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2007年03月12日

経営革新を支える日本のCIO

フューチャーシステムコンサルティング 取締役副社長 碓井誠氏:【CIOインタビュー】セブン−イレブンの情報戦略を担う、情報システムリーダーの歴史を作った男

セブン−イレブンのPOSシステムからマルチメディア端末まで、情報戦略を担う情報システムリーダーの歴史を作った男として知られる、フューチャーシステムコンサルティング 取締役副社長 碓井誠氏へのインタビューをお届けする。

フューチャーシステムコンサルティング 碓井 誠氏

フューチャーシステムコンサルティング
碓井 誠氏


碓井 誠氏 (Makoto Usui) 取締役副社長
1978年セブン−イレブン・ジャパン入社1991年2月同社システム本部システム開発部総括マネージ ャー、1996年5月同社取締役情報システム部長を経て、2000年5月同社常務取締役情報システム本 部長就任。同社において業務改革およびシステム革新を推進。2004年1月当社入社、同年3月当社 取締役副社長就任。神奈川県出身。

フューチャーのプロジェクトの戦略性・品質・納期・コスト全てにおいて、顧客満足の視点で、セールス 活動から完成までのプロセス全般にわたるマネジメントを担当。また、中国パートナーとの連携や中 国との合弁会社によるコンサルティングビジネスも推進中。ユーザー視点に立った実務家としてのソ リューション・ノウハウと、大規模プロジェクトのマネジメント経験を活かし、更なるお客様の幅広い業 務改革とシステム革新の実現を目指す。



POSデータをマーケティングに生かす初の挑戦


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 コンビニやスーパーでは、POS(販売時点管理)レジが当然になった。POSシステムが普及したことで、勘や手作業に頼っていた発注業務が大きく改善され、日々の売れ筋/死に筋をデータとして捉えることができ、在庫の適正化や品切れによる販売機会ロスの削減につながっている。

 コンビニ最大手セブン−イレブンのPOSシステムを手がけ、世界で初めてといわれるPOSシステムを使った戦略的なマーチャンダイジングとマーケティングを確立したのが碓井氏だ。情報システムの概念を変え、歴史に1ページを刻んだ情報システムリーダーであることには間違いないだろう。CIOという言葉がなかった時代から、ビジネスとシステムの融合を模索してきた。

 セブンーイレブンが独自のシステム化に取組んだのは1978年。2003年度に1万店舗を達成したセブン−イレブンだが、その当時はまだ500店舗という約20分の1の規模。とはいえ、イトーヨーカ堂のシステムの一部として、会計を中心にかなり大規模なものを持っていた。

 また、当時は発注業務を電話で行っていたため、店舗の増大と共に、商品を提供するメーカーやベンダーは、その量の多さにギブアップ状態になった。そこで、イトーヨーカ堂とはシステムを切り離し、独自の道を歩むことに決めた。碓井氏は語る。

 「商売のやり方やシステムの考え方も違うので、セブンイレブンだけで本格的にシステム化をしようとしました。セブン−イレブン・ジャパンへ入ったとき、システム部は3人しかいませんでした。組織もできてないですし、企業として成熟したなかでシステム部門が位置付けられていたわけでもありません。私は500店舗のシステムを任せられたので、自分の裁量で開発パートナーと組んで何でもできるというのが幸せでしたね。ある意味、何でもやらされるのですけど。物流部がなかったので、その役割をシステムでやりながら、問題を解決していきました。業務の組み立てをやりながら、システムで解決して行くといった進め方でした。」

 セブン−イレブンのPOSシステムは、創業者・鈴木敏文の「POSデータのマーケティングへの活用」「単品管理」「小分け/共同配送」といった構想とも相まって、成功事例として業界の内外に知れ渡った。当然、同業他社も追随したが、セブン−イレブンの優位は変わらなかった。その差を認識していた碓井氏は、こう説明する。

 「私がいつも言ってるのは『業務改革とシステム革新を同時にやらなくてはいけない』ということです。逆にいうと、片方だけでできる話ではないということですね。そのくらい、業務とシステムは密接につながってます。システムを作るのは難しいですが、使ってもらうのはもっと難しい。各部門が協力して両方を同時にやる方法が、今のセブン−イレブンの財産になっています。

 日本でも形だけ真似て、80年代後半、90年代にPOSをやれば問題が解決できるといった風潮がありました。『セブン−イレブンをご覧なさい』と。しかし、形だけ真似たところで中身がないとダメですね。必然性を持ってこれを作り出すこと、そこにITを使うことの価値が生まれるのです。」


「ビジネスとシステムとIT」のバランスとタイミングが大事


 碓井氏はその後、セブン−イレブン・ジャパンのシステム本部システム開発部総括マネージャー、取締役システム本部長を経て、2000年5月同社常務取締役情報システム本部長就任している。業務を効率化するために、入社以来一貫して情報システムに向き合ってきたわけだ。その碓井氏でも、“難しい”と感じることがある。

 「それは、バランスですね。このバランスというのは、『ビジネスとシステムとIT』の3つのことで、これらがバランスよく、今の言葉でいえば『全体最適』的にそろうことです。これは時間(タイミング)の問題もある。

 たとえば、1997年にマルチメディアを使いたかったけど、当時はまだブロードバンドがありませんでした。となると、膨大なデータは衛星を使って落とさざるをえない。そこで、技術開発をしてメドがつくと、今度はマルチメディアを使ってどうビジネスを変えられるか、となる。そういったものをタイミングよくそろえるのが難しいですね。」

 碓井氏の熱意によってタイミングを合わせたこともある。1990年代に入り、セブン-イレブンではITの標準化/オープン化を進めてきた。オープン化の中で、店舗や問屋で利用している端末のOS(オペレーティング・システム)を何にするかというのが課題になった。当時、オープン化という観点で見るとUNIX(OSの一種)が実績の面でリードしていた。パートナー企業でも、UNIXを推す声が強かった。しかし、1995年、碓井氏が向かった先はアメリカ・シアトルのマイクロソフトだった。24時間、365日の安定運用、マルチメディアを活用した先進システムの必要性を説いた。

 「1994年、タイミングをそろえるために、OSを組み替えようと検討を始めました。翌年、マイクロソフトへ出向き『こういうことをやりたい』と伝えデモを見せると、スティーブ・バルマー(現CEO)は『グレイト!ぜひやりたい』と言ってくれました。タイミング的には、マイクロソフトがwindowsNTを出した時期です。NTは企業ユーザー向けのOSですから、マイクロソフトには企業ユーザーの領域を広めていきたいという思惑もあり、そのタイミングに合ったんでしょうね。NTを本格的に使っていく取り組みは、アメリカ市場より先に、セブン−イレブンでスタートしたのです。

 しかし、そういうものを作るためには開発ツールが必要ですが、それがないのです。いろんなツールを検証して作っても、思うように動かないんですよね。そこで、ソリューションパートナーの日本電気(NEC)で開発ツールを作りながらアプリケーションも開発する、コンカレント(並行)開発を行いました。このシステムは今でも先進的なものですね。

 今でこそ情報技術が進んでいろいろできますけど、この開発プロジェクトは、いわゆる宮大工の世界。宮大工は道具も技術も違うし妥協がないわけです。なぜそういうことをやるかというと、使う人が負担を受けないシステムを作らなくてはいけない、という想いがあるからですね。使う側にとっては、大きな努力やストレスがあってはダメなんです。目に見えて本当に楽になり、『これなら使える』という状態にならないと。」

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