央区の大阪本町店をはじめ、近畿一円に80店開設した。配置されたスタッフは約300人。連日、営業攻勢をかけて顧客奪回に力を入れている。

 関西電力は2016年末、ガスと電気のセットなら標準家庭で大阪ガスより年最大8%安くなるプランを発表した。大阪ガスがこれに対抗し、最大7.5%のセット料金引き下げを打ち出すと、今度は最大13%まで下げ幅を拡大している。

 初年度目標は、大阪ガスが電力自由化の際に掲げたのと同じ20万件。関西電力は「利用者のニーズを踏まえて料金を見直した」と胸を張る。

 これに対し、大阪ガスは料金を引き下げた新プランとともに、給湯器の故障など住まいのトラブルに無料で駆けつける新サービスを始めた。価格競争ではなく、利用者に密着したきめ細かなサービスで対抗しようとしているわけだ。大阪ガスは「サービス強化で安心と信頼を高めたい」と意気込んでいる。

 関西電力は福井県の高浜原発4号機が再稼働したほか、3号機も近く再稼働する。これに伴い、電気料金をさらに引き下げる方針で、電気とガスのセット料金も安くする見通し。大阪ガスもその動向を見ながら、料金を再検討するとしており、両社の競争はさらに熱を帯びてきた。

関東は7月の東京電力EP参入からが本番

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 関東は台風の目となる東京電力エナジーパートナー(EP)が7月から参入する予定。東電EPと提携するLPガス大手の日本瓦斯グループ、東電EPから都市ガスの卸供給を受けるレモンガス、河原実業が、ひと足早く東京ガスに挑んでいる。

 このうち、日本瓦斯は初年度目標の11万件を22万件に倍増させた。日本瓦斯は「4月12日現在で獲得した利用者は約2万件。このペースで利用者を獲得していきたい」と鼻息が荒い。受けて立つ東京ガスはLPガスのサイサンと提携、サイサンが先兵となって日本瓦斯グループの地盤へ切り込む構えだ。

 東電EPは東京ガスより最大8%安い料金プランを発表した。ガス機器の無料修理サービスも始めることにしており、「価格だけでなく付帯サービスでも顧客のニーズをつかみたい」としている。

 これに対し、東京ガスは料金引き下げでの対抗を予定していないが「細かいサービスの拡充などについては随時検討していきたい」と語った。

 中部地方は中部電力と東邦ガス、北九州では九州電力と西部ガスが激突している。ともに電力大手が価格面で勝負に出たのに対し、都市ガス大手はサービス内容で対抗している。

【次ページ】新規参入はわずか15社、大都市圏以外は競争なし

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