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2012年07月19日

住友電気工業 [CIO・システム部長に聞く、対談インタビュー連載]

【CIO対談:住友電気工業 奈良橋三郎氏】情報システム部門の自己改革〜「事業部門のトップに『システムのおかげ』といってもらえる情報システムを作る」

ユーザー部門の業務改革を期待される情報システム部門の中には、自部門の改革も着実に進めているところがある。彼らは、どのような自己改革を成し遂げたのだろうか。本連載では、情報システム部門のトップに自ら語っていただこう。第17回は、住友電気工業の情報システム部長、奈良橋三郎氏に話をうかがった。

執筆:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

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 住友電気工業の情報システム部は、技術を中核に仕事を進める。オープンソースを活用し、自社開発でシステムを構築。すべての開発プロジェクトを定量化してマネジメントし、CMMIレベル5を取得。こうした努力で、高いコストパフォーマンスのシステムを実現している。

定量的プロセス管理でプロジェクトを成功させる

 住友電気工業は、この5年間、システム開発プロジェクトの定量的プロセス管理を進めてきた。現在は、すべての開発保守案件をアーンドバリューで管理し、常に品質、納期、コストの現状と、プロジェクト終了時の予測が、定量的に明確化できる。個人ごとの能力や生産性まで考慮した分析もできる。そこで、プロジェクトの課題の早期発見と是正が可能である。定量的プロセス管理の効果は、大きい。この5年間で、予算の−5%〜+10%内でプロジェクトを完了できた比率が、20%から85%へと高まった。

 定量的プロセス管理の実現には、プロジェクト・マネージメントの標準化や各種指標の明確化、実績の確実な報告、分析能力の充実、早めの是正を実行するマネジメント確立と、やるべきことがいろいろある。最初の内、現場は想定どおりに実績を報告しないこともあった。それでも5年間方向をぶれることなく維持し、結果、CMMIのレベル5を取得するまでになった。

 このようなことが実現できたのは、住友電気工業が、技術を大事にする文化を持っているからだ。住友電気工業の情報システム部には、20人を超える技術部門がある(全部員約70人)。情報システム部の新人は、まず技術部門に配属され、ITインフラや開発方法などの調査・評価・選定といった業務からキャリアをスタートさせる。そこでしっかりと技術を学んだ後で、開発や保守部門へと移る。技術部門が出した方針は絶対であり、システム開発部門、子会社は、この方針を確実に守る。守らせる仕組みを作っているのではない。文化風土として定着しているのだ。

 この場合、技術の方針は、合議制で作ることはしない。これはという担当者に任せ、一人で(もちろん周りの協力を得て)考えさせる。そうでなければ、現状を大きく変える改革策を、迅速に作り上げることはできない。こうして作り上げた方針は、皆が守り、実現し、効果を上げるのだ。

技術を中核に真に価値ある情報システムを実現する

 技術部門は、30年前から、常にその時々の目指すインフラや開発方法、言語を決めている。移行期間はあるが、バラバラ、好き勝手になったことは、一度もない。このような方針の徹底が、コストや生産性に直結する。今は、たとえばインフラは、オープンソースを用いた方針を打ち出している。アプリケーションは自社開発で、事業ごとに業務ノウハウを蓄積した、コストパフォーマンスの高いシステムを実現している。グローバル化では、まずアジアに、日本の自社開発システムをパッケージ化して展開を始めている。

 住友電気工業の情報システム部では、最近、事業部の事業課題から明らかにし、そこからシステム化を実現するプロジェクトを経験した。このプロジェクトでは、事業収益を向上させるため、業務を見直し、KPIを顧客満足度に直結するように改め、グローバルな在庫を日本でコントロールする仕組みなどを構築し、実際に収益向上を果たした。事業責任者からは、「ITが事業業績向上に貢献した」との言葉をもらった。そこで奈良橋氏は、情報システム部門の次の改革として、真に価値ある情報システムの実現を掲げた。「真に価値ある」とは、事業側から事業に貢献したといわれることだ。そのために、事業ごとの中期計画からスタートし、課題を明確化し、これを解決するシステムを提案しようとしている。

 ただし、この場合でも、まず技術のプロになることが前提だ。ITのプロとして認められなければ、事業貢献のための提案も受け入れられない。評論家のように、聞きかじったことを言うだけではダメだ。今後中期に、技術をしっかりと身につけ、その上で事業部門の課題を認識し、提案・実現できる人材を育成していく。

 では、次ページより、奈良橋氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。

【次ページ】事業部門のトップに「システムのおかげ」といってもらえる情報システムを作る

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