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  • 2024/04/08 掲載

【実録】社内ChatGPT構築方法の詳細、失敗した点と盲点すぎた「成果の出し方」

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筆者の所属するSaaS企業「manebi」では、Google Workspace、Jira、Confluence、ジョブカンや顧客請求ロボといったツールを活用しています。こうしたツールについて、「あれ? これってどう使うんだっけ?」といった場合、従来は結局「人に聞いたほうが一番早い」という状況にありました。こうした問題を解決するため、取り組んだのが、全社で導入しているチャットツールSlackを通して、生成AIと連携し、気軽に疑問を聞いて答えてくれる社内ChatGPT(通称、manebiGPT)の構築です。技術的な難しさ、思いのほか手こずった点、そして「こんなに成果が出るとは?」と驚いた成功体験まで、ありのままに紹介します。

執筆:manebi Backend Engineer 島崎 宏太

執筆:manebi Backend Engineer 島崎 宏太

新卒でIT企業に入社し自動車メーカーのテスターからキャリアをスタート。その後はプログラマーとして鉄鋼業界のシステム開発に携わり、のちに、リードエンジニアとして金融と物流業界のシステム開発に携わる。その後、プロジェクト立ち上げに向けたメンバー調達も手がける。これまでの経験を経て、manebiにBackendEngineerとして参画し、現在はLLMを活用した開発をメインで担当しながら、レビュアーとして品質向上にも貢献している。

株式会社manebi
世界縁満を掲げるHEART-TECH COMPANY

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「最新の営業資料はどこに?」など社内で飛び交う質問を生成AIに答えさせる

社内の「何度も同じことを聞かれる」を独自生成AIで解決

 筆者は従業員50名前後のSaaS企業「manebi」でエンジニアをやっています。採用・教育のクラウドツール「playse」をはじめ、いくつかの社外向けサービスを提供しており、マーケティング部門、セールス部門、カスタマーサクセス部門、開発部門、管理部門など、小分けされたたくさんの部門があり、各部門で業務上必要なツールを導入しているので、ツールも数多くあります。

 そして、勤務スタイルはリモートが主で、メインのコミュニケーションツールはチャット(Slack)を活用しています。現在、社内には小さいながらも多くの部門と複数のツールがあるため、新人だけでなく、ベテランでも欲しい情報を見つけ出すことは一苦労で、結局「人に聞いたほうが一番早い」という状況にありました。

 ただ、同じ質問であっても、時間が経過したり、質問する人が変わったり、状況が変化したら「繰り返し」行われていて、質問する側にとっても、質問される側にとっても、工数がかさむ要因になっていました。

 このように社内で「繰り返し」行われる質問と回答、その情報を探索するための時間と労力、これらを解決するための手段として生成AIを活用することにしました。社内向けChatGPT、名付けて「manebiGPT(以下、社内GPT)」の開発に踏み切ることを決めたのです。

社内GPT構築前に準備・検討したこと

 社内ツールの新規開発ですが、あくまで「社内にあるデータ」に限られるため、まずは自分たちが持っているデータはどのようなものがあるか、そのデータはどんなツールがどのような用途で利用しているかを洗い出すことが最初の課題でした。そして実際に洗い出した結果は以下のとおりです。

表1 社内で利用している主なツール
ツール 用途 データ
Slack コミュニケーション全般 各種会話履歴
Google Workspace メールやストレージ、Calendar等 社内のあらゆる情報
Confluence プロダクト開発のドキュメンテーション 各種設計情報
jira 開発プロジェクト管理とCS連携 プロジェクト進行履歴
Salesforce 顧客・商談管理 顧客DB
ジョブカン 勤怠・労務や経費管理 労務や勤怠、稟議情報
Scalebase 料金計算 各種契約内容と料金プラン
請求管理ロボ 顧客への郵送を含む請求管理 毎月の請求データ
PDF 社内各種規程集 各種社内規程情報
Office 社内各種資料 社内各種資料
・・・ ・・・ ・・・

 実は表1のほかにもさまざまなツールとデータがありましたが、主要なものだけでも、このように多くのツールがそれぞれの用途に合わせてデータを持っている状況が明確になりました。

 次のステップとして、社内で行われているSlackのやり取りを確認しつつ、以下のような観点で社内でのユースケースを整理しました。

  • より多くの社員の役に立つこと
  • 請求金額などセンシティブ過ぎる情報を排除すること
  • 費用対効果を鑑みて、工数がかかりすぎないこと

 このような観点で整理することで、対象ユーザーと利用する場面が明確になり、それに伴い情報ソースとすべきツールも自ずと特定されてきました。

 結果的に最初の情報ソースとなったのは、「全社員が利用するSlack」、「情報量多めで探索が難しいjiraとConfluence」、「社内の誰しもが聞きたくなる社内規程集」と絞られ、人に聞きたくなるようなケースを念頭に実装に向かうことにしました。

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次ページでOpenAI Assistantsなどを用いた実装方法を詳しく解説します
【次ページ】Azure OpenAIとCognitive Searchを組み合わせ

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