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2017年05月26日

プロジェクト工学勉強会レポート

プロジェクト工学のアプローチで探る「計画が計画通りに進まない理由」

プロジェクトの本質とは、「未知との戦い」の連続である。未知との戦いであるがゆえに、事前に立てた計画と実際のギャップが生まれ、それによるゆがみ、ひずみがプロジェクトに携わる者を苦しめる。こうした困難に、いかにして立ち向かえばいいのだろうか。世の中のあらゆる活動を「プロジェクト」ととらえ、これをマネジメントの対象と考える「プロジェクト工学」のアプローチから、この難問に迫ってみたい。

執筆:人材・組織コラムニスト 後藤洋平/フレイ・スリー プロデューサー 前田 考歩

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あらゆるプロジェクトをマネジメントの対象と考える「プロジェクト工学」を学ぶ


「プロジェクト工学勉強会」がキックオフ

 2017年4月、NTTドコモ・ベンチャーズの運営するドコモ・イノベーションビレッジで「プロジェクト工学 プロジェクトはなぜ計画通りに進まないのか」と銘打った講演会が開催された。

 さまざまな企業、分野でプロジェクトマネジメントに携わる方々にお越しいただき、たいへん盛況な会となった。本稿では、当日の講演内容をもとに、筆者達の提唱するプロジェクト工学の考え方のエッセンスをご紹介したい。



未知の戦いを解き明かす「プロジェクト工学」

 まず、筆者達の提唱する「プロジェクト工学」とは何か。これは「世の中のあらゆる社会的な活動を『プロジェクト』ととらえ、これをマネジメントの対象と考え、工学的なアプローチで解明し、より確実なプロジェクト推進方法の確立を目指す学問」である。

 プロジェクトは「未知との戦い」の連続だ。未知との戦いであるがゆえに、事前に立てた計画と実際のギャップが生まれ、それによるゆがみ、ひずみがプロジェクトに携わる者を苦しめる。

 そこで、SIプロジェクトやプラント建設プロジェクトといった、狭義のプロジェクトにおいてはPMBOK(ピンボック)をはじめとするさまざまな理論やそれに基づくツール、資格も開発されている。

 プロジェクト工学においては、そうしたものだけでなく、より広いプロジェクトを解析の対象としたい。

 たとえば、ある企業において新規事業を開発する、ということも、十分プロジェクトである。

 また企業活動だけでなく、個人的な活動においてもプロジェクトは存在する。マイホームを立てる、結婚式をする、出産する、といったことは、それが当人にとって初めての経験である限りは、彼/彼女にとっては一大プロジェクトなのである。

 その一方で、この人類史上、誰にとっても未知であるようなプロジェクトも存在するはずであり、たとえば、火星移住計画などというものがあれば、それこそ前人未到のプロジェクトである。

 つまり、プロジェクト=「未知との戦い」においては、その「未知さ加減」にはいくつかのレベルがある、ということである。

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プロジェクトにはさまざまな「種類」がある


 毎年のようにあらたなインフラやプラットフォームが生まれては普及していく昨今の情勢においては、まさしくあらゆる仕事がプロジェクトであるという様相を呈している。

 そのなかで、でき得る限り汎用的な、どのような活動にも活かすことのできる知見を持つことは重要であり、それがプロジェクト工学というコンセプトの根幹にある。

未知との戦いにおける最大の難点とは

 プロジェクト=「未知との戦い」における最大の難点とは何だろうか。それは、「その仕事をやったことがない」ということだ。

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(クリックで拡大)

なぜあらゆるプロジェクトは失敗するのか?


 同義反復してしまうようだが、そうではなくて、その心は、「事前に的確な勝利条件を定めることができない」ということにある。

 マイホームを建てたことがない人は、一体どのようなマイホームを建てれば、成功したということが言えるのか、それすらもわからない状態から、手探りで出発する。

 ある人は、家族が笑顔になれる家、というかもしれない。ある人は、売却時の資産価値に着目するかもしれない。またある人は、通勤通学アクセスのことを考えるかもしれない。

 誰しもが、こうした全てのことを秤にかけて、ああでもないこうでもないと考えを巡らすものだ。

 そのなかで、とりうる選択肢をリサーチして、最終的に、「えいやっ」と決める。プロジェクトにおける困難とは、まさしくこの「えいやっ」という意思決定の仕方にやどる。

 そこには絶対的な基準、ロジカルな基準は存在しない。それによって人は、「これが本当に正解なのだろうか」という不安に常にさらされる。

 これは、プロジェクトの困難さを構成する基本法則における1番目に挙げられるべきものである。

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プロジェクト工学における基本法則(第一法則)


 マイホームを「建てたことがある人」は幸いである。ある程度、自分が動かす予算規模も、スケジュール感も、とりうる選択肢の幅についても、経験があり、見通しが立てられる。

 実際に建ててみたことによって、結局のところ、どこが一番大事なのか、という最も肝心な勝利条件についても深い洞察がある。

 おなじ家を建てるという行為でも、一度経験することによって、それが「ルーチンワーク」の世界に一歩近づいた、ということだ。

 同じ対象のプロジェクトであれば、学習はしやすい。しかし悲しいかな、プロジェクトの本質は「それが一回限り」ということだ。マイホームを何度も建てる人は、多くはない。会社の新規事業で、一回失敗したものをもう一度やらせてくれるとはかぎらない。

 だからこそ、あるプロジェクトにおける経験を、抽象化し、脱学習し、他のプロジェクトに援用するための方法論が重要となる。プロジェクトを工学する、という意味はここにこそある。

【次ページ】プロジェクトの困難さを構成する「3つの法則」とは

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