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2015年06月16日

派遣法改正のキホンを図解、IT業界に与える2つのビッグインパクトとは

労働者派遣法が「3度目の正直」で、いよいよ改正される見通しとなった。今回の派遣法改正案のうち、特にIT関連企業の多くが採用している「特定労働者派遣事業の廃止」は、派遣事業を行っている企業はもちろん、派遣社員を受け入れている企業にも多大な影響を及ぼす。また、本国会で成立すれば、施行は9月1日からと準備の期間も短い。そこで本稿では、今回の派遣法改正の基本と概要を図解し、今どう対応するべきなのか、そのポイントを紹介する。

執筆:ビーブレイクシステムズ 取締役 高橋 明

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なぜ派遣法が改正されるのか

 2008年9月に米国リーマンブラザーズの破たんをきっかけとして世界的な金融危機(所謂リーマンショック、サブプライムローン問題の顕在化)が発生し、日本の経済環境も大幅に悪化した。そのため、雇用調整の一環として日本の大企業(主に製造業)は工場などで働く派遣労働者の契約打ち切りを行った。その際に派遣労働者の不安定な地位と低待遇が多くの人々に知られ、当時は“派遣切り”と言われ、社会問題化した。

 また、派遣先企業の担当者から労働者に直接指示がある作業内容であり、派遣先企業に労働者の安全管理義務や一定期間労働した場合の雇用義務がある派遣契約であるべきにも関わらず、その義務のない請負契約にし、派遣先企業が労働者に対して安全管理義務/期限経過時の常時雇用を履行しないこと(いわゆる偽装請負)も問題となった。

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図1 請負契約と労働者派遣契約の違い


 このような経緯があり、今までに日雇派遣の原則禁止など、労働者派遣法の改正が行われた。それらの改正に加えて、「労働者派遣事業の適正な運営」と「派遣労働者の保護」を目的として、労働者派遣法の改正を現在、2015年9月1日施行を目指し、第189回通常国会で検討している。与野党の攻防が激化していたが、ここにきてようやく衆議院の委員会審議が終わり、19日にも採決される見通しだ。

 その改正の主なポイントは大きく以下の3つである。

  1. 特定労働者派遣事業の廃止
  2. 労働者派遣の期間制限
  3. 派遣労働者の均衡待遇の確保・キャリアアップの推進

 これだけ見てもピンとくることはないはずなので、以下でその詳細を説明していこう。

労働者派遣法改正のポイント

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1.特定労働者派遣事業の廃止

 現在、労働者派遣事業は許認可制である一般労働者派遣事業(以下一般派遣)と届出制である特定労働者派遣事業(以下特定派遣)のどちらかに該当する。今回の改正案では、特定労働者派遣事業を廃止し、すべての労働者派遣事業を許認可制にする。

 具体的にどのような違いがあるのだろうか。

 まず、派遣というと派遣元のWEBサイト上に労働者が登録し、希望の仕事に応募する登録型派遣をイメージする人が多いと思う。この場合、仕事がある期間のみ、労働者と派遣元企業は雇用契約を締結し、仕事が終了すると同時に雇用契約も終了する。

 それに対して派遣元と雇用契約(1年超有期、無期問わず)を結び、さまざまな仕事場に派遣される常用型派遣がある。一般派遣は登録型派遣および常用型派遣、特定派遣は常用型派遣に該当する。

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図2 特定労働者派遣と一般労働者派遣の違い


 一見すると特定派遣のほうが派遣労働者の保護という観点からみて一般派遣より優れており、廃止する意味がないように見える。

 しかし、実態としては、届け出るとすぐに派遣事業を開始できることもあり、悪質な派遣事業者が参入し、常時雇用を前提とした特定派遣にも関わらず、有期雇用契約の繰り返しが行われ、かえって派遣労働者の待遇が悪化するという事態があると言われている。

 また、資産要件基準がないため、特定派遣を利用する小規模事業者が多い。実際、派遣事業を営む全7.5万事業所のうち、一般派遣は24%、特定派遣は76%となっている(出典:厚生労働省労働者派遣事業報告(H26.6.1現在)ほか)。

 そのため、現在の特定派遣にも一般派遣と同様の許認可基準を設け(図3)、経営状況の改善を促すことで派遣労働者の待遇を改善することが目的にある。

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図3 特定労働者派遣と一般労働者派遣の違い


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