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  • 2026/09/17 掲載

EVの航続距離を「空調」が削る? 快適性も諦めない“7倍速”設計術

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快適な車室をつくるほど、EVの航続距離にしわ寄せが及ぶ──。内燃機関の廃熱を利用できないEVでは、HVAC(暖房・換気・冷房)にも限られたバッテリー電力を振り向けなければならない。バッテリーやモーターの冷却、航続距離、乗員の快適性という“エネルギー争奪戦”をどう解くのか。鍵を握るのが、3D CFDやAIを組み合わせ、車両全体で最適解を探る統合型シミュレーションだ。

快適にするほど航続距離が縮む? EV空調の“厄介なジレンマ”

 EVのHVAC設計が難しい最大の理由は、従来の自動車で「当たり前」だった熱源が使えないことにある。大型エンジンを搭載する車両では、エンジンが生み出す大量の廃熱を暖房に利用できた。HVACも、一定時間内に車室を目標温度へ到達させることを軸に設計できた。ところがEVでは大量の廃熱を期待できない。冷暖房に使うエネルギーも含め、限られたバッテリーの電力をどこに振り向けるかという難問が突きつけられる。

 問題をさらに複雑にするのは、エネルギーの奪い合いが複数のサブシステム間で同時に発生することである。バッテリーやモーターの冷却、航続距離の確保、そして乗員の快適性──いずれも車両全体のエネルギー管理と切り離せない。HVACを単独で最適化しても、別の性能を悪化させれば意味がない。だからこそEVでは、サブシステムごとに設計を詰める従来型の進め方から、車両全体を見渡して「どこに、どれだけエネルギーを使うか」を判断する設計へと発想を変える必要がある。

 さらに厄介なのが、「快適性」は車室の平均温度だけでは測れないという点だ。日射や車体壁面からの熱伝達、シートヒーターやステアリングヒーター、ラジエントヒーターからの熱、HVACの気流、さらには乗員自身の発熱までが複雑に影響し合う。実際の快適性を捉えるには、車室内の3D気流だけでなく、人体の熱的反応まで考慮し、全身だけでなく身体の各部位で感じる暑さ・寒さまで評価する必要がある。

 では、この複雑な“エネルギー争奪戦”をどう解けばいいのか。鍵となるのが、システムシミュレーション、3D CFD、車室の熱快適性評価、さらにAIを活用した低次元モデル(ROM)までをつなぐ統合型ワークフローだ。設計初期から車室内の気流を検討し、詳細な熱快適性評価の結果を車両全体のシステムモデルへ戻すことで、航続距離と乗員快適性を含む複数の要求を横断して比較できる。その具体的な仕組みと設計プロセスを、以下のホワイトペーパーで詳しく解説している。

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