- 2026/10/21 06:30 掲載
なぜ北國銀行は“サポート”を経営課題に? 不安不満を88%減らす顧客接点改革とは(3/3)
「顧客の声」でアプリNPSが10ポイント上昇、“経営課題”へ
サポートの役割も変化している。「これまでは、問い合わせを待って正確に答える『受け身』の機能でした。しかし現在は、お客さま一人ひとりの状況をリアルタイムで察知し、個別最適なサポートを必要なタイミングで届ける『プロアクティブ』なアプローチが、すでに実践段階に入りつつあります」と菖蒲田氏は力を込める。顧客の真の目的を理解し、最適な体験を届けるとともに、得られた声を社内にフィードバックして商品・サービスの改善へとつなげている。「『お客さまの声をもとに商品・サービスを改善する』と言っても、以前は根拠となるデータが十分ではなく、経営課題として扱うには限界がありました。しかし現在は、AIやデータ活用が前提となり、お客さまの声や行動の変化をより具体的に把握できるようになっています。このような環境では、サポートをどう進化させ、お客さまの成功体験をどうつくるかは、企業の競争優位と事業成長を左右する重要な経営課題になりつつあると考えています」(菖蒲田氏)
同行の「顧客の声」を活用したプロダクト改善は、これまでも具体的な成果を生み出してきた。特徴的な事例が「北國デビットアプリ」の改修だ。2024年の本格リリース以降、コールセンターに寄せられる声やNPSを通じて顧客評価を収集した結果、「UI/UXの使い勝手」が顧客体験に大きく影響していることが明確になった。
そのうえで、寄せられたリアルな要望のなかから優先順位付けを行い、企画部門と連携して順次アップデートを実施。結果として翌年のNPS調査ではスコアが10ポイント以上も上昇する飛躍を遂げた。顧客の声がプロアクティブにサービスを磨き上げ、サクセスへと結びついた成功事例である。
人とAIが協働する「自律進化型組織」への挑戦
AIの活用が本格化するなか、同行では、AIで人の仕事を奪うのではなく、「人にしかない価値」を最大化し、それを顧客への提供価値を高めるための武器として機能させている。たとえば、金融商品に関する問い合わせは幅広く細かな知識が求められるが、AIが知識面をバックアップすることで、オペレーターは「お客さまが何を求めているか」「どう伝えるべきか」という対話の本質に集中できるようになったと言う。
一方で、テクノロジーの導入は現場の負荷を生むこともあるが、生成AIの進化がその潮目を変えた。「今のAIは改善スピードが速く、効果を実感しやすいため、『早く新しいツールを導入してほしい』と声が上がるほど現場は前向きです」と菖蒲田氏は語る。
同行の顧客接点改革は「まだ道半ば」であり、さらなる挑戦が続く。菖蒲田氏が最も重視しているのは、AIとデータを活用し、すべての顧客接点がデータとして可視化され、顧客体験が自律的に向上する「人とAIの協働」による組織の変革だ。
「カスタマーサポートの力と未来の可能性を、組織全体の共通認識にまで昇華させることが私の課題です。社内にその価値が浸透し、共感が広がれば、課題解決の優先順位や必要な投資判断もより早く進みます。その結果、北國銀行やCCIグループが目指すブランド理念により近づくことができる。カスタマーサポートは、お客さまとの接点を通じて、ブランド価値の向上と事業成長に大きく貢献できると確信しています」(菖蒲田氏)
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