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  • 2017/02/02 掲載

大成建設とリコーに学ぶウェアラブル活用法、業務プロセス改善はこうして進んだ!

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スマートフォン、タブレットに続く技術であるウェアラブル端末。ゲームなどのエンターテインメント分野での活用が進む中、企業での導入は進まず、成功事例も失敗事例も知見を蓄積できていない。しかし、野村総合研究所(以下、NRI) IT基盤イノベーション本部 デジタルビジネス開発部 上級研究員の亀津敦氏は、ウェアラブルビジネスは「次のステージに行くタイミングにある」と見ている。一方、ガートナー ジャパン リサーチ部門 テクノロジ&サービス・プロバイダー パーソナル・テクノロジ 主席アナリストの蒔田佳苗氏は、大成建設、リコー、京都第二赤十字病院で見られたウェアラブル活用法と、実践された業務プロセス改善を紹介する。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

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ウェアラブル端末を活用した業務プロセス改善方法とは?
(画像:© imtmphoto – Fotolia)



NRI 亀津氏が語る「ウェラブル端末の動向」

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野村総合研究所
IT基盤イノベーション本部
デジタルビジネス開発部
上級研究員
亀津敦氏
 ウェラブル端末と一口にいってもいろいろなタイプがあるが、特に普及が進んでいるのが、手首に装着するタイプ(リスト型)のものだ。フィットネス向けウェラブル端末を提供しているFitbitは、16年12月にスマートウォッチのパイオニアであるPebble社を買収した。

 野村総合研究所 IT基盤イノベーション本部 デジタルビジネス開発部上級研究員の亀津敦氏によると、この買収は「それぞれ単独では価値を高く持ち得ないということ。業界再編で新たな価値を模索しないと生きて行けない時代だということを表している」という。

 その良い例が昨年10月に日本でも利用可能になったApple Payだ。Apple Pay登場の背景にはApple Watchの売り上げの鈍化があったという。「時計としての機能を拡張するのではなく、決済というサービスを付加することで価値を高めている」と亀津氏は語る。

ウェアラブル技術進化のトレンドは3つの「I」

 とはいえ、ウェラブル端末の進化は止まったわけではないという。「『Interface』『Intelligence』『IoT』という3つのIがウェラブル端末の進化を加速させている」と亀津氏は説明を続ける。

 Interfaceとはセンサーの進化である。例えば東レとNTTが開発した衣服型のウェラブル端末「hitoe」もその一例だ。

 そのほかにも、サムスンが開発した「Simband」、Googleが発表したウェラブル向け生体センサー・レーダーなどもある。さらに「網膜投射型ディスプレイやレーダー、心電計、脳波計、血糖測定器などの搭載を検討している」と亀津氏。

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Simband
 2つめの技術トレンドは、Intelligenceの活用である。今後は利用者が端末を操作しなくても状況に応じて知的なアドバイスや処理を行う「Intelligence」がウェラブル端末と組み合わされる方向に進化していくというのである。その例として亀津氏が紹介したのが、「MOOV Now」だ。これはセンサーが人体の動きを取得し、クラウドにある人工知能が解析を行い、ダイエットするにはどのくらい走った方がいいかなどリアルタイムに音声でアドバイスするというサービスである。


 第三の技術トレンドはIoTとの連動である。常に身につけているウェラブル端末から、車や家電ネットワークをコントロールするサービスが登場しているという。

「このように端末単体で勝負するのではなく、クラウドやAIなどの技術と組み合わせて提供する時代になっている。つまり今後、ウェラブル端末は『センサー・フュージョン』という考え方を実現する方向に進んでいく」(亀津氏)

 「センサー・フュージョン」とはAmazonが16年11月に開催したイベントで語られたAmazonの実店舗コンセプトを実現する要素技術で、複数の独立したセンサーが生み出すデータを組み合わせて利用することで、単独では得られない情報を得る「情報の融合」を目指す考え方を実現するというものだ。

「ウェアラブル2.0」の波

 そういったトレンドに対し、どんなサービスが考えられているのか。たとえばリストバンド型のウェラブル端末ではApple Watch同様、決裁が可能になりつつあり、「決済機能で競争が起こってくる可能性がある」と亀津氏は指摘する。

 そうなると心配になるのがセキュリティだが、生体データを取得できる機能を使い、「本人認証の壁を突破する動きもある」と亀津氏は説明する。Nymiというベンチャーは、MasterCardとTD Bankと共同で心拍によるコンタクトレス決済の実証実験をすでに実施したという。これが実現すると、企業内情報システムのシングルサインオンにも使われていく可能性があると亀津氏は言うのだ。


 またウェラブルデバイスの最大の特長である、人に最も身近という面を生かしたサービスも登場している。金融サービス・プロバイダーのMovenは、顧客向けの資金管理アプリケーションを提供し、スマートウォッチ向けには取引の傾向、取引が資産管理に及ぼす影響をリアルタイムに通知するサービスを提供している。また欧米の保険会社では、ウェラブル端末を活用し、従業員の健康度合いを測定する代わりに保険料を割り引くことを始めているという。

 亀津氏はこのような変化を「ウェラブル2.0」と呼ぶ。「デバイスとしての魅力に加え、ソフトウェアやビジネスモデル、ビジネスアライアンスが重要な時代になっている。今後、デバイスメーカーは自分たちにとって何が必要なのか、考えて変えていく必要がある」と力強く語る。

【次ページ】リコーと大成建設の業務プロセス改善成功事例

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