【2009年09月17日 12時00分 更新】

2015年には1兆円市場へ

デジタル・サイネージとは何か?デジタル広告媒体が新たな広告市場を拓く【2分間Q&A(59)】

デジタル技術による新しい広告の形、デジタルサイネージが大きな注目を集めている。新たな広告需要を開拓し、2015年には1兆円市場に成長するとも言われる新たな広告のカタチだ。長引く広告不況の中で、デジタルサイネージにかかる期待は大きい。その可能性とメリット、将来性について詳しく見ていくことにしよう。

執筆:池田冬彦

意外に歴史の長いデジタルサイネージ


写真1 JR東日本のトレインチャンネル

 デジタルサイネージ(Digital Signage)は、ビルの壁面やショップ、駅構内や公共施設、交通機関など、屋外でディスプレイなどを使って広告を発信する媒体のことだ。デジタルサイネージの事例は極めて多様だ。

 たとえば東京では、JR各線や主要な私鉄各線の車内(ドアの上部)に設置された液晶ディスプレイに、ニュースや占い、天気などとともに広告が表示される、交通機関向けデジタルサイネージが有名で、その先駆けとなったのがJR東日本が2002年に開始した「トレインチャンネル」だ。

 「トレインチャンネル」は2006年には中央線、2007年には京浜東北線に採用され、関東エリアでは最も馴染みの深いデジタルサイネージの1つとなった。このような交通機関への展開は、私鉄や地下鉄、長距離バスなどにも広がっている。

 また、大都市の駅前や繁華街のビル壁面などに設置されている大型のディスプレイ、駅構内や公共施設の壁面や天井から吊されたディスプレイ(大型ビジョン)もデジタルサイネージの1つだ。

 この他にも、エレベータ内やコンビニなどの店舗内、スーパーのレジ近辺、駅のトイレ内など、ここ数年でデジタルサイネージが至る所で見かけられるようになった。これらはいずれも、ユーザがちょっと足を止めるような場所に設置されるものが主流だ。

デジタルサイネージの特徴

 デジタルサイネージは言うまでもなく、従来の紙やボードなどの「看板」や電車の吊り広告、ポスターなどに代わる、新しい屋外メディアだ。その最大の特徴は、広告の設置場所に応じたターゲッティングが行えるだけでなく、時間帯に適したコンテンツ、CMを提供できることだ。

 たとえば、朝の通勤ラッシュ時にはビジネス系のコンテンツや実用情報を流し、昼間は主婦層をターゲットにした特売情報などのコンテンツを、夕方の時間帯には、飲食店の広告を出す、といった時間帯に適した展開が可能になる。つまり、設置場所の特性や時間帯による来訪者などの特性をしっかりと分析しておけば、従来の広告では得られないような訴求力を持たせられる可能性がある。

 とは言え、抑揚のないCMがダラダラと流れる時間がしばらく続けば、人々の関心がそがれてしまいがちだ。

 その点、デジタルサイネージは、必ずしも1画面だけで構成されるシステムとは限らない。先述したトレインチャンネルでは、2つのディスプレイをドア上部に配置し、右側に各駅の停車駅の情報や運行情報などを流し、左側にコンテンツや広告を流す。次が自分の降りる駅かどうかを確認するために目線をドア上に移し、自然と左側のディスプレイに目が移るので広告効果が高い。この形式のデジタルサイネージは公共交通機関やパブリックスペースなどにおける定番スタイルの1つとなりつつある。

 一方、コンビニやスーパーマーケットなど、店舗内に設置されるデジタルサイネージでは、来訪者の関心が高そうなコンテンツをタイアップ番組で流す、などの試みが行われている。この分野で積極的な事業展開を図っているソニーは、スーパーマーケット向けの「ミルとくチャンネル」という専用の番組を提供している。

(出典:ソニー)

図1 ソニーのミルとくチャンネルのコンテンツ配信例


 ミルとくチャンネルでは、生鮮食品の紹介、ニュース、天気予報などの他、夕食の献立に迷う主婦層をターゲットにさまざまな献立レシピを流したり、買い物に付き合う父親向けのニュース、子供向けアニメコンテンツを流すなど、実際の購買に結びつくように、さまざまな工夫が施されているのが特徴だ。もちろん、店舗の売り場や時間帯に応じたコンテンツを効果的に編成することもできる。

 さらに、広範囲な商業地区をカバーするビジネスも始まっている。デジタルサイネージの企画・開発・運用を手がけるコメルでは、横浜市みなとみらい地区、および、福岡市の交通機関や商業施設、ホテル、空港やバスターミナルなどに数多くのデジタルサイネージ端末を設置し、広範囲、かつ、大規模な広告展開を行っている。

(出典:コメル)

図2 コメルが展開している福岡市内のサービス提供エリア




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