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  • 2016/07/27 掲載

中東のドバイが「モバイル決済天国」になるポテンシャルを秘めている理由

Beaconによるウォレットもスタート!

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世界各国で非接触決済やモバイル決済が話題となっているが、中東の動向はどうなっているのだろうか? 2016年5月31日、6月1日にUAE(アラブ首長国連邦)にあるドバイで開催された「Cards & Payments Middle East2016」に参加したので、今回は中東のコンタクトレスペイメントの事情について紹介してみたい。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

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ドバイで行われた「Cards & Payments Middle East2016」


世界の名だたる決済プレイヤーが参加したイベントとは

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 筆者が訪れた「Cards & Payments Middle East2016」には、ジェムアルト(Gemalto)やオベルチュール・テクノロジーズ(Oberthur Technologies)といったデジタルセキュリティベンダー、国際ブランドのMasterCard、モバイル決済サービス「Samsung Pay」を提供するSamsung、中東屈指の決済ソリューションプロバイダーであるネットワーク・インターナショナル(Network International)、決済端末ベンダーのベリフォン(Verifone)やインジェニコ(Ingenico)、キャッスル・テクノロジー(Castles Technology)といったプレイヤーが展示していた。また、日本からも大日本印刷が出展していた。

 近年、Fintechやモバイル関連のカンファレンスの勢いに押され、カード決済を主軸としたイベントは、出展社が減少しているものも少なくないが、そんな中、同イベントは元気がいい印象を受けた。ただ、中東での開催ということもあり、イベント会場で日本人の姿はそれほど見かけなかった。

Beaconを活用した「Beam Wallet」

 UAEにおいて、モバイルを活用した取り組みでは、いくつかの面白いサービスが行われていた。

 まず、ドバイでは、消費者のモバイルアプリとBluetooth対応の専用Beacon(ビーコン)を活用したモバイル決済サービス「Beam Wallet」が展開されている。「Beam Wallet」では、MasterCardのデジタル決済サービス「MasterPass」による支払いが可能だ。

 「Beam Wallet」は現在、Carrefour(カルフール)、COSTA(コスタ)、SUBWAY、COLD STONE、ENOC(エノック)など、ドバイを中心にUAEの3,000店舗で展開されているという。

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Carrefour(左)、COSTA(右)でBeam Walletが利用できる

 利用者は支払い時に「Beam Wallet」アプリを立ち上げ、暗証番号を入力するなどの操作を行うと認証が行われ、「MasterPass」によるチェックアウト支払いが行える。

 スマートフォンアプリとBeaconとの接続はBluetoothで実施。スマートフォンとのBeaconとの通信距離は業種によって異なり、たとえば、ENOCなどのガソリンスタンドでは、ユーザーが車に乗ったまま接続するため、通信距離は長く設定されている。

 逆にカルフールでは、レジのスタッフと対面でのやり取りのため、距離は短く設定されているそうだ。

 「Beam Wallet」のダウンロード数は約30万。ドバイの生活者に話を伺うと、街で「Beam Wallet」による支払いを行う人は徐々に増加しており、浸透しつつあるという。特にカルフールなど、生活者が日常的に利用する店舗で支払いが行えることも普及を後押ししている。

ドバイ政府の支払いに用いられる「e-dirham」

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「eD-Mobile/Wallet applications(ED-モバイル/ウォレットアプリケーション)」
 また、UAE(アラブ首長国連邦)の政府により導入された「e-dirham(イーディルハム)」では、UAEの各省庁への申請や支払い、首長国の地方政府機関、企業の登録、ガソリンスタンド料金の支払い等を安全・セキュアに行うことが可能だ。

 カードは昨年、300万枚発行されたというが、2015年10月には「eD-Mobile/Wallet applications(ED-モバイル/ウォレットアプリケーション)」をリリース。同アプリは、Android、iOSともに利用できる。これにより、物理的なカードを購入することなく、政府が提供する主要なサービスの支払いを行うことが可能になる。

 同アプリケーションには、クレジット、プリペイドおよび銀行のデビットカードを追加することができ、トークンIDを紐づけて安全に支払いができる。つまり、ED-モバイル/ウォレットアプリケーションでの支払い時に、トークンを生成したバーコードにより、自身のカード番号を通知することなく処理されるわけだ。

【次ページ】鉄道、水道・電気代、交通の罰金、病院予約など幅広い利用へ

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