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  • 2014/11/11 掲載

自動車部品業界の世界ランキング:デンソー、アイシン精機を襲うドイツ勢の猛攻

連載:あの業界のグローバルランキング

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日本の強い自動車産業を支えているのは、日本の自動車部品産業だと言われる。世界第2位のデンソーは、首位のロバート・ボッシュ(ドイツ)と猛烈な競争を繰り広げており、アイシン精機も順調に業績を伸ばしている。自動車メーカーの“系列”が崩れる中、日本の大手自動車部品メーカーは、技術力と生産効率の高さを武器に、世界へ打って出ようとしている。中国など急成長する新興国市場の攻略が、日本勢の飛躍のカギとなるだろう。それを阻むのがドイツ勢だ。業界1位のボッシュはもちろん、業界9位のZFがTRWを買収し、一気に2位に躍り出ようとしている。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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自動車の原価の半分を部品代が占めている

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 自動車の製造原価のうち、社外から調達した部品・資材の代金は、約5割を占めると言われている。たとえば、30兆円近い年商を誇るトヨタ自動車グループであれば、10兆円規模の自動車部品を仕入れていることになるわけだ。トヨタのお膝元である愛知県には、トヨタを得意先とする数多くの自動車部品メーカーがひしめいており、その中には、年商1000億円クラスのメーカーも珍しくない。自動車産業は裾野が広く、経済波及効果も大きいと言われるゆえんである。

 自動車を作るのに必要な部品は、実に3万点に上る。自動車メーカー(完成車メーカー)のほとんどは、エンジンなどの心臓部、車体については自社生産しているが、そのほかの部品については外注に依存している。アウトソーシングしている部品は、ネジやバネ、ベアリング(軸受け)、ラジエーター(エンジン冷却装置)、油圧機器、ガラス、ランプ、シート、カーオーディオなど多種多様だ。

 自動車部品メーカーにも、ベアリングメーカーのように、工作機械や精密機械、電機など自動車以外の産業にも製品を供給しているメーカーもあれば、カーオーディオメーカーのように、自動車専用の部品だけを手がけているメーカーもある。

 また、自動車部品メーカーは、特定の自動車メーカーの専属下請けと、“全方位外交”で、さまざまな自動車メーカーと取引しているメーカーに大きく分かれる。前に述べたように、トヨタや日産自動車、米国のビッグスリー(ゼネラルモーターズ・フォード・クライスラー)といったトップクラスの自動車メーカーの専属下請けには、大企業もある。

 しかし、世界規模の自動車部品メーカーの大半は、国内外の大手自動車メーカーに製品を幅広く納入している。もともとは特定の自動車メーカーの子会社や系列会社であっても、ほかの自動車メーカーに販路を広げることで成長した自動車部品メーカーも数多い。大手自動車部品メーカーの中には、今や自動車メーカーと同等か、それ以上の実力を持つ企業もある。

自動車部品でも日本とドイツがツートップ

 売上高による自動車部品メーカーのグローバルランキングのトップ20は次のとおりである。

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自動車業界の世界ランキングトップ20

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 一見してわかるように、自動車産業が盛んな日本や欧米のメーカーで占められ、とりわけ、自動車業界の二大勢力である日本とドイツのメーカーが強さを発揮している。日本の自動車部品メーカーが、日本の自動車メーカーだけでなく、海外の自動車メーカーからも高く評価されていることが、この事実からもうかがい知れよう。

 世界第1位の自動車部品メーカーはドイツのロバート・ボッシュである。創業は1886年(株式の9割以上をロバート・ボッシュ財団が保有。創業家のボッシュ家も株主)。エンジン用点火装置からスタート、自動車用の電子機器・通信機器・ステアリング・ディーゼルのほか、工業用オートメーション機器、産業機械、空調設備、電動工具なども生産している。

 技術力には定評があり、2013年には約45億ユーロの研究開発費を投じ、全世界で約5000件の特許を出願している。ガソリンエンジンの低公害化に必要な燃料噴射の電子制御技術は同社が開発し、世界中で導入されている。

 世界50カ国以上に現地法人を設立、約150カ国に事業拠点があり、約28万人の従業員を抱える。日本にも戦前から進出。ボッシュ(旧ゼクセルなどが合併。自動車部品など)、ボッシュ・レックスロス(油圧機器など)といったグループ企業がある。日本のグループ売上高だけで3,000億円以上、従業員数は約7500名にのぼる。

 第3位のマグナ・インターナショナルはカナダの自動車部品メーカーで、1957年の創業。世界約30カ国に事業拠点を持ち、約13万人の従業員を擁している。「マグナの製品を使えば、自動車が1台作れる」と言われるほど、自動車部品のラインアップは多岐にわたる。ビッグスリーやBMWのサプライヤーであり、日本の自動車メーカーとの取引も拡大している。

 第4位はドイツのコンチネンタル(1871年創業)。もともとタイヤメーカー(「コンチネンタルタイヤ」は現在でも世界的に有名)だったが、ブレーキ、カーエレクトロニクスなどにも多角化し、総合自動車部品メーカーとなった。世界50カ国近くで事業を展開(従業員数は約16万人)。08年にはドイツの大手ベアリングメーカー、シェフラーの傘下に入っている。

【次ページ】日本企業を襲うドイツ勢の猛攻

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