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  • 2023/03/20 掲載

生成AIは金融に何をもたらす? 変革をリードするユースケースを一挙公開

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生成AIとは、データから新しいコンテンツやソリューションを生成するAIのことです。この技術は、金融サービス業界においても、さまざまな変革の可能性を秘めています。たとえば、顧客のニーズに応じた最適な商品やサービスを提案したり、金融市場の動向を予測したり、リスク管理やコンプライアンスを強化したりすることができます。本記事では、生成AIが金融サービス業界に与えるインパクトとその具体的なユースケースについて紹介します。
執筆:日本マイクロソフト 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人

執筆:日本マイクロソフト 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人
IBMにてメガバンクの基幹系開発、インターネットバンキング黎明期のプロジェクト立上げ、金融機関向けコンサルティング業務に従事。その後、マイクロソフトを経て、三菱UFJフィナンシャル・グループのイノベーション事業に参画し、フィンテック導入のオープンイノベーションを担当。「Fintech Challenge 2015」「MUFG Digitalアクセラレータ」「オープンAPI」などの設立を主導。また、MUFGコインなどブロックチェーン等の新規事業などの立上げも手がける。auフィナンシャルホールディングス 執行役員 最高デジタル責任者を歴任し金融スーパーアプリなどに携わる。現在は日本マイクロソフトにて、フィンテックを活用したデジタル金融サービスの創造に取り組んでいる。

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生成AIが金融サービス業界にもたらす変革とは?
(Photo:rarrarorro/Shutterstock.com)

ChatGPTの衝撃

 2022年11月30日にOpenAI社がこの世に送り出した対話型AIである“ChatGPT”は、あたかも人間が生成したかのような的確な応答ぶりが話題となり、生成AI(Generative AI)の可能性を世に知らしめることになりました。

 この記事を読まれている方の中にも、一度はChatGPTを試したことがある、あるいは日常的に使っているという人は多いのではないでしょうか。ChatGPTのような対話型AIは、グーグルの検索エンジンを代替する可能性があるとも言われており、今後、熾烈な開発競争が繰り広げられるようになるでしょう。

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生成AIに対するマイクロソフトとグーグルの反応
(出典:筆者作成)

 金融サービス業界においても、筆者が見聞きするかぎり、さまざまな反応があるようです。「人智を超える万能AIが出現し、多くの人の仕事を代替できてしまうのではないか?」「対話型AIを活用した新しいサービスを作れるのではないか? 社内業務を抜本的に効率化することができるのではないか?」とポジティブに捉える向きがある一方で、「正確さに欠ける応答は金融業務では使えない」「社員の能力向上の妨げになってしまうのでは?」など、少し距離を置くような意見も耳にします。

 海外では、シティグループやゴールドマンサックス、JPモルガンなどの大手金融機関は社内システムからChatGPTへのアクセスを禁じたという報道もなされています。国内の金融機関でもこれは同じような状況でしょう。現状のChatGPTは、トレーニングデータが少し古く(2021年までのデータで学習済)、また間違った回答内容をあたかも正答であるかのように生成してしまうため、金融機関がこれの利用を禁止するのは理にかなっています。

 しかし、これを以て「ChatGPTは金融には使えない」と結論付けるのは早計です。ChatGPTに代表される生成AIという技術は、金融サービス業界を大きく変革する可能性を秘めているのです。その背景を含めて、説明していきたいと思います。

ChatGPTの裏で活躍する生成AI “GPT-3”とは?

 ChatGPTは、「プロンプト」と呼ばれるコマンド入力インターフェースから質問を投げかけ、回答を得るタイプの会話型AIです。プロンプトに入力する内容に応じて回答が個別に生成されるため、適切な回答を得るためには質問内容をチューニングする必要があります(「プロンプトエンジニアリング」とも呼ばれる)。

 この魔法のような仕組みを支えているのは、OpenAIが開発した“GPT-3”という自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)の大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)です。GPT-3は生成AIの一種であり、翻訳や要約、質問応答、文章の自動生成など、多くの自然言語処理タスクで優れた性能を発揮することができます。

※なお2023年3月15日にリリースされた”GPT-4”が最新バージョンですが本記事ではGPT-3で統一します。

 ちなみに、OpenAI社はGPT-3以外にも“Codex”“DALL-E”という生成AIを提供しています。企業は、これらを自社サービスに組み込むことでAIの力を生かした新しいタイプのサービスを開発することが可能です。

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OpenAI社の生成AI3つの機能
※上記に加えて、2023年3月にOpenAI社はAPI版のChatGPTを提供開始
(出典:筆者作成)

 ChatGPTは、GPT-3の威力を一般の人々が体験しやすいように作られた、ショーケース的なサービスともいえます。つまり、金融機関はChatGPTをそのまま業務に使えなくても、その裏を支えるGPT-3などのモデルを使うことで、正確性や規律の点において、自社の基準に適合したサービスを開発することができるというわけです。

 GPT-3を開発したOpenAI社についても少し触れておきましょう。同社は、2015年に人工知能を研究する非営利団体として設立されました。2019年には“OpenAI LP”というスタートアップ企業を設立し、投資家から資金調達も行っています。

 OpenAIのミッションは、「AIの安全性と利用価値を最大限に高め、人間の福祉に貢献すること」としています。そして、利益を非営利団体に還元する、あるいは投資家のリターンは最大100倍までという制限を設けるなど、利益を追求する一般の営利企業とは一線を画す存在でもあります。

 同社の姿勢は明白で、AIが人を乗っ取るのではなく、AIは人々の能力を拡張し寄り添っていく存在であるべきという立場に立っています。すなわち、AIは人間の副操縦士(Co-Pilot)であり、多くの認知的なタスクを支援できるようになるというものです。

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次ページでは生成AIの金融業界向けユースケースをまとめて紹介しています
【次ページ】金融サービス業界における生成AIの使いどころとは?

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