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  • 2023/04/25 掲載

【現地取材】ハノーバーメッセ2023、テーマ「変化をもたらす」で重視された7分野とは

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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インダストリー4.0による産業革命を推進するドイツで毎年開催されている産業見本市「Hannover Messe 2023(ハノーバーメッセ2023)」が、2023年4月17日~21日にドイツのハノーバー国際見本市会場にて行われました。ドイツのインダストリー4.0のコンセプトは2011年のハノーバーメッセで発表されており、近年はデジタル製造技術の進捗確認の場として注目されるようになっています。ここではドイツ現地を訪れた筆者がハノーバーメッセ2023について複数回にわたって詳細なレポートを提供していきます。今回はイベントの概要と注目トピックス、データ連携基盤・データエコシステム強化の動きなどを紹介します。

執筆:東芝 福本 勲

執筆:東芝 福本 勲

東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト
アルファコンパス 代表
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRM、インダストリアルIoTなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。また、企業のデジタル化(DX)の支援/推進を行うコアコンセプト・テクノロジーなどのアドバイザーをつとめている。

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ハノーバーメッセ2023の入り口の様子
(出典:筆者撮影)

ハノーバーメッセ2023の概要

 ハノーバーメッセはインダストリー4.0による産業革命を推進するドイツにて、毎年開催されている産業見本市です。

 2023年は出展企業約4000社(約50カ国)、来場者は約13万人です。日本企業および日系企業は44社が出展となっています。2022年は、来場者数は約7万5000人、出展社数は約2500社であり、コロナ前最後のリアル開催だった2019年のハノーバーメッセの来場者は21万5000人、出展社数は6500社でしたので、昨年よりは出展社数は戻ってきているものの、2019年レベルまでは戻っていません。

 今回の展示会場は、以下の7つの展示エリアで構成されていました。

  • Automation, Motion & Drives(オートメーション、モーション&ドライブ)
  • Digital Ecosystems(デジタルエコシステム)
  • Energy Solutions(エネルギーソリューション)
  • Engineered Parts & Solutions(工学部品・素材&ソリューション)
  • Future Hub(フューチャーハブ)
  • Compressed Air & Vacuum(コンプレッサー&真空技術)
  • Global Business & Markets(グローバルビジネス&マーケット)

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ハノーバーメッセの展示会場地図

コンセプトとリードテーマ

 ハノーバーメッセ2023のメインテーマは「Industrial Transformation - Make the Difference! 」(インダストリアル・トランスフォーメーション - 変化をもたらす)」です。

 デジタル化とエネルギー管理によって、資源を節約し、炭素排出量を削減できる方法を多数紹介していました。

 気候変動、エネルギー不足、サプライチェーン崩壊など、世界が現在直面する諸課題には、革新的なハイテク・ソリューションが必要だという共通点があり、ハノーバーメッセ2023には、機械工学、電気工学、エネルギー、ソフトウェア、IT分野の企業が多数出展し、製造、連携、ビジネスを最適化する産業エコシステムを形作るとしています。

データ連携基盤・データエコシステム強化の動き

 ここからは、昨今注目されているデータ連携基盤・データエコシステム強化の動きについて紹介します。

 インダストリー4.0の推進団体である「Plattform Industrie 4.0」ブースでは、デジタルプロダクションの標準化と、国内および国際的に調整する役割を担うSIC4.0、次世代の信頼できるデータインフラを構築するために協力し、実現を目指すGAIA-X、自動車のサプライチェーンに関わるすべての人のためのプラットフォームを作成することを目指すCatena-X、デジタルツインの未来を積極的かつ革新的に形成する強力なアライアンスを提供するIndustrial Digital Twin Association(IDTA)などが共同展示していました。

画像
Plattform Industrie 4.0ブースの様子
(出典:筆者撮影)

 今年はこれにManufacturing-X、Cofinity-Xが加わりました。

 ここでポイントとなるのが、アセット管理シェル(AAS: Asset Administration Shell)です。

 AASは、インダストリー4.0で提唱されているアセットの接続性とインターオペラビリティを実現するオープンスタンダードです。ここでいう「アセット」とは、フィジカル(実世界)に存在する設備や機器、人、システムなどを指します。

 AASは、それらアセットをデジタル空間でつなげるためのインターフェースとして、インダストリー4.0の推進団体や企業によってその具体化や活用が進められているものです。

 オープンスタンダードであるAASの考え方や規格を取り入れることで、特性が異なるさまざまなメーカーの設備や機器などを「単一の方式」でつなげられるようになるわけで、たとえばこれを用いて製品カーボンフットプリントの追跡が可能となるわけです。

 この共同展示には、今後、AASが裏方でデジタルツインを実現し、GAIA-Xや Catena-X、Manufacturing-X、Cofinity-Xなどのプラットフォーム化が進み、その上でカーボンフットプリントの追跡が可能となるような デジュール化の仕組み作りが進んでいくという未来像を想像させるという意味があると考えます。 【次ページ】Cofinity-X設立発表

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