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2013年08月29日

『統合失調症がやってきた』著者 松本ハウス インタビュー

【松本ハウスインタビュー】人気お笑いコンビがストレートに語る病気の体験――闘病とそれを見守る側の気持ち

1990年代、『タモリのボキャブラ天国』(フジテレビ)で大ブレイクしながらも、統合失調症により表舞台から姿を消したお笑いコンビ・松本ハウスのハウス加賀谷。2009年、お笑いの世界への復帰を果たした加賀谷が、相方の松本キックとともに自身の体験を綴った『統合失調症がやってきた』(イースト・プレス)を上梓し、注目を集めている。発症から本書の執筆に至るまでの経緯や、“笑い”に対する熱い想いなどについて聞いた。

──まずは、『統合失調症がやってきた』を出版した動機についてお聞かせください。

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『統合失調症がやってきた』

 松本キック(以下、キック)■実は以前にも、「本を出さないか」というお話は何度かいただいていたんですよ。でも、09年に加賀谷が復帰してしばらくは、昔のように呼吸の合ったコントができませんでしたし、そういう段階で、自分たちのことを語るなんてできないと思ったんです。だから、いずれ時期がくれば、と考えていたのですが、ここ2年ぐらいで加賀谷の状態がすごくよくなりまして。今も統合失調症の薬は飲み続けていますけど、この状態ならいろいろと活動できそうだし、自分たちのこともオープンに話せるな、と。

 ハウス加賀谷(以下、加賀谷)■そうですね。キックさんですら知らなかったこともバシバシ話しました。ただ、今の僕にとって、幻聴や幻覚に悩まされていた当時のことを思い出すのは、それほどしんどい作業だとは思っていなかったんですけど、ある特定の場面を思い浮かべると吐き気がして、実際に吐いちゃったことも何度かありましたね。

──それでも、ある程度冷静に、ご自身の過去と向き合えるようになったということですね。その一方で、完全に客観的な立場に徹しているわけではなく、当事者の生々しい感覚で描かれている部分もたくさんあります。だからこそ読者には、加賀谷さんの体験が、自分には関係のない遠い世界のできごととしてではなく、現実に起こり得ることとして迫ってくるのだと思います。

 加賀谷■そうなんですよ! よくわかってらっしゃる。この内容で1300円(※税抜き)は安いですよ!

 キック■お前の支離滅裂な話やメモを誰がまとめたと思ってんの! でもやっぱり、加賀谷の状態がよくなって、自分たちの先行きが見通せるようになったことで、余裕を持って過去を振り返ることができるようになったんだと思いますね。

──病気で苦しむ加賀谷さんと、それを見守るキックさん、その両者の視点から書かれているところが、この本の最大の特徴ですね。

 キック■そうですね。先日、精神科の先生方が集まる講演会に出させていただいたんですけど、そのときに先生方からうかがった話では、精神科医というのは、患者の話はたくさん聞くけど、その周囲の人たちの話を聞く機会はほとんどないそうなんですよ。その意味では、病気で苦しんでいる方だけでなく、その周囲の方にも、それなりに意味のある本になったんじゃないかと思います。

──では、本の内容と重複してしまうところもありますが、統合失調症を発症した経緯について、改めてお聞かせください。

 加賀谷■発症したのは中学2年生の1学期の終わり頃、とても暑い日でした。僕は教室で一番前の席に座っていたんですけど、僕のすぐ後ろの女の子が、先生に「なんでそんなにふてくされた態度なんだ!」って注意されたんです。それでふと振り返ると、その子は顔のあたりを下敷きであおいでたんですよ。実際には、ただ暑かっただけだと思うんですけど、僕は、前の席の僕が臭くてそうしているんだと受け取ったんです。それからほどなくして、教室の後ろのほうから、「うわ、臭い!」「かがちん、くっせー」って声が聞こえてきて……。そのときは幻聴だなんて思いもよらず、現実の友だちの声だとしか思えませんでした。

 それまでの僕は、いつもニコニコしている明るい子だったんですけど、その後、教室だけでなく、電車などの密閉された空間で、その声が常に聞こえてくるようになって、どんどん暗くなっていきました。両親やお医者さんに相談しても、「別に臭くないよ」といわれるだけでわかってもらえないし、高校に入っても状況は変わらない。ついには、これはいわゆるワキガだからだと思い込むようになって、皮膚科の先生に無理にお願いして、わきの下の皮膚を切り取ってもらったんですよ。痛かったですけど、これですべて解決すると思うとうれしくて、喜び勇んで登校しました。ところが、授業が始まったとたん、「くさ〜い」って声が聞こえて……。

 それ以降は、声が後ろから聞こえてくるので、壁に背中をピッタリつけて歩くようになり、ついに幻覚も見るようになりました。ある日、教室から出ると、突然廊下が大きく波打って迫ってきたんです。僕もさすがに恐ろしくて、これは休まなきゃいけないな、と思って、以前から誘われていたグループホーム(病気や障害を抱えた人が、集団生活を通して社会復帰を目指す施設)に入所することにしました。

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