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2013年06月27日

あきんどスシローが語るクラウド・ビッグデータ活用、約1億人の顧客分析を10万円で

「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」をスローガンに、全店舗1皿105円の均一価格を業界でいち早く打ち出すなど、果敢な戦略を通じて回転寿司チェーンの「あきんどスシロー(以下、スシロー)」は急成長を遂げてきた。だが、この事業を支える情報システム部の人員はわずか5名しかいない。きわめてシビアな投資判断の中で、ITのパワーを最大限に発揮させてきた秘密がクラウドの活用にあった。あきんどスシロー 情報システム部 部長 田中 覚 氏がAWS Summit Tokyo 2013で語った。

執筆:フリージャーナリスト 小山 健治

“中トロ vs. システム”で決まる投資判断

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あきんどスシロー
情報システム部
部長
田中 覚 氏

 関西を中心に全国約350店舗を展開する寿司・回転寿司チェーンのスシロー。年間の来店客数は日本の総人口に匹敵する1億2000万人、売上高は1,000億円を超える。アルバイト・パートを含めた従業員数も3万人以上となり、業界トップクラスの企業に成長した。

 ITへの取り組みも積極的だ。その象徴とも言うべき2002年に開発した「回転すし総合管理システム」は、寿司皿にICタグを取り付けてリアルタイムの単品管理を実現。たとえばマグロであれば350メートルのレーンを1周したら自動的に廃棄するなど、業界に革新をもたらすシステムとして注目された。

 背後には、さぞ層の厚いITの専門組織が控えているのだろうと思いきや、意外なことに同社の田中覚氏によると、「情報システム部の人員はわずか5名しかいない」という。ましてや潤沢な予算が割り当てられているわけでもない。

「役員会議でシステムの話をしても、『中トロの販促をやればお客さんが喜んでくれるのは想像できるが、そのシステムでお客さんが喜ぶ顔は想像できへん』と突き返されます。いわば、『中トロ vs. システム』という構造になるのです。」(田中氏)

 顧客満足につながらない投資は意味がないというのが同社の一貫したポリシー。その価値基準のもとでITシステムの是非が、きわめてシビアに判断されているのである。

 では、そうした制約の中で、同社はどうやって現在もITに対する果敢なチャレンジを続けているのだろうか。その鍵が、パブリック・クラウドの活用にある。

「そもそも新規にシステムを導入したくても、社内にはサーバを置く場所がありません。運用管理にあたる人材やスキルも足りず、24時間365日体制で障害対応にあたるのは不可能。それでいながらスペックを無駄遣いしたり、システムが止まったりしたときに、叱咤されるのは我々なのです」(田中氏)

 そんな彼らの目の前に登場してきたクラウドの導入は、まさに必然であったわけだ。「多用途で使うことができ、なおかつ自分たちである程度コントロールしていける基盤(IaaS)を」(田中氏)という観点から、アマゾンの「AWS(Amazon Web Service)」を選択。まずは、Webサイトの運用から実践を開始した。

TV放送時のアクセス集中に対応

 同社のWebサイトのアクセスは、普段は10万PVほどだが、土日には17〜18万PVに増加する。さらにアクセスが跳ね上がるのが、大型連休やTV放送で取り上げられた際などで、もはやどれくらいの負荷が発生するのか予測することも難しい。

 実際、2012年2月にバラエティ番組「お願い!ランキング」(テレビ朝日系列)で同社が取り上げられ、ライバルとの対戦を勝ち抜いて1位を獲得した折には、過去の最大ピークの2倍を超える45万PVのアクセスが、放送開始から3〜4時間のうちに殺到した。

 裏を返せば、こうしたアクセス集中にWebサイトが耐えることができた背景に、クラウドの効果的な活用があったわけだ。

「放送3日前にTV局から連絡を受けたので、あらかじめサーバ増強をスケジューリングしておいたのです。また、スマートフォンが普及した現在、番組を観ながらWebサイトにアクセスする人が増えていることを考慮し、念のためにオートスケール(動的にサーバ増設を行うサービス)も設定しておきました。これだけの対策を打っておいたにもかかわらず、結果的にかかった追加費用は5万円のみ。サーバ増設に際してもAWSのイメージコピー機能を活用することで、準備は1日で完了しました。」(田中氏)

【次ページ】約1億2000万の来店客のデータ分析をわずか2日間10万円で構築

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