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2017年03月31日

日本キャタピラーのIoT基地「CMセンター」見学、建機のモニタリングでここまで分かる

埼玉県・秩父にある日本キャタピラーの「コンディション・モニタリング・センター(CMセンター)」は、ICTやIoTを活用して、建設機械(建機)に関わるさまざまなデータを集約・監視する管制センターだ。2015年11月に開設された同センターは、実際にどのようなデータを、どのような手段で集めて監視しているのか。さらに、集めたデータをいかに分析して活用しているのか。建設業界では日本で初めて開設された「建機のIoT基地」とも言えるCMセンターに潜入し、取り組みの状況を聞いた。

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IoTの最前線基地、日本キャタピラーの「コンディション・モニタリング・センター」を見学



秩父の奥地にある、日本キャタピラーの「IoT基地」とは

 日本キャタピラーが埼玉県秩父市で運営している「秩父ビジターセンター」は、米キャタピラーの建機や最新技術に触れることができるアジア最大級の「建設機械総合体感センター」だ。

 秩父の山を切り開いた広大な敷地には、ショベルカーやブルドーザーなど約30台の建設機械が並ぶ。

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日本キャタピラーが運営する「秩父ビジターセンター」は、CMセンターのほか、あらゆる作業状況を再現して建機のシミュレーションを行うデモエリアや、建機のトレーニングエリアなどがある施設だ


 建設現場を模したデモンストレーションエリアでは、建機による土砂の運搬や走行デモが行われ、その様子を150名収容可能な全天候型のパノラマ観覧席から見ることができる。

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秩父ビジターセンター内にある観覧席スペース。ここで、ICTを使って自動化された建機のデモンストレーションなどを見ることができる


 2015年11月、この秩父ビジターセンター内に開設されたのが、センサーやクラウドといった要素技術を駆使して建機をモニタリングするための拠点「コンディション・モニタリング・センター(以下、CMセンター)」だ。

 CMセンター内には大小のモニターが並び、専任の担当者が、全国各地に点在する約3万台の建機を監視している。

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コンディション・モニタリング・センターの様子


 CMセンターに集約されている建機のデータは、(1)電子データ(2)S・O・S分析(3)インスペクション(4)修理歴データ(5)サイトコンディションの5つだ。

 IoTブームが起こった現在では、建機に埋め込まれたセンサーから取得される「電子データ」にとりわけ注目が集まる。日本キャタピラー プロダクトサポート事業部 カスタマーソリューショングループ グループマネージャー 羽鳥永之助 氏は、同社の取り組みについて次のように説明する。

「キャタピラーでは、20年以上前から建機にパソコンを直接接続してさまざまなデータを取得してきました。これは今でも行っていますが、Product Linkにより、データ収集は大幅に効率化されました」(羽鳥氏)

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日本キャタピラー
プロダクトサポート事業部
カスタマーソリューショングループ
グループマネージャー
羽鳥永之助 氏


 電子データの収集方法は大きく2つあり、1つは携帯ネットワークを利用する方法で、現場から最も近い基地局に電波を飛ばして収集する。もう1つは衛星を使って利用する方法で、携帯ネットワークが使えない場所ではこちらを使う。

 なお、Product Linkには、携帯版と衛星版の2つがあり、両方を自動的に切り替えるバージョンも開発されている。ただし、国によって電波の規制は異なるため、それも考慮しながら使い分けられる。

 建機の電子データのうち、すべてがProduct Linkで送られているわけではない。たとえば建機には「○月○日にトランスミッションが1速から2速になった」といったデータも記録されており、すべてを取得するとデータ量が膨大になってしまう。

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CMセンターで取得されるデータの一つが電子データだ。Product Linkなどを通じて、機械の状況をリアルタイムに把握する。稼働時間や場所、不具合情報が遠隔地からでも取得できる


 そこで、Product Linkを使って収集されるデータは、「燃費」や「積載量」といった故障の予兆検知や建設現場での効率的な稼働に関係するデータが優先されるという。

40数年前から実施している建機の血液検査「S・O・S分析」

 2つ目の「S・O・S分析」は、専門家でなければ聞きなれない言葉だろう。

 「S・O・S」とは「Scheduled Oil Sampling」の略で、オイルや冷却水など、機械で使用されている液体の定期的な化学分析のこと。日本キャタピラーでは、40数年前から実施しているものだ。

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「S・O・S分析」は、建機の「血液」とも言えるオイルを定期的に分析するもの。目に見えない機械内部の不具合の兆候を把握、不具合が起こる前にいち早い対処を提案する


 建機にとって、オイルは非常に重要だ。エンジンだけでなく、油圧ショベルのように油圧で動作する装置も多いため、オイルの劣化は、そのまま建機のパフォーマンス低下や故障に直結している。羽鳥氏は、S・O・S分析を人間の血液検査にたとえて、次のように説明する。

「建機にとってのオイルは、人間にとっての血液にあたるほど重要です。機械のオイルは交換したら次に交換するまで密封されたままです。そのため、いつサンプリングするかによって結果は大きく異なります。また、過酷な使われ方をしているのか、アイドリング時間が多いのかによっても異なりますし、現場の環境によっても違いが出てきます」(羽鳥氏)

 S・O・S分析は、2014年3月に神奈川県相模原市に新設された「S・O・Sラボ」と呼ばれる専用の施設で実施される。全国の建機から抽出されたオイル・冷却水などがS・O・Sラボに送られて、分析される仕組みだ。

 ただし、S・O・Sラボで行われるのはオイルの「分析」であり、その後の判定はしない。これは、血液検査をする会社が分析だけして判定しないのと同じだ。判定は、日本キャタピラーの「インタープリタ」と呼ばれる専門家が行う。

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S・O・S分析結果のレポート(見本)。建機のオイルを分析し、ススや金属の量、劣化度や汚染度などをみて総合評価を下す


 この分析結果と判定結果はもちろん、CMセンターに集約・蓄積され、いつでも見られる状態になっている。

【次ページ】定期点検、修理履歴、現場データを集約した総合的分析こそ重要

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