- 2026/10/21 06:30 掲載
なぜ北國銀行は“サポート”を経営課題に? 不安不満を88%減らす顧客接点改革とは
1979年生まれ。北海道大学大学院修了後、ワークスアプリケーションズに新卒入社。最年少で新規開拓法人営業チームのマネージャーへ昇格。その後既存顧客専任の営業チームの新規事業立ち上げ、アメリカ事業の立ち上げを牽引。帰国後、2018年よりプレイドに入社し、顧客体験プラットフォーム「KARTE」のエンタープライズセールス立ち上げを担う。2021年12月に社内起業でRightTouchを立ち上げ、現在は代表取締役としてビジネス全般をリード。2025年12月に一般社団法人日本カスタマーサクセス協会に参画。
未来から逆算して描く「お客さまの成功体験」
北國銀行は、北陸3県を中心に、東京・大阪・愛知にも店舗を展開している。現在は66店舗のネットワークを持ち、地域の顧客の日々の金融を支えるため、非対面・デジタルを含めた接点強化も進めている。地域に根差す「北國銀行」と、海外にも拠点を展開し新たな事業領域に挑戦する「CCIグループ」の2ブランド体制により、相互に知見を還元し合う循環モデルでブランド価値を創出している。同行のカスタマーサービス部は、100名の体制で9割以上がプロパー社員で構成されており、顧客接点の品質向上に内製で取り組んでいる。菖蒲田氏は同部を「単なる問い合わせ対応の部署ではなく、北國銀行のブランドをお客さまに体感いただく重要なフロント」と位置づける。
根底にあるのは、同行のスローガン「未来を想う、あなたを想う。」でも表現されている「顧客起点」の考え方だ。
「目の前の要望に応えることだけではなく、お客さまと同じ未来を見据え、共に豊かな人生や事業の発展を作っていくことです。未来から逆算して『今どうあるべきか』を考え、本質的なニーズを捉え、より良い方向へと導いていく。この姿勢は、10年以上前から一貫しています」(菖蒲田氏)
カスタマーサービス部長
菖蒲田 忠博 氏
実際に同行は、2016年という早い段階からビザ(Visa)と直接契約を結び、地域のキャッシュレス化を推進してきた。しかし、それに伴うATM削減は、短期的には顧客の不利益に映ったり、銀行へのマイナス評価につながったりするという。
そこで大きな役割を果たしたのがカスタマーサポートだった。デジタル化への移行に伴う顧客の不安や不満を受け止め、「なぜこの取り組みが必要なのか」を対話を通じて伝え続けてきた。
「デジタルやキャッシュレスが当たり前になる未来を見据え、その普及は地域やお客さまの生産性を高める土台になると確信していました。一方で、新しいサービスを定着させるには、単に仕組みを提供するだけでなく、お客さまの不安や疑問に向き合い、利用を支える接点が不可欠です。カスタマーサポートは、お客さまとの対話を通じてデジタル化・キャッシュレス化をていねいに支え、その進展に大きな役割を果たしてきたと考えています」(菖蒲田氏)
ネットバンキングやデジタルに不慣れな層に対しては、ヘルプデスクでのサポートに加え、年間2万回以上もの「デジタル教室」を対面で開催するなど、「誰一人取り残さずにより良い未来へ導いていく」というインクルーシブな姿勢があったからこそ、大胆なデジタルシフトが可能だったと言える。
さらに、厳格な法令対応やセキュリティ要件が求められる金融業界において、同行はそれを変革の制約ではなく、前提条件として組み込んでいる。
「顧客起点の変革を持続可能な形にするためには、法令やセキュリティは初期段階から織り込んでおくべき前提条件です。新しい施策を始める際、リスク管理やコンプライアンス部門とは早い段階から議論を開始し、『どうやったらこの価値を安全にお客さまに届けることができるか』という建設的な話し合いを行っています」(菖蒲田氏)
「顧客起点」という共通軸のもと、コンプライアンス部門と現場が対立せず、共にアクセルを踏む関係を築いていることが、新しい挑戦を支えている。 【次ページ】「混乱・不安・不満」を約88%削減…成功体験の作り方
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