- 2026/10/22 07:00 掲載
マンション価格「バーゲンセール」はすぐそこ?買える価格に変わる“値下げの条件”(2/3)
価格下落を招いた「これだけの理由」
それがどこかを示す前に、まずはザックリと今回のマンション価格が下落に至る過程をおさらいしておこう。価格の上昇の起点は、2013年に始まった異次元金融緩和であった。ただし、最初はその地域が限られていた。主に東京都心や湾岸、川崎市の一部などだ。私はこの現象を「局地バブル」と名付けた。
その後、コロナによる景気対策資金や円安による海外からの流入マネーによって2022年から上昇速度が加速。あの平成大バブル期の「狂乱地価」を彷彿とさせる様相となった。
当初の値上がり地域は都心や湾岸の「局地」であったが、主に2022年以降は東京23区全域から周辺へ広がり、やがては近畿圏、主要都市圏に及んだ。ただ、そこでも上昇したエリアは各都市の中核エリアに限られていた。エリアは拡大したが、やはり地域は限定される「局地バブル」であった。
潮目が変わり始めたのは2024年3月のゼロ金利解除あたりからだ。
新築、中古ともにマンション価格が上がり過ぎた結果、実際に住むために購入する実需層の動きが鈍り始めた。住宅ローンの金利がジワリと上がり始めたので、当然の流れでもあった。
一方、2024年の1月から施行されていた「区分所有補正率の導入」による、タワマン購入による相続税対策への締め付けも効果を発揮し始めていた。
さらに、2025年11月、高市首相は国会で台湾有事における状況を「存立危機事態」と答弁。これに中国が猛反発して、日本への渡航を実質的に制限した。
そして同年10月には、日本国内における経営・管理ビザの資本金要件が3,000万円以上に引き上げられた。
これらの状況変化によって、それまで目立っていた外国人のマンション購入の動きが一気に萎んできたと見られる。
「28カ月ぶり」価格下落の裏で起きていた現場の“異常事態”
そして現在、東京のマンション市場は明らかに下落基調である。不動産調査会社の東京カンテイは9月24日、東京都の8月の中古マンションの売り出し平均価格(70平方メートル換算)が前月比0.2%安い1億1274万円だったと発表した。下落は28カ月ぶりということである。
ただこれは、最近になってやっと統計数字に表れた指標だ。不動産仲介の現場では、2024年の後半から不調がハッキリしていた。2025年に入ってからも不調は続いたが、それでも「何とか」平静が保てる状態ではあった。表面に現れる「数字」も「価格の上昇が続いている」と言えなくはないものだった。
ところが、今年の春先からボツボツとネット上でも販売不振が伝えられるようになった。最近ではむしろ、マンション市場の先行きを悲観する記事がメディアなどに頻出するようになっている。
追い打ちをかけるように金利は上昇。さらに「短期転売益の課税強化」などということを、政府が検討していることも伝えられてきた。
まさに、「潮目が変わった」と言えるだろう。
大手デベ?中小?「この先危ない」倒産危機の業者
では、このような状況で、経営を悪化させているのはどの業種なのか。新築マンションを開発・分譲するデベロッパーは販売不振に悩みつつも、経営基盤は揺らいでいない。なぜなら、今や新築マンションの売主は財閥系や大手企業の子会社が中心。彼らは10年以上続いた販売の好調と価格の上昇で、たっぷりと利益を確保したので経営基盤は非常に安定している。
もちろん、それらの企業に融資している銀行なども、マンション価格が下落に転じようともほとんど影響を受けない。
今回、マンション価格が下落に転じたことでもろに経営を悪化させるのは、大手企業の傘下に属さない独立系の不動産仲介業者ではないかと筆者は見ている。
中でも中古マンションを買い取ってからリフォームなどを施して売却することを専門にしている買取再販業者と、新築物件をデベロッパーからまとめて買い取り、値上がりしたところで再販する「バルク買い」業者が該当するのではないだろうか。
現在、中古マンション市場などで販売されている物件のおよそ4割が、そういった買取再販やバルク買取業者が「売主」になっている「再販物件」だと言われている。
SUUMO(スーモ)やライフルホームなどの不動産情報サイトで中古マンションを探した際、概要の「取引態様」というところをチェックしていただきたい。「売主」と表示されていたら、それはほぼ「再販物件」である。
【必見】マンション価格「バーゲンセール」発生の“ある条件”
買取再販やバルク買取業者は、物件を自社で購入してから中古市場で売却するビジネススキームである。その方が、手数料を稼ぐ通常の「売買仲介」よりも利幅が大きい。その代わりにいったん物件を購入するので、ある程度まとまった資金が必要だ。そういった資金は、当然銀行からの融資を仰ぐ。融資には利息が付く。その利息はこの1年余りで急速に上がった。
一方、市場は不振を極めているので購入した物件はなかなか売却できない。金利負担は嵩むばかり。資金繰りに困っても親会社があるわけではないので、誰も助けてくれない。
ではどうするのか。
手持ちの在庫を「売れる価格」で売ることになる。すなわち、十分な利益を確保できない価格でもとにかく売り払って現金に換え、銀行からの借金を返済する。
こういう状態がさらに逼迫すると、「買値より低くても売却せざるを得ない」などという状態にもなりかねない。
再販系の業者はもともと、大手企業の傘下にいない独立系が多いので、資金繰りが窮すると短期間で倒産に至るケースも増えそうだ。
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