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2017年06月21日

富岡製糸場と凸版印刷が「VRとスマートグラスで体験できる世界遺産」を実現した方法

日本初の官営模範工場として、明治の殖産興業を支えた富岡製糸場は、2014年に世界文化遺産に登録された。年間100万人の観光客を呼び込める群馬県のランドマークになった富岡製糸場だが、富岡市はさらに観光客を呼び込むために、スマートグラスやVRなどの先端映像技術を用いることで、地域の魅力を広めようとしている。群馬県富岡市世界遺産部 部長の中嶋一雄氏と凸版印刷の中村卓史氏が、その取り組みについて紹介した。

執筆:フリーライター 井上 猛雄

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2014年に世界文化遺産に登録された富岡製糸場。VRとスマートグラスを活用するとはどういうことなのか。

(© sunftaka77 – Fotolia)



富岡製糸場の観光力を地域活性化につなげる富岡市

 富岡市は、数年前まで年間20万人から30万人の観光客が訪れる地方都市だった。それが2014年に富岡製糸場が世界遺産に登録され、2014年度と2015年度には100万人以上の観光客が押し寄せ、群馬の一大人気のスポットになった(2016年度は80万人)。

「世界遺産になった以上は、我々も産業・観光振興や、地域活性化・人材育成などに結びつける総合的な戦略を打つ必要があると思いました」と語るのは、群馬県富岡市世界遺産部の中嶋一雄氏だ。

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群馬県富岡市世界遺産部 部長 中嶋一雄氏


 そこで同市は「新たな価値の創造」「持続可能な基盤整備」「多様な連携の推進」「富岡の成長を支える人材の確保」という4つの方針を立て、世界遺産を核としたまちづくりの総合戦略を立案したという。

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(クリックで拡大)

富岡製糸場を核としたまちづくりのための総合戦略には4つの大きな柱がある。


 同市によれば、世界遺産である富岡製糸場を保存・活用するために整備していくには、10年間で約100億円の予算がかかる計画だという。しかし、一地方都市にとって、このコストはかなりの額といえるだろう。これだけ整備に費用がかかるのだから、市としても逆に世界遺産が負担にならないように、うまく運営していく必要があるわけだ。

 中嶋氏は「市民の理解と協力を得るためにも、観光は入口としてとらえ、地域の生活を豊かにできるようにしたいと考えています」と強調し、まち・ひとづくりの具体的な事例を取り上げた。

 現在、同市はバリアフリーやユニバーサルデザインなどの観点から市のインフラを整備しつつ、観光客と市民生活を両立した政策を打っている。また人材育成という点では、富岡製糸場のガイドを、これまでの有償ボランティアからプロに変えて、本格的な案内役として育てようとしている。

 同市は、かつて養蚕の都市であったが、いま養蚕農家はわずか12件しかないという。

「世界遺産がある市から養蚕がなくならないように、これらの養蚕農家が生産した絹糸を『富岡シルク』として、高級ブランド化する戦略も取っています。このシルクはふるさと納税の高級返礼品として、マスコミなどでも取り上げられて、大きな話題となりました」(中嶋氏)

【次ページ】凸版印刷がCGコンテンツに協力

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