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2016年05月26日

Windows 10の企業導入で押さえるべき5つのポイント、ガートナー針生恵理氏が解説

Windows 7のサポート終了は2020年1月ですが、Windows 10における“Windows as a Service”のサービス提供形態のもとでは、ユーザーとマイクロソフトの関係そのものも大きく変わるため、企業はこれに備え、早急に準備を開始する必要があります。たとえば、アップデートのタイミングによって、「CB」「CBB」「LTSB」のいずれを選択するのかを考えておかなければなりません。このOSへの乗車はもはや避けられないのであれば、そこにどう臨むべきか――。企業が考えておくべき事項と重要なポイントについて、ガートナーとしての見解を解説します。

執筆:ガートナー ITインフラストラクチャ&セキュリティ 主席アナリスト 針生 恵理

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Windows 10はこれまでのWindowsとはまったく異なる性質を持つ

(出典:日本マイクロソフト



Windows 10を読み解く5つのポイント

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 Windows 10は企業にとって、どのようなOSとなるのでしょうか。まず、特に重要な変化をもたらす5つのポイントからお話ししたいと思います。

 1つめが「新しいアプリ・モデルとクラウド・ベースの促進」です。Windows 10は「ユニバーサルWindowsアプリ(UWA)」と呼ばれる共通のアプリ・モデルを提供しており、単一のアプリを幅広いデバイスで稼働させることが可能となりました。

 ただ、グローバルでブラウザ・ベースがトレンドの今、なぜPCでWindowsアプリなのか。そもそもPCでモバイル用のアプリを使うことが妥当なのかという議論も起こっています。こうしたことから将来のクライアント・クラウドに対する本質的な検討が重要です。

 2つめが「新しいブラウザ・プラットフォームの導入」です。Windows 10は標準ブラウザとして「Microsoft Edge」を搭載しています。現時点では依然としてIEの利用率が非常に高く、サポートの切れた旧バージョンのIEを早期にIE11に移行する必要があります。一方で、Mozilla FirefoxやGoogle Chromeといったブラウザの企業での利用率も年々高まっており、“レガシー+モダン”のマルチブラウザ戦略を策定する必要があります。

 3つめが「セキュリティ・モデルの変更」です。Windows 10は、パスワードに代わる新たなユーザー認証方式として生体認証に対応するほか、改ざん防止プラットフォーム、企業領域と個人領域を完全に分離するEnterprise Data Protection(EDP)などを実装しました。米国防総省ではこうしたセキュリティ機能の強化を高く評価し、Windows 10搭載PCを400万台導入しました。

 ただし、そこにはマイナスの側面があることも理解しておかなければなりません。生体認証や改ざん防止プラットフォームを利用するには、その仕組みやハードウェアに追加コストが発生します。EDPにしてもMicrosoft Intuneとの連携が必要になります。したがって、自社のセキュリティ・ポリシーや既存製品との整合性を取った投資を考えなくてはなりません。

 4つめは、「バイモーダルITの実現」です。Windows 10は、標準化/企業コントロール/デバイス単位の管理を基本とする従来型の「モード1」、随時更新/セルフサービス/ユーザー単位の管理を基本とする探求型の「モード2」をサポートし、企業がそれぞれの情報/テクノロジー目標に沿ったモードを導入できるように設計されています。今後に向けて、モード2を企業内でどう活かせるかを検討することが非常に重要です。

 これと関連するのが、5つめのポイントの「BYO(Bring your own)/セルフサービス環境への適用」です。Windows 10では、Azure AD(Active Directory)をローカルなADと連携させることでクラウド・ベースのサービスを社内情報と結びつけたり、ストアを作ってアプリを一元的に提供したり、ユーザーの利便性を大きく高めることができます。BYOをモバイル・デバイスだけでなくPCにも広げ、セルフサービスの機会を生み出します。前提として、ポリシーやプロセスの再設定は欠かせませんが、これはまさにモード2の実践となります。

CB/CBB/LTSBのどれ?自社にとって最適なアップデート形態とは

 では、Windows 10への移行に向けて、企業はどんな点に留意し、どのような計画を立てるべきでしょうか。

 現時点でWindows 10の導入企業は数%にととまっています。2016年後半から緩やかに移行がスタートし、Windows 7のサポート切れに向けて導入が加速。2017年から2018年にかけてピークを迎えると予測しています。

 グローバルに比べると日本企業は、万全なテストを求める風潮が導入の遅れにつながっているようです。とはいえWindows XPの二の舞にならないためにも、少なくとも今すぐ導入調査を開始する必要があります。

 そこで理解しておかなければならないのが、“Windows as a Service”という仕組みです。Windows 10は従来のような数年間隔で提供されるアップグレードではなく、継続的なアップデートによってサービス型のOSへと変化しています。

 具体的なアップデートの方法としては、新機能を月次でプレビューする「Insider Program」、ほぼ4か月ごとにアップデートする「Current Branch(CB)」、CBから4〜8か月遅れでアップデートする「Current Branch for Business(CBB)」、間隔を空けてアップデートする「Long Term Servicing Branch(LTSB)」の4種類のブランチが用意されています。

 ほとんどの企業は、CBBかLTSBによるアップデートのいずれかを選択することになるでしょう。特にミッション・クリティカルなシステムを対象とし、アップデートのタイミングを自社で統制・管理したいと考える企業は、LTSBを選ぶことになります。

 ただし、最初からLTSBありきで検討することは得策ではありません。たとえばPCのBYO化を考えている場合、LTSBではWindows 10に後から追加されたEDPなどの新機能を利用できないことになってしまいます。モード2の新しい仕組みを積極的に活用したいのであれば、CBBを選択する必要があります。

 まずはCBBの可能性を現在だけでなく将来にわたって検討し、その結果として導入が困難と判断された場合に、次の選択肢としてLTSBを検討することをお勧めします。

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(クリックで拡大)

CBBがよいか、LTSBがよいか

(出典:ガートナー)


【次ページ】“Windows as a Service”への対応を進める3つのステップ

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