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- 2019/04/01 掲載
アジアの船舶需要が逼迫、米中貿易戦争による影響が見えづらい事情
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逼迫するアジアの船舶需要
アジアの船舶需給が逼迫(ひっぱく)し始めている。それを証明するように太平洋の東回り航路のスポット運賃が連続して上昇し、輸入業者は需要逼迫と運賃上昇に備えている。ある非船舶運航業者(自らは国際輸送手段を持たない貨物利用運送事業者)は「中国発が少しタイトになり始めている」と明かす。輸送業者はピークシーズンの燃油サーチャージを下げたが、2019年に入り400米ドルの運賃一括値上げを申請した業者もいる。
全米小売業協会とハケット・アソシエイツ(Hackett Associates)が毎月発行するGlobal Port Trackerによると、コンテナ船輸入品は昨年夏以降、過去最高かそれに近い水準で推移しているが、今年に入り2月初めから前年比で減少に転じ始めそうだ、という。
輸入品は11月に14%増加、12月には推定6.1%増加したが、1月には前年比2.1%減、2月には同1%減、3月には同1.7%減になるとの予測をGlobal Port Trackerが伝えている。
JOC Shipping & Logistics Pricing Hub公表の上海航運交易所発表の指数によると、ここ数週間で東海岸スポット運賃は13.4%上昇し3,119米ドル/FEU(Forty Foot Equivalent Unit:貨物取扱高を示す単位)に、西海岸運賃は9.6%上昇し1,933ドル/FEUとなっている。
米中貿易戦争の可能性を見越して前倒し
2019年は、工場閉鎖期間の長さや旧正月後の回復状況について不透明感が高まっている。小売業者や製造業者は、例年なら1月に持ち込む輸入品を、米中間の貿易戦争のため前倒しで処理している。2018年秋には10%だったトランプ政権の関税は1月1日に25%まで引き上げられる予定だった。しかし両国は、問題解決を目指しこの引き上げと中国の報復関税を延期することで合意した。
バルチック海運指数週次アップデートの際、この関税実施延期がスポット運賃下落につながったと述べている。米国の小売業者と製造業者にとっては、2018年11月時点で東海岸で3,778ドル/FEU、西海岸で2,582ドル/FEUまで高騰した運賃が現在の水準まで下がったという事実が慰めにもなるが、スポット運賃は今後も上昇していくはずである。
【次ページ】今後の逼迫を予測するのが困難な理由
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