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2016年04月19日

ポイントサービスは「戦国時代」に突入、急増のLINEカードやドコモ、JR東、WAONの動向

ここ数カ月、ポイントサービスを巡るさまざまな発表やリリースが行われた。LINE、イオン、JR東日本、NTTドコモなど、大規模な会員組織を持つ企業がそのスケールメリットを生かし、新たなサービスを打ち出している。後発のポイントサービスは、先行企業よりも魅力のあるサービスを打ち出そうと努力しているが、ポイントによる価値だけではなく、消費者のマインドシェアを高め、中長期的な費用対効果を考えて運用しなければ、将来的にはしわ寄せがくる可能性がある。今回は最新のポイント動向をまとめてみた。

執筆:TIプランニング代表取締役 池谷 貴

発行10日間で20万枚を発行した「LINE Payカード」

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LINEカードのデザインは4種類(ブラウン、ブラック、ホワイト、カラフル)。ポイントは100円につき2ポイント付与される

 ポイント還元率は業界最高水準の2%。2016年3月24日に開催の「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」で発表された「LINE Payカード」の反響は大きかった。LINEによると、同カードは、発行10日間で20万枚の発行を突破。恐らく今後もしばらくはその数を伸ばすことだろう。

 LINE Payカードは、事前にコンビニ端末や銀行口座からLINE Pay残高にチャージ(入金)すると、国内・海外のJCB加盟店約3,000万店での支払いに利用でき、利用履歴もLINE上で確認できるというもの。LINEユーザーは若年層が多いことも特徴だが、申込時の与信審査や年齢制限がなく、入会金・年会費無料で誰でも気軽に持つことが可能だ。

 さらに、貯めたポイントは、1,000ポイント以上で自身のLINE Pay口座に入金し、電子マネーとして利用できる。LINEのサービスとして、LINE STOREやLINE FRIENDS 公式オンラインショップで利用できるほか、「Amazonギフト券」「nanacoポイント」「Pontaポイント」「WAONポイント」といったポイントにも交換できるサービスも開始する予定だ。

伸び悩む「LINE Pay」の起爆剤となるか?

 LINE の子会社となるLINE Payでは、「LINE Payカード」発行以前から決済サービスを提供している。2014年12月16日から、LINEを通じてユーザー間での送金や、提携サービス・店舗での決済を行うことができるモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」を提供。資金移動業者に登録しているため、他のID決済サービスとの差別化として、個人間送金が行えるのが特徴だ。

 LINEでは、スマートフォンを活用したサービスを提供しており、将来的にはスマホ一台で完結する決済サービスを目指していると思われる。

 しかし、LINEは元来コミュニケーションを図るために活用されており、決済ツールとしての力はそれほど強くはない。また、スマホを活用したサービスは、チャージ環境の整備、端末依存、店舗のインフラ環境といった課題も顕在化しており、他の事例をみても成功はそれほど多くはない。

 同社では、2016年春から、リアル店舗においてもQRコードを活用したモバイル決済を開始するが、恐らく普及にはそれなりの時間が必要だろう。

 そのため、LINE Payを活性化させる現実的な施策として、プリペイドカード「LINE Pay カード」の発行に至ったと考えられる。これは、モバイルを提供する立場である携帯キャリアのKDDIが、モバイル決済サービスを提供するのを見送り、MasterCardブランドの付いた「au WALLET」を発行したのに似ている。

高還元カードの多くが発行中止や改定に追い込まれる

 下図の通り、消費者への魅力として考えれば、2%という還元率は非常に高い。実際、複数の識者がLINE Payカードは旋風を巻き起こすというコメントを残している。

 確かに、短期的には成果を生み出すかもしれないが、中期、長期の視点で見ると、どうしても不安が拭えない。なぜなら、ポイント還元率を売りにした数多くのクレジットカード、ポイントカードが、その後中止やポイントサービスの改定を余儀なくされているからである。

LINEはLINE Payカードの魅力を図表化した
LINE Payカード大手通信キャリアA社大手コンビニB社大手共通ポイントC社大手EC D社クレジットカードE社
種別プリペイドカードプリペイドカードプリペイド電子マネーポイントカードクレジットカードクレジットカード
ポイント還元率2.0%0.5%1.0%1.0%1.0%1.5%
年会費無料無料無料無料無料1500
ポイントの現金化可能不可不可不可不可不可
※ポイント還元率はキャンペーン時を除く
(出典:LINE)

 たとえば、「au WALLET」はLINE Payカードの比にならないほどの枚数のカードを発行している。与信のないプリペイドカードは“バラマキ”可能な特性があり、数を稼ぐことが可能だ。

 ただし、それを利用に結び付けるのは非常に難しい。実際、「au WALLET」も開始当初はキャンペーンの実施により、数多くの会員を獲得したが、その終了とともに実際の稼働は伸び悩んでいると言われている。KDDIの場合、携帯電話の契約者をつなぎとめる目的もあると思われるが、サービスの難しさを肌で感じているはずだ。

 また、LINEのユーザーは若年層が多く、少額決済が中心となるため、当然手数料収益は薄利になると想定される。さらに、これまでのプリペイドカードや電子マネーの発行会社を見ても、日常的に利用する核となる店舗がなければ、再チャージを促すことは難しい。

 定期的に利用するセブン-イレブンのある「nanaco」、イオンのある「WAON」、交通乗車のためにチャージする動機づけがある「Suica」等の交通電子マネーの利用金額や件数がアップし、楽天Edyが苦戦している理由の1つはそこにある。

 「au WALLET」も日常的に利用するコンビニエンスストアと連携し、プロモーションを打つなどして、稼働率アップに努めている。そのため、還元率が最大の特徴となるLINE Payカードの行く末は楽観視できないと考える。

【次ページ】NTTドコモの「dポイント」は高還元と割引が特徴

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